ずっと前から続いているし、今後も続いて行くだろうと思うけど、無人戦闘機の記事を読んだり、ネットで仲裁の記事を読んだりして、機械に置き換えられる仕事が増えていると実感した。The Economistはかなり前からパイロットが乗る戦闘機と無人戦闘機を比較して動向を丁寧に追っていたが、きっとそれは転換期における重要なポイントの一つとして認識していたからだろう。
工場のオートメーション化が進んで多くの人が不要になったとか、絶対計算でいろんな仕事が取って代わられるとか、ずっと言われ続けていたことであるし、飛行機の自動操縦なんてものはかなり前から行われている。更に言えばライフネット証券だって、保険のおばちゃんを置き換えるものであるし、カブロボが資産運用をしたり、少しずつ少しずつ人が不要になる新しいビジネスができあがっている。無人戦闘機について言えばパイロットが不要になっても地上でサポートする人がけっこう必要になるけれど。
そんなことをいうと、やっぱり人間じゃないとなどと感傷的なことを言い出したり、いきなり怒りだしたりする人がいて困るわけだが、誰も「全ての」仕事が置き換えられるなんて言ってない。ライフネット証券では巨大な生命保険市場の数%取れるだけでも非常に大きいと言っていた気がするし、cybersettleを使ったネットで仲裁の件でも非常に単純なケースで弁護士費用が割高になるところだけ置き換えるというスタンスであるわけで、置き換えやすい部分だけ置き換えるだけでもインパクトは非常に大きい。大切なのは何が置き換えやすくて何が置き換えにくいのかを知ることであり、置き換える価値があるかないかを考慮することも重要である。それほど頭を使ってなくて大して付加価値がないのに、高いフィーを要求しているような分野が格好の標的になるのは想像に難くない。
そこで思い出したのは授業でよくやっているdisruptive innovation。イノベーションにはいろいろ種類があるが、このdisruptive innovationというのは、最初安かろう悪かろうと思われていたのが、どんどん進化していつの間にか市場を席巻しているようなケースを指す。顧客が満足する水準は途中で飽和しているのに、製品がどんどんオーバースペックになっている場合に、そこそこの品質で顧客の満足する水準を越えたものに一気にシフトするというのはよくあることである。ハードディスクやデジタルカメラなど例は枚挙にいとまがない。特に数値に根拠はないけれども、コストを10分の1にして、価格を3分の1にするみたいなことなんだろう。それかこれまでとは異なる特徴を付け加えるとか。
そういうことが当たり前になった世の中で自分は、ということも当然考えておくべきである。自分ができることで機械に置き換えやすいことは何か、置き換えにくいことは何か。すべての分野に通じるわけではないけれども、コードを書ける人間の強みというのは、その機械に置き換えというのを自分でテストできることだと思う。自分でテストできるようになれば、試行錯誤を繰り返すプロセスを数十倍、数百倍高速化できる。専門知識があって、どこに価値があるのかを認識しながら、機械化実験をできる能力というものに自分は注目している。