東北旅行 平泉編

さくら野というデパートの前のバス停から高速バスに乗って一ノ関駅に向かった。平泉まで行くバスは冬期には走ってないらしい。高速バスは基本的に景色がつまらないけれども、途中から一気に雪景色になるという変化は面白かった。

一ノ関から平泉までもバスに乗ろうとしたら行ってしまったばかりみたいなので、電車で向かった。ドアを開けるときに、自分でボタンを押して開けるというあたりに田舎を感じる。

どんよりした雪景色を見ていると、札幌に住んでいた頃を思い出さずにはいられなかった。あれしか知らなかったからあれが当たり前だと思ってた。あの命が感じられない景色である。そんなふうに相対化できるようになったのも、自分が移動していろんなところで暮らしたからであって、ずっとあの世界にいたら決して感じることはできなかっただろう。

平泉駅から毛越寺まで歩く。雪が雨になって不快だったが仕方ない。平泉に行ったら毛越寺の宿坊に泊まろうと大学生の頃に考えていたが、そんなものはとっくに閉鎖されてしまったので、今回は旅館に泊まった。

中尊寺だけでなくこの毛越寺奥州藤原氏によって作られたものである。極楽浄土をイメージした庭園で知られるそうだが、あいにく冬にそんなものは見られない。庭がメインのところは夏に行った方がいいというのは、10年くらい前の2月にフランスのロワール渓谷の古城エリアを見たときに思った。そんなわけでそれ以来ヨーロッパは夏に行くようにしている。日も長いし一石二鳥だ。とりあえず毛越寺の真ん中に大きな池があった。

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それから松尾芭蕉の「夏草や兵どもが夢の跡」の碑があった。新渡戸稲造が英訳してるんだな。

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毛越寺から循環バスで中尊寺に行こうと思って毛越寺のバス停に行くと、年末年始で運休。バス会社のホームページでは年末年始は土日ダイヤで運行って書いてあった気がしたんだけど、完全に当てが外れた。バス停のそばの売店で漬物とパンとメンチカツを買って一部食べた。とりあえず近くの蕎麦屋で腹ごしらえをする。天ぷらうどんといくら丼。

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店でタクシーを呼んでもらって、中尊寺まで連れて行ってもらうことにした。荷物があったので、この足場の悪い3.2kmを歩くのは正直きついと思ったから。中尊寺と言ったら参道を過ぎて金色堂の近くまで連れて行ってくれた。ユネスコ世界遺産に指定されるずっと前から気になっていた場所に、こうして行くことができて非常に満足。金閣寺よりもずっと前からこんなものを構想して実現しているところが凄い。単に金色というだけでなく中の装飾も凝っていて、当時独自の貿易ルートを切り開いていたという話に納得する。ここにある芭蕉の句は「五月雨の降り残してや光堂」。単なる観光客のくせに痕跡を残していてすごいと思った。

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金色堂以外のところも見てまわり、平泉レストハウスでお土産を見たり、抹茶ラテを飲んだりしていたら、16時30分に宿の人が迎えにきてくれた。駅で別のお客さんをピックアップして、雪道を進み、たどりついた「しづか亭」。ストーブの上で薬缶のお湯が沸いていて、懐かしい感じがした。部屋に荷物を置いて、温泉に行く。ずっと日本に住んでいたらこれほど湯船に浸かることに喜びを覚えるだろうかとふと疑問に思った。なくなって初めてわかるものというのは少なくない。お風呂上がりに食べるみかんも美味しい。部屋に戻ると、次から次へと美味しいものが出てきた。

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前沢牛のステーキとか。

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最後は蕎麦。

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 日本好きな外人になりつつある自分。日本の地方を旅行するときに、日本語がわかるというのは非常に便利だ。