深圳からシンガポールに戻って

旅先で何かを学んでくることも良いかもしれないが、大きな刺激を受けて価値観が揺さぶられて物事を見る目が変わることの方がもっと大切なように思う。これまでは見えているようで全然見えてなかった、なんてことが世の中にはたくさんある。割と影響されやすい性格なので、深圳に行く前と後で見える世界が大きく変わった。もちろん単なる自分の習慣の問題であって、深圳やシンガポールとは全然関係ないことも多い。

1. スマホのアプリをとりあえず試すようになった

好奇心旺盛な人々が気になったものをその場で試しているのを目の当たりにして、大切なのはこのスピード感だということに気がついた。帰ってからやるとかでは遅すぎる。せっかく3Gや4Gの回線があるんだからその場でインストールしてその場ですぐに試すことが圧倒的に大事。たくさんのことを知っていても自分では試してないとか論外だし最低だし、評論家なんていらないととても強く感じた。そうやって圧倒的なスピードで何度もサイクルを回していくことがとてもとても重要。それを強く感じた。

2. モバイルバッテリを持ち歩くようになった

ニコ技深圳観察会ではみんな大量にモバイルバッテリを持ち歩いていて驚いた。常時ケーブルが身体から出ていたりする。自分はモバイルバッテリが必要となるほどスマホを使いこなせてなかったんだなということに気づいた。アプリをがしがしインストールしても、小米の20000mAhのモバイルバッテリがあれば全然問題ない。こういう世界なのかということを今更ながら気がついたのだった。

3. ケチケチしない

デポジット50ドルをケチって何かを試す機会を逸しているなら、それはとてももったいない話だ。会社が潰れてデポジットが返ってこないことがあるかもしれないけど、楽しいゲームの参加料だと思えばまあそんなもんかなと。

そんな感じで基本的なマインドセットが切り替わった。こういう考え方に合わない人も当然いると思うし、それはそれで別におかしなことじゃない。人口の半分くらいに普及してから何かを始めた方が失敗しなくていいから、新しもの好きな変人以外は別にこんなことを全然気にすることはない。でも新しもの好きな変人なら、このくらいやったほうがきっと楽しい。モバイルアプリに限らず、世の中の変なものを見つけて喜んだり、これまで自分が常識と思っていたことがひっくり返される瞬間を楽しんだりできることだろう。口先だけじゃなくて実際にすぐにやってみることだけが大事。

シンガポールに戻ってからmakeblockのlaser swordを買って作ったり、insta360 proを注文したり、dobotのロボットアームで遊んだり、西安メイカーフェアに行く航空券と宿を取ったり、シンガポールでシェアサイクルやモバイルペイメントをガシガシ試したり、小米に自分の心拍数、歩数、体重を日々提供していたり、360度カメラのカンファレンスに行ったり、自家醸造に関するポスター発表をしたり、この2ヶ月間なかなか密度が濃かった。先ほど9月1日〜3日の深圳往復航空券を購入したので、今から既に楽しみだ。

深圳を評したもののなかで、街がまるごとスタートアップみたいなところだという表現がこれまでに一番しっくり来た。年寄りが少ないとか、荒削りながら突き進んでいくとか、思い当たるものは多い。自分はきっとそこにわくわくさせられている。きっと何かに感染してしまったのだろう。前のめりで突き進みたくなっている自分がここにいる。