売掛金回収と非連続的変化

前の会社を辞めて2年と少し経つが、辞めずに働いていたら今の自分はあり得ない。延長線上ではあり得ない変化があるというのは、実感はないけれどもそのくらい大きな行動を起こしたからなのだろう。とりわけこの8ヶ月で様々なことを学んでいる。そのうちの一つが売掛金の回収。近頃よくお客さんに電話やメールで支払いの催促をしている。そんなときに下の記事を読んだ。

おかしなことに、未払いの顧客もたくさんいます。集金問題はアジアでは頻繁に見られます。私達はお金を追いかけることに時間を費やし、そして度々換金することのできない小切手を受け取りました。18ヶ月もの間、支払いが滞った大企業もありました。しかも、その合計額は彼らにとって大した額ではなかったのです。こういった小さなことの積み重ねが私達を苦しめました。利益がほとんど出ない状況にエネルギーを失ってしまったのです。そして、お金を追いかけるために人を雇うことは、何かが全く間違っている気がしたのです。

シリコンバレー進出後、幕を閉じたシンガポールの「Chalkboard」−CEOSaumil氏へのインタビュー

シンガポールのベンチャー企業に関する記事だが、集金問題のくだりが個人的に非常にタイムリーだった。自分は別に経営者でも何でもないのだが、ボスが案件を盾に取ってBlackmailしていたり、自分自身で電話やメールで催促しているとまあ大切なことだよなと思うわけである。自分の給料が半年くらい未払いになる状況を想像すれば売掛金が負債になることの重大さは容易に想像できるのだが、大きな会社にいるとそういうことをする必要がなかったので全然イメージすらできなかった。
効率という点で見ればそれぞれの専門分野に特化していた前職の方が良いだろうが、日々全貌が見渡せていろんなことができている現在の方が正直言って楽しい。でもこんなことを言えるのは前職でメンターに鍛えてもらったりこっちの大学で専門的な知識を身につけたからであって、それなしではあり得ない。
たぶん前職の延長線上であれば上の記事を見てそんな余計なことはしたくないと思うのだろうが、今ならそれはそれで大切なことだと理解できる。さらに言えば、きちんと毎月給料が出ることや毎回きちんと入金してくれるお客さんのありがたみが今なら実感できる。日本の小さい会社に行ったとしても起こり得た変化もあるだろう。今のところそんな変化を前向きに受け止められているというのが大切なんだと思う。