シムラー・チャンディーガル旅行準備

コルカタ旅行から半年が経過した。2月3月は妙に忙しく、4月5月はコロナが爆発的にやばく、6月はまた仕事が忙しく、気がつけば7月になってしまった。

ちなみに旅行と言っても休みを取っているわけではなくて、滞在先のホテルで働いていて、オンラインミーティングにも出ていて、メールにもslackにも普通に返事をしているので、言わなければ多分わからない。昼に観光して朝晩まとめてメールの返事をしたり、慣れてくればいろいろとやりようはある。仕事の負荷が軽い時期はやりやすい。この一週間は日本が職域ワクチン接種をしていたり、祝日だったりして、ミーティングやメールが減っていたので良いタイミングだった。

インドにはまだまだ行きたいところがあるのだが、コロナの感染状況や各州の制限を考えると行ける場所が限定されてくる。自分としては、まだPCR検査・抗原検査をやったことがなく、隔離もやったことがないので、できれば検査隔離不要な州に行きたいと思っている。とは言ってもまだまだ感染したくないわけで、感染者が多い州もまだ止めておきたい。各州の人口は3000万だったり、1億だったりまちまちだが、Active感染者数が10000人を下回る州であれば、自分のスタイルの旅行で確率的に感染するリスクは低いだろうというラインを自分で設定している。

現在インドではケララマハラシュトラがひどく、他の南インドの州は改善しつつあるがもう少し時間が必要な感じで、バングラ付近の東インドは数としては少ないがちょっと嫌な増え方をしていて、北インドだけが安心して旅行できると感じている。その中で検査隔離不要の州としてヒマチャルプラデーシュが候補に上がった。7月8月は雨季で最近実際に大雨で土砂崩れが起きて通行止めになったというニュースも確認していて行こうかどうか少し迷ったが、土砂崩れが起きた場所はヒマチャルプラデーシュの山奥の方なので手前なら大丈夫だろうと判断して行くことにした。情報を収集して理解の解像度を上げることはとても重要である。思い込みや無知により的はずれな懸念をすることは無駄だから、手を使って情報を集めて頭を使って考えないといけない。

とりあえずカルカシムラ鉄道には乗りたい、シムラーは涼しそうだからちょっとのんびりしたい、チャンディーガルコルビジェ関連も見ておきたい。1週間くらいでまあいいかということで、出発前日に紙に旅程表を書き出して、MakeMyTripでいろいろと予約した。カルカシムラ鉄道の本数が少ないので、この日時を決めるのが最初のタスクである。

朝5時45分発の列車が所要時間4時間40分で停車駅も少なく良さげだったので、それを基準に考えてみた。その時間に合わせて夜行で行くことも考えられるが、カルカ駅の徒歩圏内に泊まればゆっくりできそうと思ったので、最初の目的地はカルカに決定。カルカまで電車で行ってもバスで行ってもいいのだが、タクシーで行くことにした。自宅からホテルまでタクシーとか手抜きにもほどがある。カルカシムラ鉄道のチケットを買うには目的地の住所が必要なので、シムラーのホテルを選んだ。駅から歩いていけるところで、とりあえず3泊という適当さ。

こんな感じでシムラーまでの工程のチケットをいろいろMakeMyTripで金曜夜に予約し、土曜日の朝起きてから荷造りをして、朝10時に出発した。

ワクチン接種時の感染リスクを下げるには

5月1日より18歳以上もインドのワクチンサイトであるCowinに登録可能になったため、自分のIDを登録して空き状況を確認しながら予約を試みている。しかし、ワクチン争奪戦はなかなか激しい。

記事中に「298の空きスロットが15秒で埋まった」とあるが誇張なしでこういう状態である。Faridabadまで行って接種してきたというコメントを見て確かにそこまで移動すれば空いているかもと思った。
さてそのワクチンサイトであるが、なかなか残念な状態だったらしい。

予約して実際に行かなくても接種済み扱いになっているとか、なんともチェックが甘く、他の管理体制もちょっと心配になるくらいだ。今後は4桁のセキュリティコードを現地で発行して、それにより実際にワクチンを接種したかどうかを管理するという。
ワクチン予約サイトを見ているとどこもけっこう不便なところにあって、歩いていけるような感じではない。これはUber必須だなと思っていたら、Uberの方でもUberに乗ってワクチン接種に行こう的なキャンペーンをやっている。キャンペーンコードを入れると無料になるらしい。

どうせ大した金額じゃないので個人的に無料かどうかは重要でないのだが、Uberでワクチン接種が当たり前になれば乗車拒否されるリスクが低下するのでありがたい。最も懸念しているのは、ワクチン接種した帰りに乗車拒否されて炎天下の中で徒歩で帰宅しないといけない状況である。なるべく家の近くで予約できたらいーなー、今月末くらいにはちょっと空いてこないかなと期待している。
ちなみに、ムンバイにはドライブスルー型のワクチン接種センターがあるらしい。ワクチン接種時の感染防止にとても有効だと思うのでこういうのは非常にありがたい。

それから家まで来てくれるサービスがバンガロールにあるそうだ。

http://myvacc.in/

こういうスタートアップが出てきているのはとても良い傾向だと思っている。

当たり前のことができていないのが新興国(2021年5月5日の記録)

インドに住んでいるけれども家から出ていないので情報源はネットのニュースサイトになる。そういうわけで見えている世界は他の国から見ている世界と何ら変わりがない。違うとすれば、自分の生活、いざというときの自分の命に直結しそう、という緊張感だけである。元々自分の住んでいる地域以外のことはインドのことでもネットのニュース以上のことはわからなかったので、何も違いはないのかもしれない。 そのなかで自分が興味深いと思ったニュースは、私の住むHaryana州で液体酸素を運んでいたタンカーが消えたというニュースである。

病院で酸素が足りないと言い始めていた頃に流れてきたニュースである。ブラックマーケットで高値で取引されるなんて話もあるので、そういう方面に消えていったのかも知れない。そこで終わればいつものインドなのだが、GPSトラッカーで位置情報をトラッキングしようという話が出てきた。

当たり前といえば当たり前の話だけど、管理しようという姿勢があるんだなというのが興味深かった。 それに似た話としてコロナ治療薬Remdesivirのニュースも最近良く見かける。私の住むグルガオンの病院職員がブラックマーケットに横流ししていたそうだ。それを受けて在庫をきちんと管理しようという話が出ている。

これも当たり前といえば当たり前なのだが、当たり前ができていないのが新興国である。それにどこの国の人であれ人間とは悪意の有無に関わらず信用できないものだから、システムで管理して全部記録が残る方向に向かうのは大きな進歩だろう。いろいろな問題に実際に直面してそこから改善していく気があるのであれば、それは喜ばしいことだと思う。

インドワクチンサイトのOpen API(2021年5月3日の記録)

この1年間完全リモートワークなので、インドに居る理由は正直一切なくて、帰ろうと思ったらいつでも帰って良くて、自分の意志でインドに残っている。日本に行ってもこんな快適な在宅勤務環境がないからというのが主な理由だったが、今帰国したらどう考えても空港と飛行機で感染するだろうという理由もある。それを裏付けるようなニュースも出てしまった。

この人飛行機乗って日本に帰国できてるということは、インドで感染してなくて問題なく陰性証明書を取れているし、酸素が潤沢にある日本の医療機関で亡くなっているのでインドの医療崩壊とも関係がない。とりあえず空港と飛行機怖いと思った。で、インドでじっとしていれば安全かというとそうでもないというニュースも出てしまっている。 

この人がどれだけ外出していたのか、どんな持病を抱えていたのかもよくわからないが、インドでじっとしていてもどうにもならないようである。 となるとワクチンか、ということになる。

https://www.cowin.gov.in/

インドのワクチンサイトCowinにはOpen APIがあって、日曜日に色々JSON形式のデータ取得を試したのでどんなデータが取れるのかはわかっている。これで45歳以下の人のワクチンスロットのアラートが来たら便利だなーとなんとなく思っていたら、既に作った人がいた。 

https://getjab.in/

https://under45.in/

今TelegramでGurgaonのワクチンスロット情報を購読している。意外と45歳以下のワクチン供給もありそうなので、今月と来月にタイミングを見計らって予約してワクチン2回接種し、あとはひきこもるという作戦がどうにかなりそうである。

今年も暑いインド生活(2021年5月1日の記録)

最近の動向としては、気温が連日40℃まで上がった結果ドアが膨張して開閉しにくくなった。それから高温と乾燥が原因か壁の漆喰の傷みが激しく、壁にがっちりネジ止めしているタオルかけが落下しそうである。まあ去年も2年前もこの季節を経験しているので、あまり驚きはない。

さて今週末はグルガオンもロックダウンとのことであるが、毎週注文しているIrohaさんから普通にパンも肉も日本米も届いたし、週3回部屋の掃除をしてくれているメイドもいつも通り来て掃除してくれている。zomatoから昼食も届いたし、自分の生活スタイルには一切影響なかった。

家の周りのコロナの状況については、同じフロアの一世帯が陽性者4名の隔離期間2週間を終え、張り紙が剥がされていた。同じフロアのもう一世帯の陽性者3名の隔離期間もあと2日で終わるようであるので差し迫った危機は回避できそうである。5月1日から18歳以上に対してワクチン接種開始ということなので、すぐ行くかどうかは別としてとりあえず電話番号とIDをアプリ上で登録してみた。次のステップはどの病院でいつワクチンを接種するか選択するプロセスである。とりあえず今の時期は外出したくないな、ワクチン接種で感染とか笑えないって思っていたが、そんな心配をするまでもなくほとんどの病院がまだ45歳以上しか受け付けておらず、18歳以上を受け付ける病院もすぐに予約で一杯になっている。

慌ててこれから日本に戻ろうとしても、PCR検査を受けるために外出して感染し、混雑したデリー空港でまた感染し、飛行機の中で感染すると考えられるわけで、一ヶ月くらいひきこもってどこかのタイミングで2回ワクチンを接種するのが最も現実的で望ましいかと思った。

同じフロアに感染者がいる生活(2021年4月25日の記録)

1月19日にコルカタから戻ってきて以来旅行に行ってない。もう3ヶ月も経過している。2月3月は仕事が立て込んでいて4月こそはと思っていたが、もう手遅れな状況だ。どんなに楽観的に考えても4〜5ヶ月後までインド国内旅行は無理だろう。

さて今住んでいるグルガオンの状況だが、住んでいるコンドミニアムの同じフロアで2世帯合計7名が感染しているので、去年よりもよほどピンチだ。1世帯目が4月13日から2週間、2世帯目が4月19日から2週間、Home quarantine状態である。エレベーターホールで遭遇すると感染ってしまうので、デリバリーのタイミングも気をつけている。5月1週目くらいまでやり過ごすことができれば、家周辺の安全は一応確保できそうである。コンドミニアムから出られなくてもいいけど、デリバリーのピックアップくらいは気軽にやりたい。

ちなみにインドでは5月1日から18歳以上全員がワクチン接種の対象となるらしい。おそらくアストラゼネカのウイルスベクターワクチン(covishield)を接種することになる。4月28日からcowin (https://dashboard.cowin.gov.in/)で登録受付を開始する。ワクチン接種のために外出すること自体が感染リスク高そうなのは気がかりである。

ひきこもり生活として玄関のドアを開けなければ空気感染することないだろうと思っている。去年修理したおかげでエアコンが問題なく動作するのでこの暑さも自宅でなんとかなりそう。本当は高原の避暑地で働きたかったのだがこういう状況になってしまって非常に残念である。

ワクチンはいつ接種できるのか

現在インドでは新型コロナウイルスのアクティブな感染者数(発症から2週間以内の人)が17万人を下回り、ありがたいことに世界で16位まで後退している。昨年9月には100万人を超えていたのでインドの検査能力は少なくともこのくらいはあり、検査が足りていないとも思えず、ある程度実際に収束しつつあると考えられる。その理由としては、単純に9月頃に感染した人々の免疫が持続しているためだろう。

現在のアクティブな感染者数のうちケララ州とマハラシュトラ州が全体の7割を占め、他の地域では非常に落ち着いた状況となっている。ちなみに私の住むグルガオンは人口約100万人に対してアクティブな感染者数が400人程度となり、一時期と比べてもはや無視できる程度の数値となっている。感染による免疫が半年程度と考えると3月くらいまではこの状態を期待できるが、6月頃にまた波がやってくるのかなと思ったりしている。

そんなインドで最近話題となっているのはワクチンである。Ministry of Health and Family Welfareのサイトに詳細な情報が公開されている。

https://www.mohfw.gov.in/covid_vaccination/vaccination/index.html

特に2020年12月28日更新のGUIDELINESという148ページあるPDFファイルが詳しい。Virus Vaccine, Viral vector vaccine, Nucleic acid vaccines, Protein based vaccineに分けてそれぞれ進捗状況を説明し、インドで候補となる9つワクチンの臨床試験の進捗状況をまとめている。

現在認可が下りているのは以下の2つである。

  • Covishield (Astra Zenecaが開発、Serum Institute of Indiaが製造)
  • Covaxin (Indian Council of Medical Researchが開発協力、Bharat Biotech Internationalが製造)

どちらも2℃〜8℃で保存可能であるため、-70℃での保存が求められるファイザーRNAワクチンと比べて効果はやや落ちるがインドで現実的に扱えるワクチンとなっている。

上記のガイドラインにあるワクチン接種証明書のサンプルによると2021年4月、7月、10月のように3ヶ月ごとに計3回接種することを想定しているようである。日本の厚生労働省の資料では28日間隔で2回接種とあるので2回で十分かもしれない。またいつどこでどのワクチンを接種したかという情報管理のため、Co-WINというアプリが使用されるとのこと。

ワクチン接種の対象者についてはフェーズ1として以下の3億人を想定している。

  • 医療従事者(1000万人)
  • 国境警備隊や警察などのフロントラインの労働者(2000万人)
  • 50歳以上の高齢者(2億6000万人)
  • 合併症を持つ者(1000万人)

高齢者や合併症を持つ者への接種を3月末までに開始し、このフェーズ1の3億人に対して2021年夏までにワクチン接種を完了させるとのことである。どう考えても2回接種を行う余裕はなさそうなので、少なくとも1回という意味だろう。

フェーズ2以降のことは何も言及していないが、2022年末までには13億人カバーできるようにするという報道も見られる。ちなみにワクチン接種は義務ではなく、自分が該当者となったタイミングで自ら登録しないと接種できないため、実際にワクチン接種される人の数は大幅に減ることも考えられる。

2021年1月16日にインドでのワクチン接種が開始されて約半月が経過し、現在約370万人のワクチン接種が完了したとのことである。このペースは他国と比較して早いが、単純計算で年間9000万回に過ぎず、インドの人口を考えるとまだまだ加速していく必要があるだろう。

ちなみにこれらのワクチンはインド国外へも提供されている。バングラデシュブータンモルディブ、モンゴル、ミャンマー、ネパール、バーレーン、ブラジル、モーリシャス、モロッコオマーンセーシェルスリランカの13カ国に出荷されたそうだ。インドは中国を凌ぐ世界最大のワクチン製造国であり、Covishildは月間5000万回分製造され、その製造能力は3月までに30%増強されるとのことである。そう考えると、インドのワクチン接種プロセスで今後想定されるボトルネックは、製造というよりは現場オペレーションも含めたロジスティクス側なんだろうかと想像している。

最後に自分がいつワクチン接種を受けられるかと考えたとき、フェーズ2の内容次第であるが、フェーズ1が予定通り2021年夏で完了したならば、2021年末~2022年初め頃が現実的なところだろうか。ワクチン接種証明書がないと入国できないとか飛行機に乗れないとか、そういう具体的な不便に直面する前にワクチンを接種しておきたいものである。