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村上ラヂオ

村上春樹の作品を最初に読んだのは、小学生の頃だったように思う。羊男のクリスマスという絵本だ。モコモコした着ぐるみのようなものを着た男がドーナツを手にしている絵が印象的だった。

そして中学生・高校生の頃に村上朝日堂などのエッセイを読んだ。小説もいくつか読んだが、どちらかというとエッセイの方が印象に残っている。

そしてたまたまきっかけがあったので、最近「村上ラヂオ」というエッセイ集を読んでいる。どこがどうと上手く説明できないが、読んでてすごくすごく懐かしくてとても嬉しくなる。文体もそうだけど、それ以上に文章全体から醸し出される空気が村上朝日堂そのものだった。

こう言っては失礼だが、ほんとどうでもいいことばかり書いてある。役に立つか立たないかでいえば、まず間違いなく役に立たない方に分類される本だろう。でも、気楽に読めて、すっと頭に入ってきて、心地良い。

抜き書きをしようかと思ったけど、これはそういうタイプの本じゃないなと思った。全体として醸し出す空気というのは、一部を取り出したところで伝わるはずがないし、端折ると意味がなくなってしまう。

相変わらず好き嫌いを具体的にはっきり理由をつけて書いているし、食べ物の描写が非常に魅力的。そして相変わらずスワローズは弱い。村上朝日堂を初めて読んだ時と変わらない心地良さがある。

今回読んでいて思ったのは、自分が抱いていた外国に対するぼんやりしたあこがれみたいなのは、このさりげなく出てくる外国の様子に端を発するのではないかということ。肩肘張ることなくごく自然に出てくる外国。以前読んだ時は表面的なことしかわからなかったっけれども、今ならいろいろなことが腑に落ちる。そんな気がする。

村上ラヂオ (新潮文庫)

村上ラヂオ (新潮文庫)