データと直感の組み合わせ

2009年にVodafone UKのCEOになったGuy Laurenceのインタビューでこんな記述があった。

"I triangulate an objective assessment of the new technologies coming in, a subjective assessment of the public reaction to new propositions, and then I take a punt." This 'triangulation' is the combination of hardheaded data analysis, coupled with business nous. Data is something that informs his hunches - but never rules them.
(新しく入ってきた技術の客観的な評価と、新しい提案に対する世間の反応の主観的な評価から三角測量して、パントキックする一か八かやってみる。この三角測量は、現実的なデータ分析の組み合わせであり、ビジネスの知恵を結びついたものだ。データは直感に情報を与えてくれるものであって、決して直感を支配するものではない。)

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この人は元々MGM(現在ソニーピクチャーズ傘下)の米国外の流通とマーケティング部門のトップだった。ジェームズ・ボンドシリーズが年齢制限によりteenagerに行き渡らなかったため、teenagerとその親の両方をターゲットに売りだしたとのこと。Vodafoneでも英国内1900万人の顧客の動向を注視している。Vodafoneのアプローチは、何かが起きる前に需要を管理するためにデータを使うというものだ。ウィリアム王子の結婚式のために臨時の基地局を増設するとか、Take Thatというバンドのチケット売り出しでサーバーがダウンしたときに、購入しようとしたファン一人一人にチケットが取れたかどうかのテキストメッセージを送信するとか。
データからわかることはいろいろある。ポーランド人の母親が息子たちに「元気か?」とテキストメッセージを書いても、返ってくるのはテキストメッセージではなくて電話。一方フランスでは、テキストに対してテキストで返ってくる。eメールで請求書を送られてくれば、顧客はそれを開いて、問い合わせの連絡をする。だから一気に請求書を送るのは考えものだ。
「我々はデータが多ければ多いほどいいという環境で育ったが、もはやそうではない」と彼は言う。データと直感が強力な組み合わせになる。データだけでは無力だ。
この話を読んで思い出したのは、イシューから始めよという本に書かれていた内容だ。フレームワークを学ぶとどうしてもそれを使いたくなる。金槌を持つと何でも釘に見えてしまう。大切なのはそんなことじゃなくて、何がイシューか、今自分が「けり」をつけなくちゃいけない問題は何なのかを見極めることだ。解かなくていい問題を解いている場合じゃない。そう考えるとVodafoneの「何かが起きる前に需要を管理するためにデータを使う(use data to manage demand before things happen)」というのは実に明確だ。目標を見極めて大きくパントキックをする。前進するというのはそういうことなんだろう。