なんということもなく

日々まったり生活していると何年もこの国にいるような気がしてしまうが、まだ1年しか経っていない。午前中は特許事務所で中間処理や翻訳をして、御飯食べて食材を買ったりして一旦家に帰り、夜はマーケティング、R&Dマネジメント、著作権などの講義に出るという毎日。別に身の危険を感じることはないし、精神的に追い詰められるということもない。まあ日本にいるときと一緒だ。将来のことは特に考えてないし、今のところ別に困ったこともない。予定をギュウギュウ詰めにする必要なんてないし、日々せかせかイライラすることもない。それが日常というものだと思う。生きてても死んでてもあんまり関係ないのかもしれない。
これといって不満という不満がない気がする。特許文献を読んでいて新しい技術を学ぶのは楽しいし、翻訳で原文の意図を汲み取り適切な言葉を吟味するのもそれはそれで面白い。マーケティングなんてやったことなかったけど、ケーススタディとか理論とか読むのは新鮮だ。R&Dマネジメントは主に第3世代と第4世代でdisruptive innovationとかradical innovationとかsustaining innovationとかreverse innovationとか。なんであれこれまで触れてこなかった分野というのは、既に整備された高速道路で一気にすすめるから楽しいし、これまでそれなりにやってきたことは過去の遺産を活用できるので悪くない。要するに気の持ちようということか。著作権についても今年出た判決も組み込まれていて興味深い。
そんな感じでなんとなく暮らしているけれども、それでもこの一年でいろいろとあった。前以上に気持ちにゆとりができているし、当たり前にこなせることも増えてきた。自分がした決断を後悔したことは一度もないし、良いタイミングだったと今でも思っている。なんのためにここに来たかをときどき忘れてしまうので、それが問題だ。来る前に思っていたのと違うことや、全然考えてなかった視点など、やはり来てみないとわからないことが多いと今改めて思う。