大人の自転車ライフ

自転車ツーキニストという言葉を世に広めている疋田氏の本。
非常に読みやすく、なかなかおもしろいので好んで読んでおり
これは三冊目だと思う。文庫でしかも薄いのですぐ読める。

大人の自転車ライフ
大人の自転車ライフ
posted with amazlet on 05.12.13
疋田 智
光文社 (2005/05/10)
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アジア人は自転車が嫌い?タイ、中国、韓国、パキスタン、日本などで
自転車に乗るのは貧乏くさいと言う感覚があるのかもしれない
ソウルの自転車利用台数はほぼゼロ。中年男が自転車に乗るのは明確に恥ずかしいこと
中国も仕方がないことだから利用しているに過ぎない

というようなことが書いてある。言われてみると確かにそうかもしれない。

ヨーロッパ(特に北西部)中高年男性が自転車に乗るのは自慢すべきこと
環境に気を使う知的階層、まだまだ体力があるぞと言う意味

この差は「先進国」と「発展途上国、元発展途上国」というところに
原因があると著者は推測している。物質的な豊かさを享受するように
なってから日が浅いから趣味が成金的なんだとか。クルマがある種の
ステータスだなんていまどき思うんだろうかと感じてしまうが、
世の中にたくさんいるクルマ好きにはかけがえのないことなんだろう。
田舎に住まないなら自転車で十分なんだけど、これは価値観の違いかな

警察庁が自転車は車道を通るべからず歩道を通ることという法案を現在作成中
らしい。交通事故による死亡者数を減らすため来年か再来年に提出を目論む

ということだが、これは非常に困る。車道を走らないとスピードが全然出ない。
だいたい電信柱が多すぎるし、歩道は狭いし、人がたくさん歩いているんだから
こんな法案を考えるやつはきっと自転車にほとんど乗らないんだろう。


財務大臣谷垣禎一氏と著者の対談が巻末に載っていておもしろい。
谷垣氏はクロスバイク、ロードバイクなど8台所有し、司法浪人時代に
往復30km街中を走っていたそうだ。こういう話を聞いただけでなんか
応援したくなってしまう。

都市改造が必要でコストがかかる
社会的合意を得ることと(政治的な)決断にかかる
年の交通体系をどうするかという全体的なデッサンが必要

何かを言うと責任が伴うかどうか知らないけどけっこう慎重に言葉を
選んでいる印象を受けた。やはり一筋縄ではいかない問題らしい。
サイクリストとしてどう思うかと聞かれて、こう答えていた

自転車で走る感覚のある人が道路の設計とか補修に携わるだけでかなり変わって
いくと思う。車に乗る人が自転車乗りの気持ちを多少わかってくれるといい

結局のところ自転車がマイノリティだから厳しいような気がする。

ママチャリとロードレーサーを同じ自転車として議論して良いのか

これは同感。スピードも用途も違うんだから分けて考えるといいかもしれない。
やっぱり二輪専用の道路が欲しいな。何とかならないんだろうか。

社会に放ったらかしになっている無駄に気づき、等身大で生きることの気持ち
よさを知り、環境問題に敏感になり体を動かして生きること自体に満足を得る。

これらを総称して「自転車的なる何か」を知るそうだ。日々自転車に乗っていると
確かにこういうふうに考えるようになる。この二年で確かに変わった。
詳しくは以前がんばって書いた日記を参考に。
その1 http://d.hatena.ne.jp/pho/20051014#1129286930
その2 http://d.hatena.ne.jp/pho/20051103#1131014704
その3 http://d.hatena.ne.jp/pho/20051108#1131446202

自然を感じるだろ?強い風の中に立って自分たちの方に向かって
進んでくる雨を感じるのはなんて素晴らしいんだ
by スナフキン(無職)