以前読んだほぼ日の連載が面白かったので、家に置いてあった本を読んでみた。
21世紀の国富論 | |
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前半は少し退屈だったけど、後半が面白かった。ではいくつかピックアップすることにする。
そもそもパソコンという使いにくい機械に人間が合わせていくのがこれまでのパソコンを支えていた考え方だとすれば、人間に機械を合わせていくのがPUCといえるでしょう。
という感じで、PUC(pervasive ubiquitous communication)というコンセプトを提案している。
「機械が人間に合わせる」というと、どうしてもユーザー・インターフェースの改良というイメージが強いかもしれません。しかし私が考えているのは、むしろインターフェースのバックグラウンドにある抽象的なデータ構造です。インデックス・ファブリックという技術も、この部分に深く関わっています。
現在のリレーショナル・データベースは論理的にきれいでパフォーマンスもいいですが、わずかな例外や変更によってデータ構造がひじょうにテクニカルで複雑になってしまいます。ポスト・コンピュータ時代には、人間が普通に考えていることを、できるだけそのままデータ化し、あるいは自然に検索できるようになるということが大事なのです。バックグラウンドにあるデータ構造がそういう柔軟性をもつことが、機械が人間に合わせるということの本質につながってきます。
UIではなく、データベースに特徴があるらしい。拡張性が高いというレベルじゃないんだろうな。
ほとんど何もないゼロの状態からはじめるベンチャーの技術開発にあたっては、大きく分けて次のふたつのリスクを抱える期間が存在します。
1.果たして技術が本当に動くのかどうかという「テクノロジーリスク」
2.開発後、実際に製品が市場で受け入れられるかどうかという「マーケットリスク」
何となくわかっていたけど、非常に明確なのでわかりやすい。
もしも、マーケットリサーチ機関などを使って得た調査結果を「知的工業製品」に無理やり当てはめようとすれば、失敗するのは火を見るよりも明らかです。この分野で必要とされているのは、誰も想像することがなかったような新しい発想であり、誰もが共通して欲しがる商品なのではないのです。リサーチの結果に拘泥した結果、逆に想定する消費者の顔が見えなくなってしまい、「仕様倒れ」に終わってしまう技術開発も多いのです。
「誰も想像することがなかったような新しい発想」が実現されると楽しそうだ。
各地で設立されたたくさんの幌馬車会社をつぎつぎと買収し、一握りの大企業がようやく独占的な支配を確立した頃、現れたのが鉄道です。そして巨大化した幌馬車会社は、あっけなく消えてしまったのです。歴史が教えてくれるこういう事実は、今から振り返ればごく当たり前のことでしょう。しかし当時、長距離を移動する乗り物といえば幌馬車しか知らなかった大多数の人々にとっては、いつか幌馬車会社がなくなるなどということは想像すらできなかったのです。
ありそうな話。何かが変わるときは一気に変わる。
「ベンガル語人口は二億人で、世界で五番目、アメリカと同程度である。しかも将来、ベンガル語圏は爆発的に増加するだろう。一気にマーケットが広がるはずだ」という形で説得したのです。こうした理屈でないと、採算を重視する営利企業が組織として決断することはできないと考えたからです。
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事業計画においては、それぞれの相手がもつ価値観の軸に沿った説得をして、全ての関係者がもつ目的を尊重しながら、自分の最終的な理想も実現されるように設計することが大事なのです。
これは非常に説得力ある。相手がどう考えているかを知ることで、円滑になる。
「人は無一物でこの世に生を受け、父母の恵み、恩師の導きにて社会に出て、天職を与えられる。天職には貴賤の別なく、人は生ある限り、自らの全力を尽くして全うせねばならぬ。……誠心誠意、不言実行。これが私の経営の信条である」という祖父の教えを座右の銘に、私は全ての仕事を進めています。
何事も簡単な方法はなく、粘り強く、地道に実行するしかありませんが、真に豊かな世界を実行するために、ともに一歩を踏み出しましょう。
かっこいいな。かくありたいものである。
本も面白いが、ウェブはもっと面白い。スピルリナ・プロジェクトが気になるところ。
ほぼ日刊イトイ新聞 - とんでもない、原丈人さん。
http://www.1101.com/hara/third/index.html
スピルリナ・プロジェクト ボランティア募集| アライアンス・フォーラム財団
http://www.allianceforum.org/developing/iimsam/invitation.html
正直、胡散臭いベンチャーキャピタリストに見えるかもしれない。
いきなり次はPUCですとか言われても何言ってるんだって思うかもしれない。
でもほぼ日のインタビューとか、バングラデシュでのプロジェクトのサイト
bracNet プロジェクトとは、最新技術を活用して、遠隔教育と遠隔医療サービスを展開し、
アライアンス・フォーラム財団
識字率を高め、教育と健康管理など、途上国の生活水準を改善する、
「 援助ではなく、民間による事業で途上国支援 」 を行うプロジェクトのひとつです。
を見たら、この人の本気さをほんの少しだけわかった気がした。面白い人だ。