これはかなり面白かった。この辺の書評を読んで買った本。
数学そのものを解説した本と比べると読みにくいのだけど、しかしそれがどう役に立っているのかという点において、本書以上の本はなかなかないように思う。
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51049326.html
ドラマの紹介と思いきや枕にすぎず、データマイニング、オペレーションズ・リサーチ、ベイズ確率、ゲーム理論、暗号、指紋とDNA鑑定の尤度など、「数学という武器」が縦横無尽に活躍している。ドラマとはいえ、ホントに「囚人のジレンマ」を使って数学による裏切りの説得をするトコなんて爆笑もの。理論的な下支えといった裏方的仕事ではなく、数学が直接現場に役立っているところがスゴい。
http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2008/06/post_0b75.html
著者のうち、キース・デブリンは一般向け数学啓蒙書の執筆者として有数の存在であり、ジョン・アレン・パウロス、デュードニー、サイモン・シン、イアン・スチュアートなどと並んで出たらとりあえず買って読むべき数学っぽい科学系ライターの一人。
こういう訳者・山形浩生氏の丁寧な解説もありがたい。
数学で犯罪を解決する | |
山形 浩生 守岡 桜 おすすめ平均 お得な一冊 数学を現実世界に応用する際の困難さにも言及している。 数学の意外な一面を紹介する良書ではあるが、説明がやや中途半端な印象も 「数学は役に立つ」と主張する本の中では最高の説得力 数学を活かすためには Amazonで詳しく見る by G-Tools |
水滴のパターンを未来に適用して、次の水滴の落ちる場所を予測するのは無理だけれど、そこから逆算すれば水源は求められる。この殺人犯でも同じだ。
正しい問題を設定することが大事。
対テロ戦争として知られるようになったもので、諜報機関が使っている数学的手法の広がりや威力をきちんと説明するのはむずかしい。手法を全部説明するのはむずかしいばかりか、非合法だ—こうした問題で数学者たちがやっている最高の仕事の一部は、トップクラスの機密事項となっている。
このネットワーク理論の説明もなかなか面白い。
ノード間の距離などから、ネットワーク内で誰が最重要人物かを見極める。
「今日はきみたちの一人ずつについてリスク評価を数学的に構築してみよう。要するに、きみたちの選択肢と、それがどんな結果をもたらすかについて、定量的に考えようというわけだ。」
「というわけで、数学的に見たとおり、協力しないといちばん損をするのはきみだよ」
これはかなり笑えた。数学って凄い。
チャーリー:どうしてだれもが違う指紋をもっているとわかるの?
鑑識官:簡単に答えると、同じ指紋を持つ人間が二人見つかったことがないから。
チャーリー:全ての人の指紋を調べた?この星のあらゆる人の?
かつて完璧であると見なされて、法医学研究者がその確実性を疑いもしなかった指紋鑑定は、最近ではアメリカ中の裁判所や世界の様々な場所で、さらなる攻撃と批判的な精査にさらされている。
これは知らなかった。やっぱり思いこみは良くない。
こんな感じで、非常に楽しい本なのでおすすめだ。