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鍵を組み合わせる

専門性とか、得意なこととか、そういう鍵となるものを組み合わせることが、次のステップに進むのに大切なんだと感じている。次のステップというのは大学に行ったり、転職したりすることに限らず、何か新しいこと全般について言えそうだ。

とりわけ「組み合わせ」が大切だと思っていて、それは組み合わせることで一つ一つの専門性がそれほど高くなくても戦えるからである。こんな話は自分が大学生の頃にたくさん読んだり聞いたりしたので全然新しくないけれども、社会人になって7年も経つとようやく腑に落ちてきた。頭で学ぶことと、身をもって体験することの両方が自分には必要なんだろう。

具体例を出してみるとわかりやすいかもしれない。18歳のとき、大学入試の科目は英語、数学、物理、化学の4つだった。別に数学オリンピックの全国大会とか行く力がなくても、それぞれの科目でそこそこの水準に達したら大学に入れた。大学で電気とか物理とかやった。

24歳のとき、これはいろんなところに書いてるけど、英語と電気と物理という組み合わせで就職できた。自分より英語ができる人とか、電気回路がわかる人とかたくさんいるけど、3つ組み合わせてそこそこできる人となると、自分はまあまあな水準に達していたのだろう。会社では特許翻訳とか、特許実務とかをやった。たくさん英文を読んだ。大学に行くくらいの貯金は貯まった。

28歳のとき、大学に戻ろうと思ってシンガポールの大学を受けた。英語、特許あたりが入るときに役に立ってそう。お金も役に立った。そこで知的財産法というものを学んだ。一年間学んだという学位も取れた。試験でたくさん英文を書いた。

30歳のとき、シンガポールで就職した。入るときに特許翻訳、特許実務の経験も役に立ったようだが、なによりシンガポールで1年法律を学んだということが効いたらしい。なんだかんだ言って学歴主義なので、学歴と実務経験の組み合わせというのは強力だ。会社では全然日本語を使わないので、英語で話したり聞いたりするのに少し慣れてきた。メールもよくある対応ならちゃっちゃか書けるようになってきた。ここにきて大学で勉強した物理と、前職でやった特許実務の経験が効いてくるようになった。うちの会社はレベルが低いので、前職ではmediocreな自分の専門性で、小さな会社の第一人者になれる(というか他に誰もできない)。専門性とは相対的なものである。

3つくらいの鍵を組み合わせて扉を開け、次のステージに進むというイメージ。急に新しいところにチャレンジするのは不可能に近いけれども、少しずつ場所や分野をシフトしながら進んでいくことは可能だ。去年より今年、今年より来年の方ができることが多いと信じられるならば、歳をとることも悪くないと思えるはず。アスリートだって体力が落ちてきたら頭を使って技でカバーしたりするわけで、工夫の余地というのはけっこうあるだろう。

昨日できなかったことが今日できるようになる。昨日できたことが今日できなくなる。後者の方が増えてきたときに、鍵を組み合わせて次に進めるかどうかが、楽しく人生を過ごせるかどうかの分岐点になりそう。それは、心の持ちようによるところが大きいけれども、自分で道を切り拓いてきた経験があれば自信の裏付けになるはず。