新年の抱負が達成されない理由

2010年になってから10日くらい経過したが、そろそろ新年の抱負を諦めた頃だろうか?そもそも新年の抱負を全然考えていない自分にはそんなことを偉そうにいう資格はないが、The Economistに興味深い記事があったので紹介しておこう。2つ目。

新年の抱負が達成されない理由

http://www.economist.com/businessfinance/economicsfocus/displaystory.cfm?story_id=15174430
resolutionではなくirresolutionとなっているところがいい。
運動するだの禁煙するだの元旦にたくさんの人が計画を立てるけど、なんかうまくいかないよね、なんでだろうね、という話。嫌なことは先延ばししたくなるので、ジムに行く日も明日じゃなくて2週間以内とか言い始めて、2週間後に更に先延ばしする。この原因は、"time-consistent"つまりいつやっても同じだからじゃないのか、という仮説が述べられている。逆に後でやるより今やった方がメリットがあれば、すぐ始めるかもしれないのだろう。この結論の補強材料として、ケニアの農家の話が紹介されている。
ティースプーン半分の肥料で飛躍的に収益があがるというのに、なぜ彼らは肥料を使わないのか。肥料を買うお金がないのかと思ったが、別にそのお金がないわけでもなさそう。で、一応買う意志もあるみたい。その理由は、どうやら正月の誰かさんと一緒で、意図したこととアクションが乖離してることにあるようだ。
収穫期の後はお金を持ってるし、30分歩くかバス乗るかすれば(東京だとそれすら面倒だがケニアでは便利な方だろう)手にはいるから、いつでも手にはいると思ってしまうようだ。実際には徐々にお金は減り、結局肥料を買わずに次のシーズンとなる。そこで、収穫期に安売りをしたり、無料で配達したりしてみると、売れるようになったそうだ。もうちょっと細かく見てみると、遅くではなく、早めの配送を希望するらしい。これは、農家の人たちが、先送りしてしまう自分の性格を自覚しているからと考えられる。
フィリピンの禁煙したい喫煙者は、銀行にお金を預けて置いて、半年間ニコチンを入れなかったらそのお金が返ってくるけど、吸ってしまったらそのお金はチャリティへ、という試みをしているようだ。これで禁煙成功率は30%アップしてるとのこと。
自分をコントロールしたいなら、うまくこういう考え方を活用すると良さそうだ。なんとなくやった方がいいという程度ではなく、なぜ今必要か、やるメリット、やらないデメリットを明確にしておくと、成功率はあがりそう。あんまり考えるとまったり生きていくよみたいに思うかもしれないけど。いつやっても同じという、時期に依存しないものではなく、自ら時期によって差をつけると良さそうだ。やる気がないものはけっきょくやらないわけだし。
ケニアの例だが、お金がある時期に、その時期限定で、手間なく売り込む、というのは、ボーナス商戦とか、福袋とか、アマゾン配送とか、いろいろなところで使われているのがわかる。お金がない人は買えないし、いつでも同じだと後でいいし、面倒なことはしたくない。できない理由を潰していくのは大事なこと。
というわけで既に挫折してしまった人も、そうじゃない人も、時期によって変化するインセンティブを考えたり、飴と鞭(carrot and stick)で自分を操作したりして頑張ってみるといいかもね、という話でした。