海外に住むと英語が上達するのか

7月20日の飛行機で来たのでちょうど2ヶ月経った。ここシンガポールには、英語と北京語(たぶん)のバイリンガルが多く、英語も中国語訛り(混じり?)の人が少なくない(もちろんきれいに話す人もたくさんいる)。個人的な英語の聞きやすさとして、米>英>豪>>>インド>>(越えられない壁)>>シンガポール、という感じで、最初は何言ってるんだという感じだったけど、2ヶ月経った今はわりとマシになってきた。そんな環境で急にヨーロッパとかカナダとかの英語を聞くと、英語ってこんなに聞きやすかったんだなあと感じる。素晴らしい。環境が変わって一番良かったことは、英語であることが当たり前になったことだろう。英語で生活することが特別なことじゃなくて当たり前のことになると、あとは当たり前にこなすだけである。でも知らない単語や知らない固有名詞は聞き取れたってわからないんだから意味がない。聞き取れたって頭が弱くて意味が理解できなかったらしょうがない。というわけで、リスニングに関しては、慣れてきたけど細かいところを聞き分けるレベルまではもう少しといったところ。
次、リーディング。4年間技術翻訳的な仕事をしていたし、The Economistを読んでいたので、日本にいるときに既に英語で読むことは当たり前になっていて、別に変化はない。知ってる分野だと速く読めるけど、知らない分野だとどうしても遅くなる。まあ日本語でもそうだな。授業でプリントを配られて、その場でざっと読んで、みたいなシチュエーションのときはどうしてもちょっと遅くなるのでちょっと悔しかったりする。でもThe Economistの英語ばかり読んでいると、他の英語がわりと平易に感じられて非常にありがたい。専門的な内容ならおばかなネイティブより自分の方が読めるだろうな(おばか度合いによるけど←そもそもそんなのと比較するな)。そんなわけで、リーディングは日本にいても上達するし、海外にいるからってそんなに変わらんと思う。だってインターネットがあるんだから。
それから、ライティング。これは非常にまずい。11月に記述式の試験があるというのに、全然上達の気配がない。というか、あえて書こうと思わないと書く機会なんてない。日本で通信添削とかやってた方がきっと書く機会はあると思う。英語のための英語じゃなくてmeaningfulな英語を求めるならば、facebookでつながった友人に近況報告するみたいなのが動機付けとして自然かな。lang-8もそれなりに興味をひくネタを書けば直してくれるので有用。結局大切なのは、書き続けることと、適宜ツッコミを入れてもらうことだろう。環境は日本にいても用意できそうだけど、動機付けがちょっと厳しいかも。
最後にスピーキング。少しずつ進歩はしてそうだけど、元が元なのでまだまだ。授業を聞いていてこの辺が聞かれそうと先読みして、一問一答式で早押しクイズっぽく答えるならなんとか戦えるけど、論理構成して理路整然と理由を答えたりするのは、頭が追いつかなくて現状では一番最初に答えるとか無理。残念ながらまだ自分の発音とかを気にするレベルには達してない。こちらに来て良いところは、話す機会が少しは増えるとこ。日本にいると英語で話す必然性がないから、モチベーションが上がらなかった(少なくとも自分は)。別に元々英語が好きだったわけでもない(嫌いでもない)。だからといって帰国子女やネイティブがうらやましいかといえば、全然そんなことはない。彼らの知らないことを自分はたくさん知っていると自信を持って言えるし、そんな一つの軸だけで比較して無い物ねだりしてもしょうがない。まあ自分は自分のペースでやりたいことをやるだけだ。
そんなわけで英語圏(シンガポールを含めて良いのか?)に住んでいても、英語には慣れるけど、住むだけでは上達しないと思う。日本で受けたIELTSのスコアが、L6.5 R8.5 W5.5 S5.0 Avg6.5というのを見た時点でわかっていたけど、やはり自分は英語をアウトプットする力が弱い。というか訓練が足りてない。今幸い時間に余裕があるので、来週から英語のコースを受講することにした。週5回朝9時から13時。よく考えてみたら、体系立てて英語で書いたり話したりすることを習ったことはないな。これだけ必要に迫られるとモチベーションも上がるので、弱点をしっかり補強してこようと思う。
おまけ:授業で出てきた単語(ラテン語が多い)

  • right in personam
  • right in rem
  • nemo dat rule
  • bona fide
  • prima facie
  • ratio decidendi
  • passing off

こんなの知るかって正直最初は思った。英語を勉強するって何も限定せずにいったら、この辺の法律英語も含むことになるわけで大変だと思う。だから何の英語とか、英語で何をするかって限定しないと道は遠く果てしなくなり、一歩も踏み出さずに終わるかと。あと日本がいいとか駄目とかくだらない議論を目にするけど、日本に居ようが、日本から出ようが、他人の人生なんだから無責任に勧められないし、どうでもいいかと。やりたい人は既にやっているし、やりたくない人は、また別の何かをするんだし、そこに優劣なんてない。