360度動画への誘い

全天球動画や4πステラジアン動画という表現の方が正しいが、なんとなく定着している360度動画という表現を使うことにしよう。RicohのTheta Sというカメラを昨年末に買って以来、せっせとそんな動画を撮っており、今や自分の関心事において大きな割合を占めている。

RicohのTheta自体はけっこう前から知っていたが、飲み会でみんなの写真を撮っても別に面白くないなあと思って、特に興味を持っていなかった。しかし、昨年あたりからとりわけ喧しく目立つようになったヘッドマウントディスプレイにより大きく話が変わってきた。このカメラで撮った旅先の写真や動画をヘッドマウントディスプレイで見て旅行を追体験したらすごく楽しそう。撮影する装置と鑑賞する装置を組み合わせると、新しい世界が見えてくるのではないか。そんな思いを胸にバーチャルリアリティの世界に一歩足を踏み出したのだった。

とりあえずOculus Riftを買おう。それが届くまでにいろんな360度動画を撮ろう。そんなことを考えて、インドネシアの遺跡にTheta Sを持って行ったり、シンガポールでも色々と撮影してみた。それはそれで楽しく、なかなか面白い映像も撮れたが、一つ不満があった。映像がぼんやりとしているのである。例としてTheta Sの動画を一つ貼っておこう。再生する際には、下部のSettingで最高画質の1080sにすると良い。


マウスのドラッグでグリグリ動かせたり、スマートフォンタブレット環境では端末の角度と連動して見ている範囲が変わるのが360度動画の特徴である。一応HDの画質ではあるが、通常のHDよりは粗く見えるはずだ。それは360度全体でHDなので、狭い範囲を見ればその三分の一程度の画質しかないかもしれない。

もっといい画質で撮りたいなと思うと、GoProを6台くっつけて後から合成というのがよくあるやり方だ。しかし軽く60万円近く消えてしまう手段を選べる気にはなれない。もうちょっと安くてもうちょっといい画質でどうにかならないかと思ったとき、Xiaomi yiを6台使うという手があるじゃないかと思い至った。もちろん既に先人はいるのだが、数は少ない。

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Thingiverseという3Dプリント用データ共有サイトに掲載されていたデータをシンガポール3Dプリンターの業者に送って印刷してもらい、そこで作られたリグを用いて6台のカメラをつなげている。ネジは近所の店で買ったのを使っている。

GoProと違って6台同時に起動させるようなリモコンなんてないからマニュアル操作だし、撮影した後は家でせっせとAutopano video proを使って6台のカメラの映像のつなぎ合わせ作業である。Theta Sと比べてはっきり言って10倍以上手間がかかっている。でもこれがまたなかなかくっきりとした映像を撮れるのだ。Settingsで最高画質を選ぶと2160sとなる。HDカメラを6台使っていいとこ取りをしているだけあって、個人的に満足のいく水準に達している。


そろそろOculus Rift CV1も発送されるとのことなので、期待以上にますます面白くなってきそうだ。

RICOH デジタルカメラ RICOH THETA S 360°全天球カメラ 910720

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