写楽展に行ってきた

帰国前に日本でやっているイベントをチェックしていて写楽展@上野を見つけた。
http://sharaku2011.jp/
写楽に関する自分の知識なんてこの一冊の本を大学生の頃に読んだ程度だけど

とりあえず面白そうだったのでチケットを予約して行ってきた。ちょっと混雑していたが、非常に良い展示だった。歴史的背景の説明も詳しかったし、同じ役者を他の絵師が描いたものとの比較、同じ絵の違う版との比較、作風の変化などなど盛りだくさんである。
写楽の絵(版画)は、主に歌舞伎役者をモチーフにしたものであり、その歌舞伎の背景にはいろんなストーリーがあるわけでけっこう複雑。一場面を切り出しているとか解説をみないと無理。写楽の絵は、構図が非常に特徴的である。同じ役者を描いたものでも一目で写楽と分かる。全身を描くわけでもなく、顔だけでもなく、上半身を描き、真ん中ではなくちょっとずらしてて、なんとも言えない曲線で構成される。人を撮るのが好きな人なら、アングルによる印象の変わり方がわかって楽しめると思う。版画というのは同じ作品がたくさん出回っているので、保存状態で色が変わって面白い。その辺りの違いがよくわかった。
展示する側のストーリーが非常にクリアだったのがいい。比較するときに同じ被写体を使うというのはオーソドックスだけど非常に効果的だと思った。対照実験として興味深い。版画のように大量生産するものというのは、デジタルな時代に通じるものがある気がした。そんなわけでオススメのイベントである。