非検索会議 後編

では、最後まで書こう。

茂木さん

  • search and choice

人間はsearchが不得意で、choiceが得意。
不得意なsearchを機械にやってもらっていて、良い仕組み。
脳の学習に終わりはない。学習が続き、サチることはない。
(サチュレート、飽和って実験系の人しかわかんなくない?)
脳の指向性はどんどん変わる。新しい物が出てくると、
前の物が非常に古く見えてしまう。
脳は、utility(効用)ベースで動く
利他的行動のように一見効用を無視した動き(anomalies)も
新しい効用概念であって、常に効用ベース。
というような感じのことを、いきなりはじまってがーーーって話してた。
始めの三人の人もすごい勢いだったが、さらに凄まじい。

  • 良いデザインとは何か

行動し、脳内報酬(ドーパミン)が出てきて、行動が強化される。
そういうサイクルらしい。行動することにより、学習する。

  1. やりたいと思うこと
  2. 終わってからもう一回やりたいと思うこと

全然違うもの。フランス料理を食べたいと思っても、食べた後に
もう一回食べたいかと言われるときっと食べたくないだろうとのこと。
その違いが何なのかをおさえるのが重要だと思う。
携帯電話がないと不安になったりするのも、携帯電話のデザインがどうのこうの
というよりも、メールが来ることで相手が自分のことを気遣っているとか
人間の関係性が満たされていることが確認できるツールだから。
デザインも重要だけど、もっと抽象的な物が大事。
脳の中の抽象的な報酬を出しているものが重要。
googleもある意味デザインすること自体を放棄しているみたいだけど
非常に多くの人に利用されている。抽象的な何かがある。
個人的には携帯電話が嫌いなんだけど、なんとなくわかる気がする。
良いデザインというのは、意識されないデザインだと何かで読んだことがある。
ドーパミンを出す際に邪魔をしないデザインというのが理想なのかもしれない。
で、結局どうしたらいいかはよくわかっていないので、
「できることは何でもやる」という精神が重要なんだそうだ。

  • 置き換え不要

ロボットで人間のような動きとかがんばって研究されているが
別にロボットはロボットで人間は人間なんだから置き換える必要はない。
ネットだって、何かを置き換えるのではなく新たにやればいい。
何となくこの記事を思い出した。
脈拍のない人工心臓 - Engadget Japanese
http://japanese.engadget.com/2006/09/25/pulse-free-heart/
別に忠実に再現する必要はなくて、使用する目的が達成できたら良い。
再現するのは原理的に難しいということを認めることが大切。

  • anomalies

人間は時々効用関数では説明できない異常な行動をとる。
お金に関するそういう行動(儲からない行動)の研究は進んでいるらしい。
オープンソースとかSNSとか、利他的な行動をうまく説明できないけど

  • 相互作用がある
  • アクションすること自体が喜びである
  • 押しつけではなく主体的に選ぶ

というようなこと(この3つと言ったわけじゃないけど)が
満たされていれば、利他的行動をするのかもしれない。

  • 押しつけがましさ

茂木さんにとってアマゾンのおすすめは押しつけがましいらしい。
お前なんかに勧められたくないって思うそうだ。自分もそう思うし、
そもそもアマゾンで買ったことが一度もない。それはいいとして、
誰かに押し付けられるとモチベーションはきわめて下がる。
メルマガやメーリングリストは自分のところに押し付けてくる(Push型)だけど
RSSとか、そもそもblogというのは自分から見に行く(Pull型)だから
押しつけがましくないので普及しているんじゃないか、とのこと。
人間とはそもそも能動的に動くものだから。これについては後述。

  • スパム

現段階でスパムはネガティブなイメージしか抱かれてないが
スパムがポジティブな物としてとらえられるようになってくると、
ネットが大きく進歩するんじゃないか、というようなことを言っていたような
気がするのだが、さっぱりわからなかった。どういうことだろう。

全体会議

今回のテーマはブログパーツ。
2007年、あなたが考案したパーツは、ブログには欠かせないブログパーツとなった。
そのブログパーツは何ですか。各自15分考えて、20分チームで話し合って提出。
ビジネスパーソンの問題を解決するパーツということなので、何が問題か考えた。
社外の人と会わない(出会いがない)、時間がない、くらいしか思いつかなかった。
出会い系ならオフ会予約ツールか?なんかいまいち。時間がないってことなら
ようやくツールとかあったら便利じゃね?ってことで、ようやくジェネレータとした。
でもインパクトに欠けて全然だめ。個人賞を受賞したネタフルの人も出会い系。
[N] 「非」検索会議に参加しました
http://netafull.net/diary/015823.html
チャットとかpodcastとか全部載っけてくるとは思わなかった。さすがである。
その場で話すということは全然考えてなかったな。
最速の人のアイデアとか、Passion for the morningとか笑えた。
帰り道に考えたものとして、常駐ブログ。
ブログのサイドバーにチャット機能がついてて、ブロガーと話ができる。
内容についてわからないことがあれば聞いてすぐに教えてもらえる。
ブロガーとしても読者がどう考えてるかってことがわかる。というツール。
でも、kengoさんがIRCでやってるか。そういえばそうだな。

世の中のずっと先か半歩先か

yahooのマーケティングの人が最後に少しだけ話をしていた。
茂木さんは人間がそもそも能動的っていうけど、人間って基本的に
楽をしたくて、何もしたくなくて、ぼーっとテレビを見たがる人が多いから
相変わらずテレビが強い。というようなことを言ってた。
人がいつまで検索をするのかわからないから、それに対して
社外の人の意見を聞きたかったので、こういうイベントを開催したという。
茂木さんも、yahooの人も立場が違うだけで、どっちも正しいと思った。
茂木さんは主体的に行動するタイプの人で、研究者。世の中のずっと先を見ている人。
yahooの人も主体的かもしれないけど、マーケティングの人だから、世の中の半歩先を見てる。
そうしないとマジョリティを確保することはできないから。先端向けにするのは難しい。
きっと茂木さんがyahooのページをみたら、押しつけがましいと思うんだろう。
だからgoogleを使ってるんだろうけど、yahooとしてはそこまで手を差し伸べてあげないと
いけない人をターゲットにしているので、いわゆる押しつけがましさも必要。
大半の受け身な人たちと少数のアクティブな人たちで構成されるのがこの世の中だと思う。
お金を儲けたいならきっちり半歩先を見ていれば良いと思うけど、個人的に
そんなのは全然面白くないと思っている。だからずっと先を見たい。
でも、実際のところ、茂木さんも世の中のマジョリティを見て能動的って言ってるのかも
しれないし、もしそうだとしたらその意図は全然わからない。
とりあえず増井さんと茂木さんは非常に興味深い人物なので、watchしていきたいと思った。


茂木健一郎 クオリア日記: 思い切りgeekで、space cadetでいいんだけど
http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/2006/09/geekspace_cadet_6595.html
geekでありつつ、良質の文学作品を読む。
明るい実際主義でありながら、文学作品の素晴らしさを知る。
そこにはきっと、効率ではわりきれない何かがあるんだろう。
書き忘れてたけど、このイベントでもらったバッグとタンブラーは非常に良かった。
こんなにいろいろと考える機会を与えてくれて、お土産までくれて、yahooありがとう。