読書

「無料より優れたもの」を読んで

『ケヴィン・ケリー著作選集 1』が面白くていろんなところでオススメしたくなっている。堺屋七左衛門氏の翻訳は一通り読んでいるので別に何か目新しい物があるわけではないのだが、形態が変わるとそれに対するスタンスが変わって、違った印象を与えるのだろ…

20歳のときに知っておきたかったこと

なんとなく手にとった本が思いの外面白かったりすることがある。これはそんな本だった。 20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ発売日: 201…

放浪の天才数学者エルデシュ

放浪の天才数学者エルデシュ作者: ポールホフマン,Paul Hoffman,平石律子出版社/メーカー: 草思社発売日: 2000/03メディア: 単行本購入: 13人 クリック: 199回この商品を含むブログ (92件) を見る 「なんだってSFはわしに風邪をひかせることにしたんだ。理解…

ポアンカレ予想

週刊d_pressureで絶賛していたので買った本。 ポアンカレ予想―世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者 (ハヤカワ文庫 NF 373 〈数理を愉しむ〉シリーズ)作者: ジョージ G.スピーロ,鍛原多惠子,坂井星之,塩原通緒,松井信彦出版社/メーカー: 早川書房発売…

宇宙を織りなすもの

身近な疑問から始まって、宇宙の起源、最小構成要素、ワームホールなどなどかなり突っ込んだところまで詳しく解説した本。 宇宙を織りなすもの――時間と空間の正体 上作者: ブライアン・グリーン,青木薫出版社/メーカー: 草思社発売日: 2009/02/23メディア: …

イシューからはじめよ

「圧倒的に生産性の高い人」に共通すること、それがこの本のテーマである。そこで重要になってくるのが「イシュー」。「何に答えを出すべきなのか」についてブレることなく活動に取り組むことがカギとのこと。 プロフェッショナルにとって、バリューのある仕…

<反>知的独占

この本は知的財産権という制度が知的独占、そしてレントシーキングにつながって、社会的な害悪となると主張する。それから知的財産制度があるからといって技術の進歩が促進されるわけではないことをいくつかの例を用いて説明している。キーワードはレントシ…

デジタル時代の著作権

Science Commons翻訳プロジェクトでお世話になっている野口さんの本。あとがきによると元ちくま書房の福田さんがきっかけになったそうだ。著作権のように込み入った内容を扱う場合、複雑な部分を妥協して過度に単純化した浅い内容になるか、複雑でわかりにく…

まんが パレスチナ問題

ときどき出てくるネコが語尾ににゃあにゃあつけるのが邪魔くさいけど、内容は非常に面白かった。 まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)作者: 山井教雄出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/01/19メディア: 新書購入: 9人 クリック: 76回この商品を含むブ…

ウェブで学ぶ

ルームメイトがkindle3を買いたいけどシンガポールでは買えない、ということで日本から送ってもらったのだが、そのついでにこの本も送ってもらった。なんでiPadで読める形式で出してくれないんだか(ターゲットが違うのだろう)。 ウェブで学ぶ ――オープンエ…

知的独占 40ページまで

数カ所で紹介されているのを見かけて面白そうだったのでダウンロードした。 http://www.nttpub.co.jp/pr/pdf_dl/ iPadに入れて非常にスムーズに読めた。注釈をクリックしてポップアップで表示してくれたりするともっとうれしかったが、さすがにそういう仕組…

ヤバい経済学

思いもよらないものに相関関係があるよと言って、いろいろ例示してくれる本。 ヤバい経済学 [増補改訂版]作者: スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー,望月衛出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2007/04/27メディア: 単行本購入: 34人…

ハーバードMBA留学記

別にとっておいたわけではないが、留学なるものをしている今の自分にぴったりの本ではないかと思う。一ヶ月前にこちらに来る飛行機の中で読んだ。もちろん自炊したPDFファイルをiPadで。 ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて作者: 岩瀬大輔出版社/メ…

統計学を拓いた異才たち

本を断裁してスキャンしたとかiPadに入れたとかいろいろ書いたけど、重要なとこはそこじゃなくて、何を読むかである。この本は非常に面白かった。統計の歴史について、主要な人物の描写を通じて理解できるので読んでいて楽しい。 統計学を拓いた異才たち(日…

日本の弓術

紹介記事をみて面白そうだったので読んでみた。 日本の弓術 (岩波文庫)作者: オイゲンヘリゲル,Eugen Herrigel,柴田治三郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1982/10/16メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 54回この商品を含むブログ (54件) を見る 弓を射る…

ほとんど無害

銀河ヒッチハイクガイド三部作の五作目。一応完結。 ほとんど無害 (河出文庫)作者: ダグラス・アダムス出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2006/08/05メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 53回この商品を含むブログ (65件) を見る 秋のニューヨークほどひ…

明治・父・アメリカ

先日世田谷文学館で星新一展に行ったときに、星新一の父である星一に興味を持ったので買った本。読まずにおいていたら、先日一時帰国してた妻が先に全部読んでしまった。 福島の田舎から東京に出てきて、サンフランシスコで働きながら勉強して、それからニュ…

さようなら、いままで魚をありがとう

銀河ヒッチハイクガイド3部作が大ヒットしたので、エージェントや出版社からのプレッシャーにより3部作の4作目という謎の位置づけの本作品が出たそうだ。 さようなら、いままで魚をありがとう (河出文庫) (文庫) しかし、「ぼくは締め切りが好きだ。びゅーん…

邪魅の雫

京極夏彦の本を翻訳を介せずに読めることは、日本語ネイティブでよかったことの一つだ。鈍器のような厚さと重さのあの文庫を読むたびにそう感じる。 文庫版 邪魅の雫 (講談社文庫) (文庫) 今回のは、榎木津大活躍ではないし、序盤にありがちな京極堂の長い蘊…

貧困のない世界を創る

今からちょうど一年くらい前に、ムハマド・ユヌスが来日すると知ったので、講演会に参加した。そのときに買ったのがこの本。 貧困のない世界を創る (単行本) この人すごいけど、この本って同じことを繰り返してて、長ったらしく間延びして、読みにくいなあと…

知財の利回り

西新宿に一年と少し前にできたブックファースト新宿店(モード学園コクーンタワー内)は、近頃好んで利用している書店の一つである。広いフロアでふらふらと見て回れて、迷路みたいに感じられるところがいい。そこで見つけたのがこの本。 知財の利回り (単行…

Burning the Ships: Intellectual Property and the Transformation of Microsoft 後編

では続きを。 Chapter 4 東芝とクロスライセンス契約を結んだが、マイクロソフトにはもう一つ解決すべき大きな問題があった。オープンソースソフトウェアとのinteroperability(相互運用性)である。一つのベンダーに依存したくない客、windowsとlinuxの両方を…

Burning the Ships: Intellectual Property and the Transformation of Microsoft 前編

ずっと更新が滞っていたので、今更ながら今年の一冊目を紹介。 Burning the Ships: Intellectual Property and the Transformation of Microsoft (ハードカバー) kindleで読めるintellectual propertyの本を検索していて、面白そうだったので買ってみた。著…

2009年に読んだ本の中から

経験でしか学べないこともあるけど、本でしか楽しめないこともある。 今年読んだ本の中から - pho's blog 来年もまた素晴らしい本に出会いたいものである。 2008年に読んだ本の中から - pho's blog 今年は24冊とかなり少なめだが、ピックアップしておこう。 …

新入社員向け:年末年始に読めるおすすめ本

この記事が楽しそうだったのでまねをしてみることにする。対象は、理学部とか工学部とかで研究してたのに何かを間違えて知的財産なんてところに流れ着いてしまった人。うちの部門には長らく新入社員なんていないので完全に妄想だが、そんなことを気にしては…

数学が経済を動かす

ドイツの大企業のトップ20名が「我が社で数学が重要な理由」を語る本。 数学が経済を動かす- ドイツ企業篇(シュプリンガー数学クラブ) (単行本(ソフトカバー)) 保険、鉄道、製薬、エネルギー、コンピュータなど様々な分野において、数学がいかに活用され…

タックスヘイブンの続き

タックスヘイブンという本の感想の続き。 なぜスイスの銀行が(政府に対してさえも)秘密厳守できるのか スイスの銀行家たちは、彼らの銀行の秘密を不可侵の聖域にしたのは、ユダヤ人の財産をナチスから守るためだと信じ込ませようとしているが、後に述べる…

タックスヘイブン

タックスヘイブン(租税回避地)という言葉を聞くと、カジノで儲かっているモナコとか、カリブ海とかをイメージするかもしれない。就職活動のときにアクセンチュアの本社がバミューダ諸島だと知ったときは、そういうふうに活用するのかって思った。タックス…

分析力を武器とする企業

以前「その数学が戦略を決める」という本を紹介したのだが、 http://d.hatena.ne.jp/pho/20080126/1201354040http://d.hatena.ne.jp/pho/20080126/1201362046 これと似た感じで面白いということで、一冊の本を借りた。 分析力を武器とする企業 強さを支える…

奇跡のエコ集落 ガビオタス

なかなかインパクトのある名前が気になって本屋で手にとった。 ガビオタスとは 南米コロンビアの不毛な平原に、活動家、技術者、芸術家らがつくったエコ集落 画期的な地下水ポンプ、高効率な風車、太陽熱利用など驚くべき環境技術を生みだし、ほぼエネルギー…