編集者という病い

3月1日にブックマークしたけど、買ったのは先月で読み終わったのは
つい最近。新聞の広告でみたのかな。どういう経緯で知ったか忘れた。
幻冬舎の社長が書いた本。いきなり出てきていつのまにかメジャーに
なってた幻冬舎という出版社が以前から気になってたんで買った。
papyrusという雑誌を何冊か買ってたんだけど、そのときその編集長が
中田英寿と同い年と知り、かなり驚いた。そんなに若い編集長がいるのかと。
積極的に若手を活用する勢いのある会社だと思った。

編集者という病い
編集者という病い見城 徹

おすすめ平均
stars本としてどうなのか・・・
stars「生き残れるのは偏執狂だけ」
stars面白かったです
stars告白書
starsひりひりとする感じ

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はっきり言って、最初の三分の一はかなり読みにくかった。
なんで買ったんだろうと少し後悔したくらい。同じ話の繰り返しだし
暗い話ばっかりだし、どうなんだろうなあと思いながら読み進めてた。
でも第二章くらいから読みやすくなって、続きが気になって一気に読んだ。
インタビューになって単純に読みやすかったのと、第一章の内容が
頭に入ってたからスムーズに読めたというあたりが理由かも。

彼を刺激する言葉を吐けなければ、彼は俺とは絶対に仕事をしないだろうと思っていたから、曲について詩について、相当突っ込んだ話をしたんだよね。

このスタンスがずっと貫かれている気がした。誰に対しても。

それに慣れてきたらどんどん腐り始めていくんだよね。俺はその頃三十六、七になっていたから、いっぱい付着してきていたわけだよね、アカが、ゴミが、アブラが、そして自惚れが。尾崎にのたうち回されたことによって、それが完全にとれたと思う。

いつもリセットしながらというのはよく聞くけど、実践するのは
並々ならぬものがありそう。でも、こういう気持ちが大切。


続きは帰ってきてから書く。

追記

人間も表流水ばかりに気をとられないで、時には自分の川底をひっくり返して攪拌しなければならないのかもしれない。

だけど、その人たちとは、すぐ仕事にならなくてもいいと思ってました。それは10年後かもしれないし、20年後かもしれないけど、相手ときちっと切り結んで、信頼関係さえ築いていれば、かならずいつか仕事になる。むこうのほうから「見城さん、いろんな出版社から申し込みがあるけど自分はあなたとやりたい」といってきてくれるように持っていくのがぼくの信条なんです。

これはかなり本質を突いてると思った。いい形で仕事をするために必要なこと。

人の精神という目に見えないものを商売にする、いかがわしいところがある商売ですよね、編集って。なんにもないところから億というカネをうみだすわけですから、スポーツクラブにいってバーベルを持ちあげれば筋肉がつくとかという世界ではない。

自分が感動したものに忠実に自分は動いていくというだけなんです。自分が感動しなかったものに動いたって、情熱がないなら、六社飛び越えて自分のところで獲得するなんてできないですよ。

踏め込めないやつはだめですよ。愛さなければ踏み込めない、感動してなけりゃ踏み込めないわけです。今までいろんなこといってきたけど、編集者の一番の条件は感動することと、その相手に入れあげることですよ。それが編集者の特権なんだもん。

文芸に関わると特にそうなのかもしれない。このエネルギーが大事。

赤字
これが自分の企画した本のたった一つの現実である。理屈など何一つ入ってくる余地がない。
編集者が企画時にぶち上げる出版意図も、結果が出たあとの言い訳なども、すべてはその現実の前で幻想である。

新しく出ていくものが無謀をやらなくていったい何が変わるだろうか。

僕は僕のために会社をっているわけで、彼らは彼らのためにこの会社にいるわけで、僕が死んだら誰かが何とかするかもしれないし、離れていくかもしれない。彼らに家族はいるとしても、それぞれの人生のなかで今ここを選び取っているだけでしょう。

それは僕のオリジナルで、迷いながら生きているんだから自分の人生以外にライバルなんていない。人と比べるなんて生きる上で何の意味もないでしょう。

天使のようにしたたかに、悪魔のように繊細に

誠実さと詐欺師を並立させていなければこの世界では生きていけない。警察が動く事件とスター誕生は紙一重だと思って生きなければ、ベストセラーは作れない。

科学とか、医学とか、薬学とか、コンピュータとか、エレクトロニクスでは解決できないものがあるから、表現というのが存在しているわけです。だから、医者に行って注射一本打てば治る病気だったら医者に行けばいい。それじゃあ治癒できないものがあるから人は表現をする。

ベストセラーを生みだすというこの人の目指すところに
全然関心がないので、そのへんはなんとも思わなかった。
羨しいとか凄いとかも別に感じなかった。
そういうやりかたもあるんだなという程度。
別にこんなに壮絶にやる道を自分は選ばないとは感じた。


だから面白くなかったとか、そういうわけじゃない。
パーツとして、いい言葉がたくさんつまっている。
それにこの人の実績、やり方は、興味深い。
誰にでも勧められるかといえば、ちょっと微妙だけど
2章、3章は、読んでおく価値があると思う。