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IBMのWatsonを見て感じた事

何がきっかけだったか忘れたがこの動画を見た。Jeopardyというクイズ番組にIBMのコンピュータであるWatsonが挑むというものだ。

このクイズ番組についてはThe Economistの記事がやたらと詳しい。正直言ってここまで進歩しているのかと驚いた。

Watsonは2〜3秒以内に解答を計算し、確信度および答えを間違えて賞金を失うリスクを秤にかけてブザーを押すかどうかを判断しなければなりません。自分が何を知っていて何を知らないのかを把握している人間と違い、Watsonは何千回もの演算を実行して初めて何を知っていて何を知らないか把握できるため、機械にとっていかにハードルの高いチャレンジであったかは想像できると思います。

IBM 質問応答システム“ワトソン”がクイズ番組に挑戦! - Japan

どれだけ確信があるか、それに基づいてどう判断するかが今後ますます重要になってくるのだろう。ちなみにこのクイズ番組は一年前のもので、現在は更なる発展を遂げている。

They believed Watson could help doctors make diagnoses and, even more important, select treatments. Specifically, they thought Watson could be the perfect tool to chart the complex decision trees that cancer specialists like Kris negotiate every day as they weigh treatment options that might involve radiation, surgery, and any of countless chemotherapy drugs.

IBM's Watson Is Learning Its Way To Saving Lives | Fast Company | Business + Innovation

クイズの後、何か金にならないかと検討し、どこの分野にも使えそうだけどとりあえず医療に行ってみようということになったそうだ。複雑な決定木を用いて最適な治療法を選び出すことがこのWatsonならできるとのこと。

Watson can ingest more data in a day than any human could in a lifetime. It can read all of the world's medical journals in less time than it takes a physician to drink a cup of coffee. All at once, it can peruse patient histories; keep an eye on the latest drug trials; stay apprised of the potency of new therapies; and hew closely to state-of-the-art guidelines that help doctors choose the best treatments.

IBM's Watson Is Learning Its Way To Saving Lives | Fast Company | Business + Innovation

医者がコーヒーを飲む間に世界中の医療系ジャーナルを読めてしまうというのは、改めて考えてみてもすごい。ずっと昔から研究されてきたエキスパートシステムがついにここまで来たか。逆に、多くの人間は最先端の研究の成果を無視して物事を判断しているという言い方もできる。幅広い関連分野の情報を全部読み込んで常に最新の状態を維持するというのは人間に取って途方もなく大変だからだ。論文自体の信頼性という話も出てきそうだが、ここでは触れないでおく。信頼性の検証ツールなるものがいつ出てきてもおかしくないし。
そんなふうに考えるとカーナビを使うタクシーの運転手を信用できるかって話になってきそう。カーナビなんぞに頼っているタクシーの運転手はけしからん、みたいな話がけっこう昔にあった気がするけど、古い知識や勘に頼りきりで、道路工事や新設された道路情報やリアルタイム渋滞情報に疎い運転手はけしからんという言い方もできるわけである。(ラジオで最新情報を収集するベテランの運転手さん最強ってなるとカーナビ要らんけど。)
患者の診察の際にググる医者にはかかりたくないだろう、という主張も以前見かけた気がする。これも前提として医者は全知全能であり、何かを調べなくてもポンポン答えが返ってくるという考え方があるのだろう。ものは言い様であり、基礎となる知識や経験と新しい情報というのは車の両輪みたいなものだと思う。絶えず新しい考え方に触れ、常に改善、向上していくのであれば、既存の知識の上であぐらをかいて、いつも同じ事をしていては駄目なのは明らかである。
Watsonの進化を目の当たりにして、まだまだとか人間にしかできないことがあるとか考えるのは人それぞれだ。でも、長期的に見て今自分がやっている仕事や業界自体をどうやって他の人や物に引き継ぎ、もっと面白そうなものを模索して行く方がきっとずっと楽しい。コンピュータに仕事を奪われないようにするのではなく、奪わせる側について、コンピュータが仕事を奪って行く過程で出てきた新しい分野を突き進んでみる方が面白いだろう。