田宮模型の仕事

田宮模型の仕事
田宮模型の仕事田宮 俊作

おすすめ平均
starsビジネス書的自叙伝
stars模型・ガジェット好きの大人 必読の一冊
starsケーススタディとしても最高レベル
stars探求心
stars真剣に仕事に取組むと言うこと

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こういう本を紹介するのは難しい。自分がこの本から受けた衝撃は、
きっと読まないと得られないから、読んでくださいとしかいえない。
田宮模型の歴史。解説がリチャード・クーってのも面白い。
木製模型からプラスチックに、そして、ジオラマ、レーシングカー
ミニ四駆という感じで、高いクオリティを維持しながら
着実に成長を続けてきた田宮模型について一通りわかる。
この著者がすごい。なんとなく盛田昭夫氏に近い印象を受けた。
MADE IN JAPAN(メイド・イン・ジャパン)―わが体験的国際戦略
MADE IN JAPAN(メイド・イン・ジャパン)―わが体験的国際戦略盛田 昭夫 エドウィン ラインゴールド

おすすめ平均
stars「過去の遺物」か「将来への指針」か?
stars尊敬すべきです
stars今、日本企業が学ばなくてはならないこと
stars人生は、コミュニケーションの連続である
stars盛田昭夫による日欧文化の比較

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アメリカだと全然売れなくて、ヨーロッパだと案外売れてとかいう話からなんとなく。
あらゆるところから、模型が好きという気持ちが伝わってくる本である。
忠実に再現することのこだわり、作る人が楽しめるようにするなど
一つ一つが真剣勝負のようだ。でもいつも楽しそう。

みんな、出身も経歴も個性もバラバラでしたが、ひとつだけ共通していることがありました。それは「模型が好きだ」ということでした。

「日本では千二百円のキットでも、運賃や輸入関税のため、ロンドンでは三千円以上になってしまいます。それでもホビー・ファンはタミヤのキットを買いたいので、一所懸命小遣いをためているのです」
見知らぬ土地で、私たちの知らぬ間にタミヤ・ファンが生まれていたのです。私はこの話を聞いて胸がつまり、言葉を発することができなくなりました。

私がまったく休憩をとらないので、彼らは信じられないという顔をしていました。でも、私は好きでやっていることなので、いっこうに疲れを感じません。むしろ撮影は、好きな戦車に接して楽しんでいるという気持ちだったのです。

彼を社長室に呼び、まずどのくらいラジオコントロールにくわしいかたずねてみました。すると「そうですね。少なくとも、社内では誰よりもくわしいと思いますけど」と答えました。
「RC戦車の製品化を考えているのだが、君、設計できるかい?」
と聞くと、彼は(いいんですか?)という表情で、
「できます!ぜひ、やらせてください!」
と、声のトーンを一段高くして答えました。

ミニ四駆は、日本でいちばん売れた自動車シリーズの模型です。1997年の統計によると、日本のアルカリ単三乾電池の消費量の15%は、ミニ四駆によるものではないかと推測されているようです。

「君たちが子どものころ、最初に買った模型を思い出してみてほしい。部品がいっぱいある本格的なキットではなかっただろう。模型は一部の人の楽しみではなく、本来、だれもが気軽に楽しめるホビーだったはずだ。子どもたちが遠ざかったのではなく、私たちが遠ざけてしまったのではないだろうか。」

「われわれの商品は、売りっぱなしではいけない。タミヤの模型はお客さんが買ったあと、ちゃんと楽しんでもらえているかどうか、その満足度を調べなければならない」

タミヤってこんなに面白い会社だったのか。
妥協しない姿勢、常に新しいものを追い求める姿勢、
非常に参考にしたいと思う。