AmazonのFire phoneに提供するものと得られるもの

何かを提供して何かを受け取るというのはよくある話。電話帳情報を提供してLINEを無料で使うし、コンテンツ内広告を許可することでGmailを無料で使う。Amazonの新しい携帯電話でもそうなんだろうと思った。

速報:アマゾン Fire Phone 発表。4.7型HD液晶、視線追跡UI、実世界認識機能Firefly搭載 - Engadget Japanese

一見したところ3D表示がメインっぽい。それなら以前CEATECで見た。

ファインテック・ジャパン:普及するグラスレス3D ドコモが考える「スマートフォンならではの可能性」 - ITmedia Mobile

ドコモとAmazonでそんなに技術水準が違うとも思えない。実際にドコモとシャープで3D端末を2010年に出している。

【LYNX 3D特集】 第1回 : 日本初、裸眼3D対応スマートフォン。その外観とスペック | アンドロイドアプリならオクトバ

違いは顔認識のやり方だろう。ドコモはCCDカメラでやっているのにたいし、Amazonは顔認識用に4つもカメラを使っている。

前面の四隅に画角120度の顔認識用カメラを備え、縦持ちでも横持ちでも、赤外線ライトで暗所でも正確に顔と目の位置をリアルタイム追跡する。

メガネやサングラス(おでこにかけるやつも含む)、薄い眉やヒゲ、髪型、影や帽子など、顔認識の障害は膨大な学習と洗練されたアルゴリズムで解決。

リアルタイムの顔トラッキング(顔と目の位置、方向、距離)ができる Dynamic Perspective SDKも開発者に本日より提供。システムレベルの機能として、アプリに導入できる。

かなり本格的に顔と目をトラッキングしにきているのがわかる。ここで思い出したのは、10年近く前にインターンで行ったユーザビリティの会社のアイトラッキングシステム。この端末一つで、モバイルのアイトラッキングができてしまうとようやく気づいた。

つまり、顔認識機能をONにすればダイナミックなユーザー体験を提供するよとAmazonが囁くけれども、顔認識機能をONにすればどのページのどの部分を何秒間見ていたかという情報がみんなAmazonに流れて行く。買おうかなどうしようかなと何度も見ていた商品が、これでもかとプッシュされたりするかもしれない。映像でもユーザーが実際に見ているのかどうかがわかる。

そのあたりの膨大なユーザー情報を得られるのであれば、この端末を無料で配っても全然痛くもかゆくもないのではないかという気がしてしまう。Kindleにしたって、買って積ん読してるかどうかがわかるので、売れてる本と読まれている本をAmazonは区別できる。そんなことをいろいろと考えていると、やっぱりこの会社すごいなと言わざるを得ない。

開発の主戦場はこの辺りか。モバイルのUIを考える際には必須になる予感。タブレットの四隅に顔認識カメラがつき始めると競争が本格化しそう。

Dynamic Perspective SDK for Fire Phone - Amazon Apps & Games Developer Portal

視線移動だけでページめくりができる読書端末がそろそろできそうな気がした。それならアイトラッキング情報を提供してもいいかもしれない。ページめくりだるい。