生成AIにコンテキストをどう共有するのか

この本の残りの半分も読み終えたので感想をまとめておこう。

質問するのではなく対話をすべきである、ということでいくつも例が上がっている。コンテキストを対話形式で共有しながら、情報を整理していくのがスタンダードなんだろうと思う。新規事業開発のコンサルタントになってもらうとか、小説担当の編集者になってもらうとか、やりたいことやアウトプットしたいことが自分の中にあって、それを手助けしてくれるツールと考えるのが良さそう。上手いやり方だと思ったのは

議論はここまでにしましょう。これまで上がっている内容を整理してもらえますか?

と言って、最新の議論状況の整理してもらうところである。

「賛成」「反対」「アウフヘーベン」の3つの立場の人格を演じて、私とともに議論してください

と言って、別の立場の意見を整理するのも得意とするところなのだろう。コンテキストは与えるとして、それに基づいて色々な判断材料を出してもらうのが良さそうである。

対話を通じてコンテキストを共有する他に、プラグインを通じてコンテキストを共有する方法もあるらしい。Wolframを使って科学関連のデータベースを参照できることは知らなかった。一方で、食べログとかExpediaとかをプラグイン経由で使うのは現段階だとそこまでメリットあるのかなあという感じがした。

WebサイトへアクセスするのはBingプラグインを使う場合と、Link Readerというプラグインを使う場合があるらしい。良いプロンプトを作ってもらうためにPrompt Perfect、GPT for Sheets and DocsというTalarian社が作っているアドオンも紹介されている。この辺りはAPI Keyの入力が必要だが、可能性は広がりそう。一方で、Microsoft365のCopilotとかで実装されそうでもある。

トークン限界に達しそうな場合は、議論の途中で議論内容を要約してもらい、要約された情報を新しいスレッドに移植することが求められます。このようなアプローチをとることで、トークン限界を回避することができます。

こんな感じでテクニックを紹介してくれるのもありがたい。

学習のためのカリキュラムを作ってください

みたいな質問など、フリーダムに相談するのが良いのがわかる。

ChatGPTに問い合わせる際には、自身が考えている物事を適切な抽象度にする必要があります。例えば「牝牛ベッシーの体重は?」といった具体的な質問よりも、「一般的な牝牛の体重は?」といった抽象度の高い質問をすることで、より適切かつ詳細な情報を得ることができます

ChatGPTは抽象化された問題の解はよく知っていますが、個別具体の事例は全く知りません。そのため、あなたはChatGPTと協力し、問題を抽象化し、抽象化された世界での解を探し、そしてあなた自身が抱えている個別具体の問題に適合させる、という仕事をしなくてはならないのです。

プラグインなどを使ってコンテキストを共有することは可能だが、そもそも相談相手なのでそこが得意なように思う。与えた情報の整理やコメントをしてくれるだろうが、何か解を出してもらったり専門家のようにファクトチェックしてもらうものではない。論理的に考えて筋が通っているかとか、あくまでも与えられた情報と条件のもとで第一歩を踏み出す後押しをしてくれるサポーターという位置付けが良い気がした。