iPS細胞研究の展望と課題(2)

ちょっとあいてしまったが、続きを書こう。
iPS細胞研究の展望と課題(1) - technophobia

http://d.hatena.ne.jp/pho/20080416/1208354219

ジョン・ガードン教授の講演

アフリカツメガエルのクローンで有名らしいのだが、
そもそもなぜカエルなのかというと、
両生類は卵が大きく、実験しやすかったからとのこと。
当時は、体の全ての細胞が同じ遺伝子を持っているかどうか
わかっておらず、リプログラミングも可能かどうかわかってなかったらしい。
胚から分化してそれぞれの細胞になった後に、巻き戻すリプログラミング。
それが可能であることを明らかにしたのが、この人の研究。
クロマチン(chromatin)をなんとかして、DNAをもっと自由にするとか、
脱メチル化、histone modification, アセチル化、転写因子MyoDの供給
ヒストン置換で緑の核が赤に変わるとか、完全に消化不良だった。
自分が当たり前に思っていることも、他人にとってはこのくらいちんぷんかんぷん
なのかもしれないとなんとなく思った。新しい分野を知ることは大事だな。
倫理的な問題については、受精卵の多くは着床しないので、着床前の受精卵を使用しても、
人の命を殺すことにはならないのではないかとのこと。

イアン・ウィルムット教授の講演

クローン羊ドリーの研究チームを率いた人。
哺乳類のクローン。一人が全てをできるわけではない。
哺乳類も困難だが、中でも霊長類が更に困難らしい。
受精卵のためのactivationを同時にやるか、遅延させるかで結果が変わるとか。
そもそもなんでクローンをやっているかというと、
ガンやHIVのような病気に対して抗体を注入して免疫を惹起するとか、
ALSのような原因が解明されていない病気の研究をするとか、
患者から核をとってきて、人のES細胞を発達させて神経細胞の違いを見るとか、
新薬を作るとか、パーキンソン病アルツハイマー統合失調症などの研究とか。
日々がんばる研究者を改めて尊敬した。
ドリーの成果は、人の考え方が変わったことらしい。
実際にものがあるのとないのとでは、全然違うからなんだろうな。
そして、もはや人の卵子の核移植は不要とのこと。
技術の進歩で、倫理の問題を解決する。なかなか興味深い。