2018年2月東京・三日目(渋谷・下北沢)

VRといえば渋谷という情報を得たのでVR PARKに行ってきた。

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渋谷のセンター街のゲームセンターの中を通って4階まで上がるとVRのフロアがあった。平日夕方だったので予約せずに入れたが、予約しておいた方が確実だろう。

事前にやりたいものに目星をつけておくと効率よく回れそう。

最初にやったのは、ハシラスが作ったソロモン・カーペット。

空飛ぶ絨毯に乗ってシューティングをするわけだが、迫力がすごい。しがみついてないとバランス崩すし、扇風機と絨毯と映像が絶妙な浮遊感・疾走感を演出する。オープンデイで体験したゴールドラッシュのトロッコもすごかったが、この絨毯も勢いが素晴らしい。なんとか最後までクリアできた。

次に体験したのはハッピーおしゃれタイム。私のtwitterのタイムライン上でカルト的な人気なのでとても気になっていた。

 

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髪の色とか目の色とか選んで変わったときのドキッとする感覚は一体なんなのだろう。ステージ上のゲームはいわゆるVR音ゲーなので、Airtoneで慣れている。ポーズをとって自撮りしてとても不思議な体験だった。何も難しいことはないけれども、違う意味で上級者向けのコンテンツだなとなんとなく思った。

三番目にDive Hard VRという高所脱出VRを体験した。

エレベーターで上昇するのはなかなかリアル。敵が出てきて、撃っていくのはよくある感じ。ヘリコプターに乗り込むところまで、高所の狭い所を歩いていくのは全然怖くなかった。下を覗き込んだりしたし映像もよくできていると思うけど、新鮮な驚きみたいなのはあまり感じなかった。扇風機でもつけて強風を演出した方が良いのかもしれない。

続いてCircle of Saviorsを体験した。コントローラの交換で少し待つことになったが、設定画面や操作を見ることができたのでそれはそれで楽しめた。

ちょっと油断してると囲まれてしまうゴブリン狩りゲーム。ラスボスの攻撃の際には丁寧にどっちに来るか事前に教えてくれるし、アテンドの人が攻撃する場所とタイミングを指示してくれたので、なんとかクリアできた。そんな難易度設定になっている。

最後にイカロスもやってみた。

これ全然うまくバランス取れなかった。シンガポールのサイエンスセンターにあるものとはちょっと違うみたい。

そんな感じで全部ではないがある程度体験できて満足。新宿のVR zoneとは違った面白さがあってよかった。

久々に天下一品。

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そして下北沢へ。

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ビールを飲ませたいのか本を読ませたいのかよくわからない店。

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そんなに人が集まらないのかなと思ったら、そんなことは全然なくて満席だった。

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深圳ではなく東京でこういう光景を見るのは不思議な感じ。

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気のせいかもしれないけど、東京だからかエネルギッシュというよりもかっちりとした印象を受けた。

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こういう出版イベントを毎日のようにやっているのでパワフルな人たちなのは間違いない。

2018年2月東京・二日目(八丁堀・東京タワー・五反田)

この日は八丁堀のVR企業にお邪魔していろいろと体験させて頂いた。この会社(XVI)は、キャラクターに命を吹き込むことに関して世界トップレベルで他の追随を許さない。

まずいつも家でやっているMikulusの最新バージョン(徳島版)を体験。

手でファイルつかめるのも、オブジェクトが出てくるのもすごいけど、向いている方向によって音が変わるのがすごく面白かった。通常のデスクトップの延長ではなく、空間をフルに活用した新しいコンセプトが体験すれば即座に腑に落ちる。素晴らしい。

そして今話題のvtuber配信システムAniCastも体験させていただいた。

 

これまでVRWalkでユニティちゃんになり、PlayAniMakerでミクさんになったが、ここでは東雲めぐさんになれるのである。

実際に使って舞台裏を垣間見ることができたのだが、このAniCastは実によくできていて痒いところに手が届くとしか言いようがない。何の違和感もなくスムーズに自分の動きと連動してキャラクターが動くし、カメラがついてないのに音声からリップシンクでキャラクターの口が動く。カメラの視点を選べるし、表情もTouch controllerで変えられる。こんなにお手軽に、こんなハイレベルなことをやられてしまうと、他のところが大変だろうなあと正直思う。

それから刀剣乱舞のVRも体験させていただいた。オフィスにこれの体験用の座布団が用意されていて流石である。

刀の擬人化で女性に圧倒的に人気があるということくらいしか知らないのだが、それでもキャラクターが近づいてくるとドキッとする。そのくらい完成度が高い。これが自分にとって思い入れのあるキャラクターだったりするとそれはもう大変だろうなあと想像に難くない。

それからHeartalkを使ったユニティちゃんと会話するものも体験させていただいた。

会話してみてくださいと言われても困ってしまうわけだけど。

他になにかやりたいものありますかと聞かれたので、さっぽろ雪まつり限定コンテンツがやりたいですとリクエストしたところ、出していただいたのはこのミク☆SHOT!

シンプルで短いけれどもとてもあざとく非常に完成度が高い。これは人をダメにする。

もう一つ雪まつり限定コンテンツも体験させていただいた。

これも衝撃だった。人形遊びと言ってしまえばそれまでだけど、その作り込みが凄まじい。アイテム一つ一つに驚きがあり、特にミラーボールがいい。そして何と言ってもステージに入れる機能がすごい。これまで三人称視点で上から見ていたのに、一気にその世界に入ってしまえるのだから。とても楽しく遊べた。

こんなにすごい体験がOculus Touch(と座布団)だけでできてしまう。どれもこれも非常に工夫されてとても丁寧に作られている。妥協のなさとVRを知り尽くしている感が全体から伝わってきてすごかった。

そしてこの後、東京タワーへ。

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メガスター・ジャーニーを体験しにきた。

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両手両足にマーカーをつけて、Gear VRを装着して楽しむコンテンツ。東京タワーのチカから出発して、月面を歩いて宇宙空間で星を眺めるというもの。割りと単純に前に歩いていって戻ってきてという運動が多いが、やはり歩いて自分で乗り物に乗り込むというのは体験の質を高めるなあと改めて思った。

あとはミルクレープをたべたり、

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五反田で日本酒を堪能。

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散々遊んで美味しい料理を食べて満足。

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忙しい中遊んでくれた方々に感謝。

2018年2月東京・初日(六本木ヒルズ・常陸野ブルーイングラボ)

旧正月までで仕事を辞めて、半年ぶりに日本に行こうかというわけで東京に行った。よく考えてみると日本に行くのが年2回で去年深圳に3回行ったので中国のほうが頻繁に行っている。

旅行するのによく理由を聞かれるけど、アレがさっぱりわかんない。自分で決めたルートを飛行機乗ったり電車乗ったりするの楽しいし、知らない土地で道に迷うほどわくわくしてそろそろ本気出すかって気分になることはない。何か新しいものに遭遇するの楽しいし、時々どこかに行かないと具合悪くなってしまうのだが、逆になんで行かないのと聞きたくなる。

それはそれとして今回久々に六本木ヒルズに行った。

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景色いい

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目当ては自分のどぶろく作りの先生である勝本さんのCD Prayer。

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機能的だし、洒落が効いているし、シンプルだけど深い。

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CD Prayer

他に気になったのは、ソニーのimmersive体験。

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暗室の前で数分並んで入ってみると椅子が3つだけのコンパクトな展示で、ペーパードームのような半球のドームがあり、その両サイドにEntaniya魚眼レンズのような巨大なレンズの付いた光源があって、そこから投影していた。

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ヘッドマウントディスプレイなしでも、ドーム正面に座ると両サイドのレンズの中間あたりの空中に映像が浮かんで見えてとても不思議な体験だった。

その他、いわゆるメディアアートらしく幅広い分野の様々な展示があった。

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ピアノを弾くと香りが届くのはなかなかおもしろい。

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色々頑張っている感じがする

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隣でやっていた展示も非常の楽しめた。舟が浮いている。

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自分が中に入り込んだかのように見えるとか。

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鏡ってのは楽しいものだ。

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続いて、秋葉原付近の万世橋エリアに行った。こんなにおしゃれエリアとは知らなかった。

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常陸野ネストの店ができたと知ったときからずっと気になっていて、ようやく訪れることができた。

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タップのビールがたくさんあるというのはそれだけで価値がある。

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テイスティングセットがあるといつもとりあえず頼んでいる。

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席数は多くないがこじんまりとやや隠れ家っぽいこの雰囲気は悪くない。もちろんビールも美味しい。

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常陸野ブルーイング・ラボ(Hitachino Brewing LAB.)

ちなみにこの店の裏側に日本酒やワインの店などいろいろあってそっちも気になった。腹ごしらえにそっちの店に行くのも良いかもしれない。

バンコク2日目

Maker Faire Bankokのナイトパレードの翌日、NSM Science Squareに案内してもらう機会があったので出展者に紛れて参加させてもらった。自分のポジションはなんとなく航空券を買ってふらっと海外メイカーフェアに参加しているもの好き枠みたいな感じだろうか。

場所は博物館みたいな建物かと思ったら、ショッピングモールの中にあった。

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ショッピングモールの一角にしてはなかなか広い

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タイ語はわからないけど、なんとなく内容は想像できる。

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その後老舗の日系スーパーを見学した。他にもいくつか見てみたが、シンガポールとは違って日本のものが全然高くないことに驚いた。現地在住の友人の家も案内してもらったが、ここバンコクでは非常にぬるい感じで生活できそうである。

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最後に現地のクラフトビールを飲みに行った。

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たまたま検索して見つかったGolden Coins Taproomという店だが、なかなか良い雰囲気だった。周りのカフェやレストランもとても落ち着く。

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テイスティングセットもいえばすぐに出してくれる。

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もう味は覚えてないが、安くて美味しかったように思う。

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そんな感じで週末弾丸バンコク旅行はここまで。

Maker Faire Bangkok 2018

2018年1月にバンコクMaker Faireが開催されると知る。もうたくさんMaker Faireに行ってるから別にいいといえばいいんだけど、週末暇だしバンコク近いからとりあえず行っておくかってことで航空券を買った。

金曜日に仕事を終えて、ドンムアン空港に深夜着。タクシーで宿に向かった。Grabも使えたがピックアップ場所がよくわからなかったので、タクシーを使った。運転手が英語わからずホテルの場所もわからなかったので、google mapナビのタイ語読み上げ機能が活躍した。やはりHappy Roamですぐにsimカードを使えるのは便利だな。

翌日、Maker Faireは午後からなので午前中は郊外に向かった。タイでビールのホップを作っているというので、どんな場所なのか気になったからである。

タオプーンで乗り換えて、Ministry of Public Healthからバスに乗ろうとしたが、バスがいつ来るかよくわからなかったのでGrabで移動してたどり着いたが閉まっていた。

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犬がたくさんいて威嚇してきてけっこう怖い。カフェだから普通にやっているものかと思ったが、Facebookでメッセージを送ったところバリスタが日本に行ってるから休みだとか。そんなわけで道路挟んで向かいのカフェに入ったが、ここはここでなかなか良かった。

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そんなことをしているうちに昼になったので、来た道を戻りつつ昼ごはん。やたらと辛かった。

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そしてMaker Faireの会場に到着。

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なかなか力が入ったイベントである。

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ちなみに隣のショッピングモールで予約制のワークショップをしていた。

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今回は時間があったので一つ一つわりとじっくり見た。やっぱりMaker Faireは展示を一つ一つ見て、自分の中から湧き上がってくる気持ちに素直になるのが良い。

東南アジアらしいこんな展示が目についた。

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こういう昔からあるものと組み合わせるのはとても面白いと思う。

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他のMaker Faireと比べて楽器が目立ったように感じた。

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プーケットのこの団体の子どもがレベル高かった。

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こういう手作り感あふれる射的もいい。

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PCに座って走り回っている人がいて楽しい。

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3Dプリンタの出力後に磨くツールを売っていた。見違えるようにつるつるになる。

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ナイトパレードはとても絵になる。

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深圳やシンガポールにはない文化がここにはあるんだなと強く感じた。

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上手く言えないけれども、なにかとても良い時間を過ごしたという気分になった。

 

もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来

yomoyomoさんの新しい本が出たということで買った。連載はところどころ読んでいたけれども全部読んだわけではないし、このように各章ごとに丁寧な解説付きのまとまった本が出るのはとてもありがたい。それもDRMフリーの達人出版会からである。購入者のメールアドレスが入っているだけで通常のPDFファイルとして扱えるのでとても便利だ。

これまでyomoyomoさんの解説や文章はわりとニュートラルでさっぱりとしたものが多かったと記憶しているのだが、本作では割と踏み込んでいたり、多少自虐があったり、好き嫌いを明確にしていたり、感情が見え隠れしていて意外だった。電子版についているディープな付録を読んだ今ならその理由が想像できる。いずれにせよこれほど密度の濃い内容を楽しくとても深く読めるこの本は貴重なのでぜひともおすすめしたい。

「ブログは書き散らかしができ、蓄積されると逆に自分のことがわかってくる」

ブログは単なる自己発信だけでなく、自分自身気付いていない自分の関心や興味に気付かせてくる、自己発見を促すツールでもあります。

こんな感じのブログ論もあれば、

「食べ物に対する愛ほど真摯な愛はない(There is no love sincerer than the love of food.)」

さらっとこんな言葉が紹介されていたりする。

このプライバシーに関するところもとても印象的だった。

我々が「プライバシー」と呼ぶものには、具体的にはメッセージの内容を秘密なままにする「秘匿性(secrecy)」、たとえメッセージの内容が公開されても送信者を特定しない「匿名性(anonymity)」、そしてその「秘匿性」や「匿名性」を侵犯する権力に縛られることなく自由に人生の重大事を決断できる「自立性(autonomy)」という三つの意味があること、そしてこれら三つの要素から構成されるプライバシーこそ我々が「民主主義」、「秩序ある自由」、「自治」と呼ぶものの前提条件になる

プライバシーを保護することが一個人の権利を保護することだけでなく、よりよい社会を形成していく上で必須のことだということがよくわかる。こういう視点で考えたことはなかったので、とても印象的だったのである。

情報については、こういう視点は確かに忘れがち。

「情報は力である。しかしあらゆる力と同じく、その力を占有しておきたい者たちがある」

ビットコインブロックチェーンの話も取り上げられている。

仮に(自分が投資する)テクノロジー産業が金融サービス産業を変えようと思っても、既存の金融サービス企業の上では新しいサービスを作るというのはありえない。例えて言うなら、Google Appleのプラットフォーム上でサービスを作ることで GoogleAppleを打倒しようとするようなものだ。本当にインパクトを与え、大きなビジネスを生み出すには、既存の金融産業を完全に迂回して出し抜くサービスを作る必要がある。

でもやはりこの本のメインは開かれたウェブ、オープンカルチャー、ハッカー倫理がどうなっていくのかであり、このリチャード・ストールマンの話が前提となってくるように思う。

ラボに残ったのは、システムやハードウェアの保守の仕方も知らない、あるいは知りたいとも思っていない、教授や学生やノン・ハッカー研究者ばかりだった。マシンは故障し始め、修理もしてもらえず、ときにはただ捨てられてしまうこともあった。ソフトウェアについても、必要な変更が行なわれることはなかった。ノン・ハッカーたちは、市販のシステムに頼ることで対応し、同時にファシズムとライセンス契約とを持ち込んだ。ぼくはよくラボの中を歩き回った。かつてはハッカーたちでいっぱいだったのに、今では夜になると人っ子一人いない部屋をいくつも通りすぎながら、ぼくは思った。「ああ、可哀そうな AI ラボ! お前が死にかけているのに、ぼくは助けてやることができない」

様々な要因により「自由」が絶滅の危機に瀕しているのではないか、というのがメインとなっている。

Don't be evilなどからよく知られるプラットフォームの「邪悪」について、

「「邪悪」が絵に描いたような悪党の悪巧みからではなく、そうした力を持つ者たちの高慢や独善から導かれることが多いことにもっと自覚的であってほしい」

そして、人間の悪意という別の「邪悪」について、

「その不快な経験から何かしら教訓を得たということはありません。ただ一つ言えることは、本当に困ったときに、ほとんど誰も助けてはくれないということです」であり、そして最後の「そして、その「邪悪」なものが勝利する現実に対して、それを是正する何かしらの術があるかと言われると、ワタシには何もないというのが正直なところです」

結局のところ受け身な対応しかできないという現実を認識させられる。

そして、自由のために規制しなければならない時代になったという現実も認識させられる。 

ネットはリアルとは別の自由な空間なんだから政府は規制なんかするなと拒絶して済んだ季節はとうに過ぎ、我々はネットに対応する法律を整備し、規制を行使していかなければならないのです。例えば、ビッグデータの利用とプライバシーの問題にしろ、「忘れられる権利」の問題にしろ、我々はしかるべき法整備を進めなければなりません。そのとき重要なのは、目先の利益/不利益の調整ではなく、我々はインターネットをどういう場にしたいのか、そこで何を守りたいのかという根本にある理念や美意識であるべきです。

 そして、歳をとることについても考えさせられる。

果たして自分は情熱や好奇心を今も保ち続けているだろうか? 今も自信をもってイエスと答えたいところですが、ワタシの場合、今でもそのように見せかけているだけで、本当はそれが尽きかけているのではないかという恐れがあります。

そんな感じで、決してふわっとした明るい未来を描いた本ではない。とても重要で、日々インターネットを使う人にとってはとても身近なテーマが描かれている。 

それに関して紹介されていたクルートレイン宣言は、考える指針となるかもしれない。

重力はそれが我々をブラックホールに吸い込むまでは素晴らしいFacebookGoogleAmazonApple が提供するのは、その会社のゴーグルを強いられるようなウェブ体験である。これらの企業の単一性が危険なのは、それが邪悪だからではない。彼らは実に良い仕事をしており、それは称えられるべきだ。しかし、彼らは集団性の重力、つまりは「ネットワーク効果」から利益を得ている。競争相手がいないなら、こうしたウェブの巨人が初心を忘れてないか我々は深く警戒する必要がある。

 利便性のためにデータを提供するとして、提供したデータの使い方も制限する必要がある。

あらゆるものがネットにつながるのは OK だ。だが、集まったデータを利用するのは、人間であってほしくない。

こんな感じでオープンカルチャー、電子化、テクノロジー最高って考えていたら、こんな風に冷水を浴びせられる。それはカリフォルニアイデオロギーだと。

この本に書かれているのは、そうやって電子書籍が広まっていくのはいいんだけど、そうなると書籍ビジネスって基本的に今の構造のままだとシュリンクしちゃうってことを書いてて、要は市場規模がちっちゃくなる、と。でも、テクノロジーとかインターネットを好きな人は、これが未来だ、とか言ってて。でも、それってあなたたちの共産主義的なエゴなんじゃないですか? ということを書いてるんですよ。でも、結構僕らってそういうとこに割と無頓着なところがあると僕も自分自身自覚してて、要はオープンなインターネットがいいとか、オープンソースがいいとか言ってるんだけど、それがいいって言ってるのって、あんまりロジックがなくて、それがカッコいいとかクールだとかそういうところの気持ちに支えられてる部分が少なからずあると思うんですよ。

自分は完全にその無頓着な側の人間なので、確かにこういう考え方はある種の宗教であってイデオロギーであることは否めないと自覚する必要を感じた。

そして、自分として最も印象的だったのは36章の「20 年後:インターネットの自由という夢の死」である。表題にもつながる重要なトピックだ。

そしてそれは、情報は自由にアクセスできるべきで、コンピュータ技術は世界をより良い場所にするというハッカー倫理への信頼も意味しました。その「インターネットの自由という夢」を実現したくて、彼女は弁護士としてハッカーたちが重要な仕事をできるよう、彼らの弁護を引き受けてきたのです。

しかし、その「インターネットの自由という夢」は死につつあると彼女は警鐘を鳴らします。

好むと好まざるとにかかわらず、我々は自由やオープンさよりもセキュリティやユーザインタフェース知的所有権などへの関心を優先させてきました。その結果、インターネットはあまりオープンでなくなり、より中央集権化し、より規制が強化されてしまいました。

個人の趣味から始まったものが大企業の産業と化し、オープンで自由闊達だったものが閉鎖的に変質してしまう、情報技術の典型的な発展の「サイクル」にインターネットもあてはまるだろうか? と問いかけます。

もしそうならば、インターネットもテレビと同様に中央集権化した企業に仕切られるものになってしまうでしょう。そして、そうならば、多くの人は「インターネットの自由という夢」をもはや共有していないことになります。それどころか、多くの人はインターネットに規制を望んでいる――。

これを読んでいてとても悲しい気分になった。大学生の頃にフリーカルチャーの思想にかぶれていた自分にとって、薄々気がついていたもののあの世界が過去のものになっていくことがとても悲しかった。

暗号についても、大事なのはわかるけどテンション上がらないよねえと(おそるおそる)率直な意見を書いていて、ああ自分だけじゃなかったと妙な安心感を抱いてしまった。こんなふうに重要なのは頭では理解しているのだが。

暗号化はデフォルトであらゆる通信に有効であるべきで、何か保護する価値があるものに対してだけ有効にする機能ではダメなのだ。

これは重要である。重要なデータに携わる場合にだけ暗号を使うと、暗号化はそのデータが重要である合図になってしまう。

 オープンで牧歌的な時代はそう長くは続かなくて、それを幼年期の終わりと呼ぶのかもしれないなあと寂しい気持ちにさせられる。

かつて電話もラジオもテレビも通った道である、オープンで自由だった分野が支配と独占へ向かうサイクル論は、メイカームーブメントにも当てはまるのだろうか

 ブラックボックスを受け入れるとして、どのブラックボックスかって話になる。これはとても大切な設問で、自分も絶対に関わりたくない企業はいくつかあるし、それはその会社のブラックボックスを全く信用していないからだ。

「誰のブラックボックスを信頼するかが、21 世紀の重要な問題になるだろう」

 あとがきでも引用されているクルートレイン宣言からもう一つ。

「自分が理解しない属性の人たちを悪魔のようにみなすのは、この上なくひどいことだ。(中略)ネットは我々に自分らしくいれる共有地を提供する。その場所は誰のものでもない。皆がそれを利用できるし、誰でもそれを改良できる。それこそが開かれたインターネットの姿である。」

プラットフォームに左右されないようにオープンで互換性のあるものを使っていくのがいいけれども、やっぱり便利なものは便利だし、天秤にかけながらマシなブラックボックスを選んでいくのが個人としての立ち振舞い方なのかなあというありきたりな結論に自分は落ち着いた。限られたリソースと個人的なこだわりポイントからそこそこ良いもの、あんまり変なことされないところを選択していくことがますます重要になっていくのだろう。

インターネットがどう変わっていったか、そして自分はどう関わっていくのか、そんなことをじっくり考えさせてくれるとても良い本だった。

ちなみに付録も素晴らしい。様々なことがとてもストレートに書いてあって、生まれ育った土地から離れて暮らす自分にはグサグサと突き刺さるものがあった。

そんなわけで非常におすすめ。

あと、もしここまで読んでyomoyomoさんって誰?って言う人がいたら、昨年書いたこの記事を読んだらいいと思う。

週報 vol. 3 (15-21 Jan 2018)

イベント

スカパラのライブ

https://www.esplanade.com/festivals-and-series/mosaic-music-series/2018/tokyo-ska-paradise-orchestra

別にそこまで熱心なファンでもないけど、近くでやってるから行ってみるかみたいな気軽さがあるのは、シンガポールのいいところかもしれない。ボーカルの人を呼んでくるイメージが強いけど、単独ライブ楽しかったし、かっこよかった。

なんとなく暇だったのでバンコクに行ってきた話はまた別に書こう。シンガポール並みにぬるい環境だということがわかったので、ここに住むのもありなんてことを考えたりした。

漫画

安楽椅子探偵に近い雰囲気。試し読みして面白かったので1巻を買った。非常に良い。

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

 

美大というジャンルがまず良い。勢いがあって、続きが気になる。

気になった記事

この人が日経ウーマンに記事を書くとか、大学生の頃に自分に言っても信じないだろうことのランキングに入りそうだけど、これがまた端的にとても的を射ており、この人プロフェッショナルなんだなあという印象を抱いた。

IVRPA Tokyo 2018 Conference – Call for Speakers – 28-31 May 2018 :: IVRPA

昨年ウィーンに行って参加したIVRPAが今年は東京で行われる。このサイトからペイパルにつなぐといまいちうまく行かなくてまだ支払いができていないけれども、今年も参加する予定。


Nintendo Labo(ニンテンドーラボ) 初公開映像

ニンテンドースイッチを買おうとは思わなかったけど、このニンテンドーラボの製品コンセプトというか頭の使い方は非常に面白い。タイヤが回らなくても振動で動くとか、センサーでピアノにしてしまうとか、アイデアってすごいなと正直思った。

東京で行われたこのVRイベントは非常に面白そうだった。やはり日本から出てくるVRコンテンツは非常に斬新で面白い。

染瀬さんの記事。非常にレベルが高い空撮360動画がいくつも紹介されている。

たまたま見かけた東京のマイクロブルワリー。こういう雰囲気のところ大好きなので、2月に行くつもり。

アクションカメラで撮るだけ撮って、あとからアングルを編集という流れになっているみたい。何度かinsta360 oneで試してみたけど、自分はどうにもアングル指定してしまうのはもったいないなあと感じてしまう。単に360ストーリーテリングなしでは何に注目したらいいかわからないし、どっちを向けばいいかわからないというのはわかるけど、人類がもう少し進化して空間的に一気に把握できるようになってもいいんじゃないのかなと思ったりしている。

VIVE Proに関するインタビュー。背景やスケジュールなどわかってとても良い。

AS

あんまり進捗ないなあ。

360撮影、オンラインマーケ、VRコーディネータ、輸入販売、STEM教育が当面のキーワードになりそう。テクノロジーを活用して前進・加速みたいなことに貢献して、顧客に喜んでもらえるといいなあというざっくりしたイメージ。お酒を組み込むのはちょっと無理があるかも。潤滑油的なポジションで使えそうではある。