読書

鬱ごはん

華々しい成功体験を綴った自伝などよりも、赤裸々に失敗談を綴ったものの方がいろいろと参考になるし、実際のところ興味深かったりする。日経の「敗軍の将、兵を語る」が長く続いている理由はきっとそんなとこだろう。そこにあるのは、誰かが失敗したのを見…

「世紀の空売り」から何を学び取るか

フィリピン旅行の帰りの飛行機で読み始めて、一気に読み切ってしまった。「マネーボール」で知られるマイケル・ルイスの本だからきっと面白いだろうと思って買ったわけだが、期待以上の面白さだ。リーマンショックなどの一連の出来事がなんだったのか非常に…

リバース・イノベーション(後編)

前回の続き。大切なのはリソースの配分だけではない。 厳格で統制のとれたかたちでグローカリゼーションに集中することは、リバース・イノベーションにとっては克服しがたい障壁となる。 グローカリゼーション、すなわち先進国で開発した商品を少しカスタマ…

リバース・イノベーション(前編)

以前紹介した本だが、読み終わったので改めて紹介する。 http://d.hatena.ne.jp/pho/20130202/p2 「GEがアメリカで勝つためには、インドと中国で勝たなければならない」と、イメルトは語っていた。 多国籍企業が新興国や発展途上国で成果を出すためにはどう…

気象を操作したいと願った人間の歴史

特にデータなどなく印象ベースなのだが、シンガポールでは重要なイベントのときに雨が降らないような気がする。F1とかNational Day Paradeとか。特に根拠はないわけだが、そもそもそんなことって可能なのだろうかと思い、この本を読んでみた。 気象を操作し…

文学評論(下)

下巻の構成はこんな感じ。 スウィフトと厭世文学 ポープといわゆる人工派の詩 ダニエル・デフォーと小説の組立 スウィフトと言われても全然ピンとこないのだが、ガリバー旅行記の著者と言われればわかる。といってもガリバー旅行記が4編からなるとは知らな…

サービスのリバース・イノベーション

今リバース・イノベーションという本を読んでいるのだが、これが非常に面白い。以前ハーバードビジネスレビューでGEが新興国/途上国向けに小型の医療機器を作った話が取り上げられていたが、そういう話が盛りだくさんの本である。 簡単に言うと、これまでは…

文学評論(上)

カツラの話が面白いと以前書いた本。夏目漱石が大学で行った講義をまとめた本である。読み終えたので全体を通した感想を書いておこう。上巻の構成はこんな感じ。 序言 十八世紀の状況一般 アヂソン及びスチールと常識文学 やはり十八世紀の状況一般のところ…

情報共有の未来

おそらく2005年頃からブログを読ませていただいているのだが、いまだに何をしている人かよくわからないyomoyomoさん。雑文書き、翻訳などがMakeの紹介文にあったと記憶しているが、とにかくいろいろな分野に対して造詣が深い(褒めてます)。そんなyomoyomo…

知る、読む、使う!オープンソースライセンス

達人出版会の本。電子書籍でさくっと買えてしまう。はじめの方は非常に基本的なことが書いてあると思ったのだが、読み進めるうちに詳しく突っ込んだ内容が説明されていることに気づいた。レッシグの言葉を引用して、大きな枠組みの中での位置づけを述べてい…

ノウアスフィアの開墾

伽藍とバザールに続いて書かれた論考である。前作よりも一歩進めた議論をしていて、個人的にこちらの方が得られるものが多かった気がする。知的財産を土地所有に喩えるのは今でこそありふれた手法だが、よく掘り下げられている。 プラグマティストたちにとっ…

言語学少女とバベルの塔

「――じゃあ、『走る』と『歩く』の違いは?」 「一一じゃあ、どうしてこれは『広い紙』と言えないの?」 そんなシンプルな問いかけから始まるこの物語は、なかなか引きつけられるものがあった。数学ガールの言語学版にふさわしく、非常に取っ付きやすいが奥が…

中国貧困絶望工場

China priceという英語タイトルがどうしてこうなったといいたくなる日本語タイトルだが、中身は非常に具体的で充実していて面白かった。 本書は転換期の物語であるが、その時代を生き抜いている人々の姿も描いた。宝石工場で働いていたために不治の肺病に侵…

イノベーションの達人

IDEOの本だ、面白そうと思って買ったものの数年間ずっと読まずにいた本。でも実務経験を何年か積んだ後だからわかることってのは思いのほか多く、今だからこそ見えてくる視点があり、非常に楽しめた。 毎日多くの新しい有望なアイデアやコンセプトやプランが…

フリーカルチャーをつくるためのガイドブック

ドミニク・チェンという名前を最初に聞いたのは7年前にPodcastでこの番組を聞いたときだと思う。 http://xcool.cocolog-nifty.com/xcool/2005/11/xcool_vol109__d82d.html これをきっかけに知ったのがクリエイティブ・コモンズ。その後自分がサイエンスコモ…

18世紀のカツラの話が面白い

今夏目漱石の文学評論を読んでいるのだが、なかなか興味深い話が出てきたので書き残しておく。この文学評論は18世紀の(追記:英国)文学がテーマなんだろうが、当時の慣習などの背景も述べておくとかいって文学の前に(追記:当時の英国の)いろんな話が出て…

曹操 魏の曹一族

三国志は、演義の方だと60冊ある漫画は途中で挫折し、吉川英治文庫も1冊目で挫折した。でも漫画の蒼天航路はスルスルと最後まで読めた。そんなわけでこの本を手に取ってみた。どちらも正史に基づいているわけだが、多くのエピソードが重なっていて驚いた。出…

気になる本リスト

2週間後に少しだけ東京に行くのでそのときのための覚え書き。ジュンク堂も見てみたい。 数学ガール ガロア理論 (数学ガールシリーズ 5)作者: 結城浩出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ発売日: 2012/06/01メディア: ペーパーバック購入: 8人 クリ…

伽藍とバザール

1997年というと自分はまだ高校生になったばかりで、インターネットなんて知らなかった頃だ。その頃に書かれた文章を今さらながら読んでみた。本質的な点において古さを感じさせず、非常に面白い文章だった。 http://cruel.org/freeware/cathedral.html ぼく…

物のインターネットと技術予測の困難さ

昨日たまたま妻に頼まれて航空券のWebチェックインをした。航空会社のサイトにアクセスして、必要な情報を入力して当日の手間を少し省く。いつもやっているが、やはり便利な時代になったもんだと感じる。しかし元ワイヤード編集長のケヴィン・ケリーは更に先…

ケヴィン・ケリー著作選集1 ー 技術とは何か

たまには本の紹介でもしようと思ってiPadでいくつか本を見返してみて、まだこの本の紹介が途中だったことを思い出した。 無料より優れたもの:http://d.hatena.ne.jp/pho/20111203/p1 千人の忠実なファン:http://d.hatena.ne.jp/pho/20111220/p1 チューリン…

think stats chapter 2

meanとaverage どちらも平均という意味だけど、少し違う。総和を取って単純に割ったものをmean。同じ計算式で求めるのだが、典型的な値、真ん中辺りの値をaverageと呼ぶ。大体みんな同じくらいの値の場合はどちらでもOKだけど、極端にばらつきのある場合には…

「チューリング化」等を読んで

年末に自分のブログを読み返してみたら、なんか似た様なことばかり書いていることに気づいた。機械に置き換えられる仕事についてである。そういえばケヴィン・ケリーの本の「チューリング化」の章にそんなことが書いてあった。 自分がひとたびチューリング化…

悪魔に仕える牧師

虹の解体、盲目の時計技師、利己的な遺伝子で知られるリチャード・ドーキンスのエッセイ集を読んだ。 悪魔に仕える牧師作者: リチャード・ドーキンス,垂水雄二出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2004/04/23メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 51回この商品…

「千人の忠実なファン」を読んで

ケヴィン・ケリー本の続き。 http://memo7.sblo.jp/article/12799892.html 実はこの記事、原文で読んで感想をブログに書いている。 ざっくり言うと、そのcreatorのために年間100ドル使ってくれるFanが1000人いればよくて、10万ドルあれば、経費を差し引いて…

Think Stats - Chapter 1

自分の手で数値を解析できるようになりたいとずっと思ってた。でも行動を起こしてなかった。誰もが最初は初心者だけれども、いつまで経っても初心者なのは恥ずかしい。大切なのはいつ初心者じゃなくなるか。大学が文系・理系だの、忙しいだの、そんなのただ…

「無料より優れたもの」を読んで

『ケヴィン・ケリー著作選集 1』が面白くていろんなところでオススメしたくなっている。堺屋七左衛門氏の翻訳は一通り読んでいるので別に何か目新しい物があるわけではないのだが、形態が変わるとそれに対するスタンスが変わって、違った印象を与えるのだろ…

20歳のときに知っておきたかったこと

なんとなく手にとった本が思いの外面白かったりすることがある。これはそんな本だった。 20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ発売日: 201…

放浪の天才数学者エルデシュ

放浪の天才数学者エルデシュ作者: ポールホフマン,Paul Hoffman,平石律子出版社/メーカー: 草思社発売日: 2000/03メディア: 単行本購入: 13人 クリック: 199回この商品を含むブログ (92件) を見る 「なんだってSFはわしに風邪をひかせることにしたんだ。理解…

ポアンカレ予想

週刊d_pressureで絶賛していたので買った本。 ポアンカレ予想―世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者 (ハヤカワ文庫 NF 373 〈数理を愉しむ〉シリーズ)作者: ジョージ G.スピーロ,鍛原多惠子,坂井星之,塩原通緒,松井信彦出版社/メーカー: 早川書房発売…