変化の最前線に来て

3年前にこんなことを書いた。

発展するアジアの金融の中心地で、知的財産がどう金融と絡んでいくのか。open innovationとclosed innovationをどう使い分けていくのか。インドと中国のfrugal innovationは、どういう方向に進んでいくのか。super cruncherがbig dataを使ってどんな変化を起こしているのか。変化の最前線で自分にできることを考え、あとは行動するのみである。

変化の最前線にいることの価値 - technophobia

地下鉄やショッピングモールや住宅の建設ラッシュは相変わらず続いている。家賃の上昇は少し収まった気がしないでもないが、インフレも続いている。自分がこれまでに住んでいた札幌、京都、東京と比べると、ここには大きな変化というものがある。小学生くらいからずっと不景気しか経験していない自分のような世代にとって、それなりに経済成長しているところに住んでみるというのは、なかなか良いことだと思った。
そんなシンガポールの地で特許である。もう6年もこの仕事をやっているんだから、『自分の目で見て、自分の肌で感じたことをベースに、単なる分析、分解論を越えて語り、それを引き起こせる』人になってしかるべきだろう。
率直な感想として、シンガポールの特許にまつわる現状は面白いなあと思った。日本よりもかなり遅れている面が多々あるけれども、発展する余地があるという言い方もできる。今年に入ってからIP hub master planなるものを政府が打ち立てて、かなりの資金を投入し始めたのも興味深い。具体的な変化として、研修の受講料が大体どれも半額になった。そしてイベントの誘致も積極的だ。2年前に参加したGFIP。

Global Forum on Intellectual Property 2011なるイベントがシンガポールで開催されていたので行ってきた。今年で3回目らしい。裁判官や弁護士、知財部門の人、などなどいろいろ。知的財産(特に特許)の分野というのは、もともと法律屋さんと技術屋さんが互いに好き勝手なことをいっていたところ、近頃金融屋さんも入り込んでますますカオスな分野になりつつある印象を受けた。

GFIP2011に参加してきた - technophobia

来週第4回をやるそうなので行ってくる。日米の前特許庁長官も来るし、個人的にはこの人の話がすごく聞きたい。

Marshall Phelps | Board Member | IPXI
A leading figure who was appointed by Bill Gates to head Microsoft’s IP strategy and facilitated Microsoft’s emergence as one of the world’s largest IP companies.

IP Week@SG

Burning the Ships: Intellectual Property and the Transformation of Microsoftの本の著者。
http://d.hatena.ne.jp/pho/20100307/p1http://d.hatena.ne.jp/pho/20100309/p1
この人もIPXIと関わっているとは知らなかった。IPXIについても以前からちまちまと書いている。
http://d.hatena.ne.jp/pho/20111222/p1
どうみてもこの分野で一番進んでいるのはアメリカなのだが、発明者というのは世界中にいるわけで、遅かれ早かれアジアにも拠点が必要になってくるんだろうと思う。技術をお金に変える手段として特許が有効なんだろうなとは今でも思っていて、良い循環を作って技術をさらに発展させるにはどうしたらいいのかなと今でも考える。
シンガポールの現状では特許を作る人も使う人も全然いないわけだが、税制、言語、法制度という有利な条件が揃っていて、今後大きく変わる可能性は十分にあると思っている。だからもう2年もここで働いているのだ。変わっていくなかで自分がどこまで入り込んでいき、どんな役割を果たせるのかが個人的な課題になりそうだ。