なんとなく古典を読んでいる人って、考えることが違っていて面白いと思ってた。
よくわからないけど、古典読んでない自分が底の浅い(定義略)ように思えてきた。
古典ってそんなに面白いのか?ちょっと読んでみようか、と思って一冊読んでみた。
イリアス〈上〉 (岩波文庫) | |
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最初は非常に読みにくいけど、ある程度進むとどんどん読めた。地味にけっこう楽しい。
何も知らずに読み始めたのだが、アカイア軍(ギリシャ)とトロイア軍の戦争を
中心とした壮大なギリシャ神話が24歌にわたって繰り広げられていて、
なかなか楽しめた(冗長だけど)。
ポイボス・アポロンはその願いを聴き、心中怒りに燃えつつ、弓とともに堅固な覆いを施した矢筒を肩に、オリュンポスの峰を降る。怒れる神の肩の上では、動きにつれて矢がカラカラと鳴り、降りゆく神の姿は夜の闇の如くに見えた。やがて船の陣から離れて腰を据え一矢を放てば、銀の弓から凄まじい響きが起る。始めは騾馬と俊足の犬どもとを襲ったが、ついで兵士らを狙い、鋭い矢を放って射ちに射つ。かくして亡骸を焼く火はひきもきらず燃え続けた。
アポロン強すぎだろ。こんな感じでどんどん神が介入するのがずるいんだけど楽しい。
さてそのディオメデスは、仮借なき槍をかざしてキュプリス(アフロディテ)に迫るところであったが、めざす相手は力の弱い女神で、男の子らの戦いに立ち交って采配をふるう、アテネあるいは都城を屠るエニュオの如き女神ではないと見抜いていた。群がる軍兵のあいだを追ってついに追いつくと、剛毅の勇士テュデウスの子は、身を伸ばして躍りかかり、鋭い槍で柔肌の腕の先を突いた。たちまち槍は、優雅の女神たちがみずから仕立てた、この世ならぬ神の衣を貫いて、掌の付け根あたりの膚を切り裂き、神の不死なる血が流れ出た—その血とはすなわち至福なる神々の体内をめぐる霊血のこと、神々は穀物の類を口にせず、きらめく酒を呑むこともない。さればこそ神々には並みの血は流れておらず、不死なるものと呼ばれもする。
槍で神に襲いかかるディオメデスがかっこいい。ちょっとベルセルクを思い出した。
まあそんな感じで、人間同士の戦争にたくさんの神が絡み合う。
あいつは自分の子どもだとか、あいつはよく自分にお供えしてくれるとか
わりと単純にひいきの人間や陣営に(ゼウスの目を盗んで)肩入れする神々。
戦利品の分け前で仲違いする人間。なんかこっちも単純だな。
紀元前千数百年から全然変わってないようだ、人間というやつは。
古典を読むと、けっこう遡っているわけで、これ以上遡るのは大変なわけで
いろいろなものの元ネタみたいなものがみえるような気がして楽しい。
習慣に少しずつ組み込んで行くと、視点が変わってもっと楽しくなるかもしれない。