シリコンバレーは私をどう変えたか

もともと新潮社だったはずなのに、なんでちくま書房なんだろう。
まあいろいろ事情があるんだろうな。梅田さんの本が文庫になるらしい。
シリコンバレー精神」(ちくま文庫、8月10日発売)
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20060709/p1
この本は5、6回読んだような気がする。
読んだのはおそらく2003年12月か2004年1月あたりだと思う。
大した考えも持たずに工学部の電気系でごく普通に過ごしてきて
軽く就職活動のまねごとをして、工場見学や話を聞いていた。
よくわかんないけどこれは違うと感じて、先延ばしのために大学院に
進むことにして卒論を書いていた頃だったはず。


そんなときに買ったのがこの本である。梅田さんの経歴自体も
1つのロールモデルとして興味深かった。技術系出身でも
研究職以外の選択肢があるということをこのとき実感した。
わくわくしながら仕事をしている雰囲気とか、これまでとは
違った価値観とか、言葉1つ1つが刺激的だったと記憶している。
個人的にはウェブ進化論よりも、こちらの方が好きである。
ある種の体系としてまとまっているものも良いけれども
シリコンバレーでの体験1つ1つをいきいきと伝えたものの方が
どちらかといえば荒削りかもしれないけど、エネルギーがある。


確かlinuxを始めとしたオープンソースにもかなりのページが割かれていた。
端末の向こう側に対する信頼感は、今となっては当たり前かもしれないけど、
初めて知ったときは非常に衝撃が大きかった。まさかただ単に好きだから
という理由で、仕事が終わってからせっせとコードを書く人がいるなんて
考えたこともなかった。自分の中で価値観が大きく変化した。
会社を設立したら毎朝会社に行くのが楽しくて仕方ないとか、
エンジェルとして投資するときの起業家とのやりとりとか、
フリーランスの人を集めてチームを作るとか、読んでいるだけでわくわくした。
会社ではなく個人が重視される世界が非常に楽しそうだった。
梅田さんが師と仰ぐゴードン・ベル氏にファンドの話をする場面は
何度読んでも胸に熱く込み上げてくるものがある。


この本を読まなかったらきっと今よりずっと視野が狭かっただろう。
きっと梅田さんのブログも読まず、JTPAのツアーにも参加してない。
第四回のツアーに参加して梅田さんと話をすることもなかっただろうし、
帰国後、ツアーのメンバーとポールグレアムのエッセイを訳しちゃおう
なんてことを考えたりしなかっただろう。

  • とりあえず積極的に動けばいろいろと楽しいことが起きる

というのが、自分にとって最大の収穫かもしれない。
既に持ってるけど、加筆されたみたいだから文庫も買う予定だ。

4480422536シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土
梅田 望夫
筑摩書房 2006-08-10

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