第24回The Economist読む隊

今回は、エコ隊夏祭りということで(人数的に)拡大版で行ってみた。いつも4〜5人のところ10人+オブザーバー(?)1人の11人で会議室を借りてFace Valueの記事を読み、その後、懇親会を行った。
Face value: Bank to square one | The Economist
http://www.economist.com/people/displaystory.cfm?story_id=14258688
Ken Moelisと投資銀行業の話がテーマだったが、より理解を深めるためにまずこのブログの記事を読んでおきましょうというオブザーバーからの提案があり、記事に入る前に解説をしていただいた。オブザーバーがどんな人かは、こことか、こことか、こことかに書いてあるのでここでは触れないでおこう。
今回のFace Valueの記事は、そのままでも表面的に読めたかもしれないけど、Ken Moelis氏が働き始めた当時の投資銀行、ブティック系の投資銀行の強み、M&Aにおける投資銀行の役割などの背景知識を入れることができたので、更に深く読めた気がする。
壮大に破綻したDrexel, Burnham, Lambert、ライバルのクレディスイスに買収されたDonaldson, Lubkin & Jenrette、スイス政府に60億スイスフランの公的資金注入されている(その後55億スイスフランを売却)UBSを経て、2007年にMoelis&Companyを立ち上げたKen Moelis氏。ジャンクボンド(格付けが低いが高利回りの債券)の帝王のMichael Milkenと共に働き、CNNのTed Turnerやカジノ王のSteve Wynn(前回のActivision BlizzardのBobby Kotickも支援している)のビジネスのための資金調達をしていた。UBSに入ってからはアメリカの部門のM&Aから新株発行に至るまでの仕事を経験したが、会社を立ち上げて、プライベートエクイティのBlackstone Groupによるヒルトンホテル買収のアドバイザリー業務を行った。不況になると、ブティック系の銀行が提供する公平なアドバイスに対する需要が伸びてきたとのこと。

  • ここで、なぜブティック系の銀行が公平なアドバイスを提供できるのか、なぜ巨大な投資銀行ではできないのか、という疑問について全体で考えてみた。

結論としては、客同士の利害関係というよりも、様々な業務を行う投資銀行の利害関係により、公平さが保てないのではないかということである。例えばアドバイザリーと資産の売却の両方を請け負っていたら、売却の成績を上げるためにアドバイザリーの内容も偏ってくるみたいな感じかと。
その後M&Aも干上がってくると、今度は、債務整理、借金返済プランの専門家チームを作って、負債に苦しむ会社へのアドバイスを行い、今ではMoelis&Companyの仕事の半分がこのリストラ業務である。「困難な状況にあるクライアントを助けると、ずっとクライアントでいてくれる」とのこと。それから帳簿の金融商品を綿密にチェックするリスクアドバイザリーの専門家も雇ったりしているが、私設取引を行ったり、利害が衝突するような分野に進出したりしないという。
そんな感じで頑張っているけど、巨大銀行の攻勢があったり、潰れた銀行の人がいろいろ立ち上げたりして、競争が激しいので、不安定な状況が続く。でも新しいアイデアと素早い実行力があれば、なんとかなるはず、という話。
ちなみに今回から予習段階での調べ物にecotaiタグを付けて蓄積をしてみた。
http://b.hatena.ne.jp/pho/ecotai/
こうやって手間を惜しまず背景知識を少しずつ蓄積して、いろいろとリンクさせていかないと、いつまで経っても変わらないんだろうな。


そんなわけでモチベーションの高い参加者の方々のおかげで、非常に活発で楽しい会になったので良かったです。ありがとうございました。

  • 参加者の方々のレポート

日本のメディアにゲンナリしてきたのもありThe Economistを定期購読することにした - Money does not hurt your heart
http://d.hatena.ne.jp/tittea/20090829/1251552323
Economist読む隊・夏祭り参加記録 - Enjoy Life & Science
http://d.hatena.ne.jp/Spiny-anteater/20090830/1251641514
第24回The Economist読む隊 兼 エコ隊夏祭り - kany bookshelf
http://d.hatena.ne.jp/kany1120/20090830/1251648092
Economist読む隊入隊 - Good Stuff
http://d.hatena.ne.jp/rinta6u/20090830/1251643604
papaiya yamashitaの重電マン日記
http://d.hatena.ne.jp/bookworm/20090829#1251556095
ちなみに次回は、諸事情により水曜日(普段は木曜日)、9/2(水)20:00〜22:00@品川区某所、でやります。詳しい場所については、レギュラーメンバーの誰かに聞いてください。課題は、↓の2本。

http://ecotai.g.hatena.ne.jp/keyword/%5B%E7%AC%AC25%E5%9B%9E%5D

さっきざっと読んでみたところ、今回のFaceValueは、格安航空会社の話。格安航空といえば第2回に登場したマレーシアのAir AsiaのTony Fernandes氏の話が参考になるかもしれない。既に常連となっているSir Richard Bransonもまた出てきてるし、David Neeleman氏自身が、以前アメリカの格安航空会社Jet blueにいたということなので、そこら辺の航空業界について知っておくと楽しめそうだ。あとモルモン教の宣教師としてブラジルに行ったことがタイトルにも絡んでいて重要そうなので、モルモン教の背景なども知っておくといろいろと幅が広がりそう。
もし興味があれば遠慮なくレギュラーメンバーの誰かに声をかけてみてください。会議室を予約とかしているわけではないので、当日急に参加、キャンセルも問題ないです。せっかく集まって読むのであれば、いろいろな切り口から話がつながっていくと面白そうですね。では参加をお待ちしております。