風に吹かれて豆腐屋ジョニー

風に吹かれて豆腐屋ジョニー―実録男前豆腐店ストーリー
風に吹かれて豆腐屋ジョニー―実録男前豆腐店ストーリー伊藤 信吾

おすすめ平均
stars一行一行ビシビシと響くロケンローなマーケティングの本
stars世界観の創り上げ方が伝わってくる
starsファンク
stars独特のブランド戦略
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買うきっかけになった書評
http://www.ideaxidea.com/archives/2006/09/post_135.html


ナリナリかどこかで見て変な名前の豆腐屋があるんだなというくらいの認識しかなかったが、
書評を読んで面白そうだったので買ってみた。1300円とかなり安いし。
最後の社外秘実録男前豆腐店ストーリーは気合が入りすぎてわけがわからなかったけど
どういう経緯で今に至ったのかとか、どういうポリシーを貫いているのかとか
非常に興味深いし、読んでいて非常に楽しいお勧めの一冊である。


値段下げて、ぜんぜん利益が出なくなってつぶれていく豆腐業界というのは
デジタル家電を量販店に買い叩かれる電機メーカーみたい。
で、新商品ってところまではごく当たり前なんだけど、その手法が面白い。
大量生産風じゃないイメージを出すために、簡易包装、輪ゴムをかけるなど
形を変えるだけじゃなくて、製法、味にも違いを出している。
量を増やすとか文字で埋め尽くすとか、一つ一つに意味がある。
水を少しずつ抜いていくために二重底にするとか、固めることにこだわらないとか。
個人的にかなり新鮮だったのは、この部分。

こだわりの職人が時間をかけて丁寧に作るから、一日に200丁しかできない。だから高いんだというタイプの高級豆腐なら、以前からありました。でも、僕はそういうマニアックすぎる世界が好きじゃないんですよ。
おばちゃんが早起きして作ってくれた飯がうまいという考え方があるけれど、おばちゃんが作ろうが機械が作ろうが、本当にうまい飯ならどちらもおいしいはずで。
豆腐の世界でも、ものすごく濃い豆乳をしぼるなんて作業は、、機械にしかできない。この道何十年の頑固な職人が手作業でやろうと思っても、物理的に不可能なんです。手作業だからいいという話じゃない。

機械のよさをうまく活かせば良いものが作れる。機械があるのが当たり前になった現在では
軽視されている気がするけど、やっぱり機械はすごいと思う。

それまでの高級豆腐って、中身が決して画期的なものではなかったんですよ。伝統にしたがって手間ひまかけて作ってるだけの話で、新しい豆腐の世界を切り開くものではなかった。
僕としては、これまで誰も作ったことのないような豆腐を作ってみたかった。豆腐というより「新しい食べ物を生み出す感覚に近い」

伝統にしたがうのではなく、むしろ自分で伝統をつくりあげる姿勢。
自分にとって非常に欠けている部分ではないかと感じた。


開き直り、天邪鬼、コンプレックスなど最後にいろいろと書いているが
この著者で男前豆腐店の伊藤さんがすごくかっこいいと思った。
まだジョニったことないので、そろそろ蜂蜜かけてジョニろうか。