翻訳夜話 | |
村上 春樹 柴田 元幸 おすすめ平均 オースターの『オーギー・レーンのクリスマス・ストーリー』は本当によかった 村上春樹も、柴田先生も楽しそう 競訳に参加すればより面白い 翻訳の極意について気ままに語る 翻訳家 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
英語を使った仕事がしたいなんて思ったことは一度もない。
でも今なぜか産業翻訳者っぽい仕事をしてる。人生よくわからない。
やってみてわかったこととしては、思った以上に日本語の勉強になる
ということである。読点の打ち方一つで意味が変わるし、
訳す順番を変えただけでも全然印象が違う。ニュアンスが大きく変わる。
あとずっと英文見てるから、もう英語だとか日本語だとか全然気にならなくなった。
実際に英語力がついているかどうかは、また別の話だけど。
最近全然やってないけど、以前じっくり読みたいものを趣味で翻訳してた。
eigotai 翻訳公開所
http://d.hatena.ne.jp/eigotai/searchdiary?word=%2a%5bpho%5d
来週あたりから再開しようかと思う。きっかけはこの本だったりする。
- 小説を書く場合と翻訳をする場合とでは、脳の使い方が全然違う
- 必要なのは偏見のある愛情
- 著者にとって自分がかけがえのない翻訳者だと感じる
- キーボードでリズムがとれる。翻訳のときは音楽を聴く
- 徹底的に捨てようと思って残っているくらいが文体としてちょうどいい
- 翻訳をしていると他者の中に入っていけるから癒される
- このセンテンスの本当の意味は俺にしかわからないはずだという思い入れ
- 放っておいても、ちょっとでも暇があったら机に向かって、好きですらすらやっちゃう
- 英語の原文を日本語に置き換える作業を通して、素晴らしい文章を書く秘密のようなものを探り出したかった
- 自分で実際に手を動かさないことにはわからないこと、身に付かないこと
- 見事な文章に何らかのかたちで「参加したい」という気持ち
- 文章にとっていちばん大事なのは、たぶんリズム
- テキストやその作家とのあいだに共感状態みたいなのがうまれると、すごくいい
- 自分の好きな作家と好きなテキストを見つけて一生懸命やるといい
- ネイティブに聞いたから正しいということにはならない
- (著者は)翻訳者というのは、自分が寝ている間に働いてくれる小人みたいに考えているんじゃないか
- 正確さというのは大事だけど、速度というのも決して無視できない
- 技術的な問題というのは、間違いを認めて、それを直して、もう一度同じ間違いをしなければそれでいい。
- 翻訳者というのはあくまでも黒子であるべき
- 翻訳というのは「最も効率の悪い読書」のこと。自分の中にしみ込んでいくことがすごくある
- 翻訳というのは基本的に誤解の総和。総体としてきちっとした一つの方向性さえ指し示していれば、優れたものになる。音楽の解釈、演奏と同じ。
- 一時間走る、一時間泳ぐみたいな感じで、翻訳もその一部に組み込まれている
- 文章の説得力って、語彙が少なくても関係ない
産業翻訳と小説の翻訳とは別物だけど、非常に参考になった。
というよりも、ここまで明確なかたちで翻訳の魅力を語ってくれて
非常にありがたい。とてもやる気が出てきた。
村上春樹氏がここまで饒舌なのも非常に面白い。
テキストを誰かに伝えたいというモチベーションもあるかもしれないけど
自分の場合はちょっと違うだろうな。その文章に対する自分の解釈か。
自分とテキストだけで完結しちゃっても、まあそれはそれでありかも。
というわけで、非常にためになる面白い本だった。
煮るなり焼くなりしていいって言われたんで、id:marqsにあげることにする。
本人の承諾はとれてないけど。