イヴの七人の娘たち | |
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文庫版が出てるけど、書評の多い単行本版へのリンクにした。
母系のみ受け継がれるミトコンドリアDNAを解読すると、欧米人の95%は七人の母、日本人の95%は九人の母の子どもであることがわかった。
と帯に書いてある本。ノンフィクション。非常に面白かった。
- ミトコンドリアは、どの細胞にも存在する細胞小器官だ。
- 各ミトコンドリアの中心には、ごく小さなDNAが埋まっている16500塩基しか含まれていない小さな染色体だ。
- DNAには驚くほど単純なかたちで基本的な指示が書き込まれている。
- 両親からそれぞれ受け継がれる細胞核の染色体内のDNAとはちがい、ミトコンドリアを受け継ぐのは片親から、つまり母親からだけなのだ。
- 細胞の分裂にともなうコピー作業中の単純なまちがいのせいで、DNAの変異が自然発生することがある。
- 核DNA内で発生する突然変異の割合は、非常に低い。概算すると10億年にたったの一度くらいしかない。
- ミトコンドリアの場合、まちがいさがしにそれほど熱心ではなく、その20倍もの突然変異を許している。
- そのなかに突然変異がとりわけ頻繁に発生している短い一区画がある。約500の塩基が並ぶこの区画は「Dループ」と呼ばれている。
- ふたりの人間のDループ配列がまったく同じなら、彼らの共通祖先は平均してこの一万年のうちに生きていたことになる。
という感じで長々と引用してしまったが、これがこの研究のポイントみたいなものだと思う。
ミトコンドリアDNAがどれだけ突然変異を起こしているかということに着目して
共通の祖先がいた年代を割り出し、人と人のつながりを考える研究。
どのくらいの頻度で起こるのかわかってたら全然突然変異じゃないような気もする。
でも着眼点として非常に面白いし、実際に成果も出ている。
それでいろいろな所に住む人からDNAのサンプルをもらって、比較して
どの地域にどういう配列が多いかとか割り出し、人がどういうルートを
たどって広がっていったのかを考察している。
考古学にもいろいろアプローチがあって楽しい。非常に印象的だったのは
我々人間は、誰もが完璧なる混血なのだ。と同時に、誰もがつながっている。それぞれの遺伝子が、それぞれの共通祖先へと導いてくれる。これはすべて、過去の人々から受け継いだ、桁外れの遺産である。
というところ。人種がどうのこうのなんてやっぱり些細なことなんだと感じる。
たくさんあるなかで、たまたま日本に生まれたとずっと思ってたわけだけど
この本を読むとまさにそうだと思った。別に日本にこだわる必要はない。