第一回アディスアベバ観察会 準備編

アフリカには前々から行きたいと思っていたのだが、心理的にいろいろとハードルがあってなかなか行けずにいた。行くには時間もお金もたくさんかかるし、治安も感染症も少なからず心配があった。しかし、年齢が上がるにつれて行きにくくなるし、今回ニコ技深圳コミュニティからアディスアベバ観察会準備室というwechatグループが発足したのもあって行くことにした。そして今回JETROという非常に頼もしいサポートのおかげもあって、非常に充実したアディスアベバ滞在となった。

予防接種

エチオピアは黄熱病の感染リスクがある国となっている。実際のところアディスアベバ自体は標高も高く全然蚊を見かけなかったが、もっと標高の低いエリアでは黄熱病の感染リスクがあるのだろう。エチオピア入国の際には黄熱病予防接種の証明書(イエローカード)は不要だが、エチオピアからタイやシンガポールに行くときにはイエローカードが必要となる。

自分の場合は2008年にペルーに行ったときに10年間有効のイエローカードを取得している。その後WHOの規定で10年という期限はなくなりイエローカードは生涯有効となったのだが、東京やシンガポールで予防接種を受けた医師によると国や医師によってポリシーが違って未だに頑なに10年で失効とするケースがあるらしい。運悪く10年で失効とみなされてしまうのも嫌なので今回改めて予防接種を受けることにした。黄熱病の予防接種を受けると、4週間他の予防接種が受けられなくなってしまうので、他のものと同時に受けるか最後に受けると良い。ちなみに黄熱病の予防接種はタイやシンガポールでは比較的いつでも受けられるが、香港や東京で受けようとすると前々から予約して行く必要があるので、予め準備しておくことが大切。

今回調べた限り、その後の入国制限リスクが有るようなものは黄熱病だけである。あとは各自の判断で受けたり受けなかったりすれば良い。そのあたりは専門機関でアドバイスを受けることができる。

今回最初に意見を伺ったのは東京駅八重洲口すぐにある機関。

日本検疫衛生協会

なぜここにしたかというと、他の機関の多くが週に1日しか予防接種を行っていなかったのに対して、ここでは毎日予防接種を行っていたから、短い東京滞在の間に行くのに都合が良かったからである。

f:id:pho:20180601105452j:plain

エチオピアに行くのに必要な予防接種を受けたいというと、黄熱病は必須で、A型肝炎と破傷風も強く推奨とのこと。破傷風は小さい頃に三種混合ワクチンを摂取していれば、追加でもう一回(ブーストと呼ぶ)うてばよいとのこと。一方A型肝炎は長期間有効にするためには3回必要となる。3回目は半年後なので今回は間に合わないが、A型肝炎はエチオピア渡航までに2回目まで受けられることがわかった。1回目と2回目を同じところで受けたほうがいいと思ったので東京では破傷風のブーストのみを行った。

続いてシンガポールのローカルクリニックでA型肝炎の予防接種を受けたいと言った。

日本だと国産の安価なワクチンが多かったが、シンガポールだと輸入した様々なワクチンがあった。A型肝炎にしても、A型肝炎とB型肝炎をセットにした輸入ワクチンがシンガポールにはあったので、少し値段は上がったがそちらを受けることにした。それから腸チフスの経口薬も進められたので飲んでおくことにした。シンガポールではインフルエンザのワクチンも進められたが、まあそれはいらないだろうということで断った。

f:id:pho:20180614134949j:plain

その一ヶ月後、A型肝炎とB型肝炎をセットにしたワクチンの2回目を受けた。その際に黄熱病のワクチンも受けた。今回はここまでである。狂犬病マラリアについては、心当たりのある変な症状がでたら急いで医療機関に行きましょうという心の準備だけで、特に何もしていない。

航空券

以前アフリカ行きの航空券をチェックしたときはルフトハンザやエールフランスのような欧州経由ばかりで値段もとても高かったと記憶している。しかし今回調べてみるとエチオピア航空が比較的安価で多くの路線に出ている。例えば香港、バンコクシンガポールからアディスアベバに直行便が飛んでいる。今回の日程だとシンガポールからは少し高かったが、バンコクからだと往復9万円程度だ。バンコクシンガポール間の安いチケットと組み合わせて非常に安上がりに済んだ。

ホテル

アゴダやブッキングドットコムで予約できるのでとても便利である。このあたりは他の国の旅行と大差ない。一泊5000円程度のホテルに泊まったらとても快適だった。バンコクと比べるとややホテルは高いかもしれない。

ガイドブック

ロンリープラネットPDF版を買って、行きの飛行機で軽く読んできた。今回はJETROの方に案内していただいたのでなければないで大丈夫だったが、一人で回るのであれば必須ではないかと思う。

通信環境

エチオピアの通信事業はEthio Telecomのみが行っていて、ローミングもあまり現実的ではなく、現地でプリペイドSIMカードを買うのが良さそうである。しかし、空港でSIMカードを販売しているわけではないので、行く前にGoogle mapやmaps.meでアディスアベバの地図データをダウンロードし、オフラインでも使えるようにしておくと良い。

ビザ

入国の際にVISA on arrivalを取得できるのだが、eVISAも非常に簡単に取得できた。

写真のサイズ調整にちょっと手間取ったが、必要なものをアップロードしてお金を払ったら3時間位でeVISAが取得できたのでとても便利である。

準備はこの程度でバンコク経由でアディスアベバに向かった。

今回エチオピアに何しに行ったかを一言で言うと、この記事がどこまで吹いているのか自分の目で確認しに行ったのである。現地に行かずにわかったつもりになるのは嫌だったし、言われるがままにうのみにするのも嫌なのだ。

三つ目は、中国が多く投資しているエチオピアで、現地で2万人を雇用して靴などを製造しているパートナーと一緒に、電気製品の製造ビジネスを立ち上げた。アフリカでのビジネスは難しいことが多いが、一カ月80ドルほど、10年前の深センと同じコストで労働者を雇うことができ、深センでの過酷な競争を避けられる。アフリカは大きな市場になり得るので、アフリカ人好みのデザインのものを作りたいし、エチオピアで作ったものはEU圏内に関税なしで輸出できる。難易度は高いが得られるものも大きい、ミドルリスク・ミドルリターンと言える。

四つ目が最もハイリターンの夢物語のようなビジネスで、彼はエチオピア各所に太陽電池と映画やゲームなどのスマホ用コンテンツを備えたステーションを設置している。彼の作ったスマホアプリをインストールしている人は、そのステーションでスマホの充電やコンテンツのダウンロードができる。利用は無料だが、このステーションが広く利用されことにより、彼はエチオピアで彼のプラットホームを手に入れることができる。そのアプリをベースに電子決済をしたり、ネット通販をしたりすることで、「俺はエチオピアのアリババ、ジャック・マーを目指す」というスケールの大きい話だ。

数日滞在していろいろ見学させていただいた感想として、3つ目は遅かれ早かれ実現しそうだが、4つ目は願望という印象を受けた。エチオピアをくまなく見たわけではないので、エチオピアに設置してあるらしいこのステーションの写真を持っている人は誤りを正して欲しい。そもそもスマホすらあまり普及してなかったので、現段階ではちょっと違うかなと感じた。

いずれにせよ、初めてのアフリカ訪問は非常に刺激的で、見るものすべてがとても興味を引くものであり、とても楽しかったし、また近いうちに再訪したいと感じるほど好印象だった。