昨日たまたま妻に頼まれて航空券のWebチェックインをした。航空会社のサイトにアクセスして、必要な情報を入力して当日の手間を少し省く。いつもやっているが、やはり便利な時代になったもんだと感じる。しかし元ワイヤード編集長のケヴィン・ケリーは更に先を見ている。
あなたは実際には航空会社の計算機に接続したいのではない。航空便のページや航空便のデータでもない。航空便そのものにつながりたいのだ。理想的には飛行機に、自分の座席に、あるいは発着時刻に組み込まれた処理と生データにつながる。これらの物とサービスの複合体が私たちが「航空便」と呼んでいるものであり、それにつながるようになる。私たちの究極の要望は、物のインターネットである。
「物のインターネットにおける四つの段階」: 七左衛門のメモ帳
ウェブサイトというのはインターフェースの一形態に過ぎないわけでそれにとらわれる必要はない。物と物がダイレクトに繋がって見える世界。その際の懸念事項も忘れずに述べている。
ウェブはあなたが常にあなたであると知っているとして、あなたは誰なのか?個人へのサービスの代償が、全面的な個人の透明性であるならば、それは全面的な個人の監視とは何か違いがあるのか?
「物のインターネットにおける四つの段階」: 七左衛門のメモ帳
自ら情報を提供すればするほど多くのものを得られる。しかしながらだんだん居心地の悪い状態になっていく。人によっては実害もあるかもしれない。どこに線を引くのか、どこまでの情報をどこまでの範囲で公開するのか。それは常に心に留めておく必要がある。
でも実際のところそんな未来がいつ来るのかはよくわからない。21世紀だというのに車はあんまり空を飛んでない(少しは飛んでるけど)わけだし、もうすぐもうすぐと思っていることはなかなか実現しなかったりする。それに関してマース=ガローの法則が興味深い。
「マース=ガロー・ポイント」: 七左衛門のメモ帳
- 未来に対する予測がはっきりと明らかである場合に、それがすぐ近い将来に発生すると誤認してはならない
- 遅れの原因は、生態系の中で見えないけれども他に必要な技術があって、それがまだ用意できないからである。そのような発明は、何年も保留されて近づいてこない。
- ある予測が実現し、かつ、その人の寿命がまだ残っていてそれを実行することができる最終時点を「マース=ガロー・ポイント」と定義する。その時期はその人の余命マイナス1に等しい。
- マース=ガローの法則:未来の技術に関する最も好ましい予測は、マース=ガロー・ポイントの範囲内にある。
自分が死んだ後のことはうまく想像できないから予測にバイアスがかかって、自分だけはその技術にぎりぎり間に合う的なご都合主義な考え方をしてしまうということである。人間誰しも本人が死ぬという個人的な特異点の影響を免れないというのが面白いと思った。
ケヴィン・ケリー著作選集 1
http://tatsu-zine.com/books/kk1