「でも僕の人生ですから」

昼過ぎに会社を出て、強い日差しの中、駅に向かった。
午後に半休を取ると、大抵こんな感じである。
デスクワークだからこそ、この日差しが大切な気がした。
有休余ってたら、半休取ってカフェで仕事とかも悪くないかも。
そんなことをぼんやりと考えてたら浜松町に着いた。
東京タワーに向かってふらふら歩くと、大きな門があった。
大門ってどういう意味か謎だったけど、芝の増上寺の門か。
けっこう近いんだな。歩いてみるとよくわかる。


というわけで、東京タワーの向かいの建物で講演会を聞いてきた。
id:koichiro516さんが講演するということで、その学会の会員じゃないけど
聞きたいなあと思っていたら、参加申し込みをしていただけたのである。
かなり早く着いたので、しばらく過去問を読んでいた。
「木の葉、売ります」で知られる高知工科大学の方の講演では、
地域の活性化の事例が豊富に紹介されていて、非常に興味深かった。
不利な状況でも別の観点で見ると有利になるのが面白い。
個人的に印象に残った言葉は、「ミッションの共有」あたり。
利害関係だけではなく、「ミッション」があると強いチームができる。
価値観とはまた違うけど、ざっくり同じものを目指すのが大切かも。
(平野真著「地域発「価値創造」企業—知識社会の経営戦略(丸善出版)」)
アマゾンで見あたらなかったけど、そろそろこの本が出るとのこと。


続いて中村さんの講演。大学からシリコンバレーのベンチャーに行って、
そのベンチャーが潰れるまでの話。時間を忘れるくらい引き込まれた。
ケーブル忘れてクリーンルームに入って、そのまま実験したらうまくいった
という話が面白かった。自分も大学の時にクリーンルームで毎日実験してたので
一回防塵服来たら着替えるの面倒という気持ちは、非常によくわかる。
扱う材料も測る特性も違うけど、けっこう似たようなことしてたんだな。


自分がソフトウェアよりも材料・物性系の出身なので、ベンチャーとか
シリコンバレーといえばネット企業みたいなのはなんか違うと思ってた。
だから、ネットが地道じゃないと言いたいわけじゃないけど、
実験室で大量にデータを取って試行錯誤を繰り返すようなスタイルに
共感というか、「そうそう、これこれ」と感じるのである。
光導波路辺りでノードの説明をするとき「鉄道でいうとポイント」
というのも地味に笑えた。鉄分低い人にはむしろわかりにくくなってるし。

  • 「誰でもできる」は難しい
  • VCs invent in teams not dreams.
  • 観客が大事

というのも、改めて言われるとなかなか深い。
Death Valleyについてもなかなか新鮮な視点からの話だった。

  • Death Valleyには絶対入らなくてはいけない
  • お金(資金)は、その準備のために必要。
  • Valley of Pleasureでもあり、けっこう楽しい。

Death Valleyを生き残れるteamであることが大切か。


中身としてはそんな感じだった。
印象的だったのは、「人生一回だけだから」「僕の人生ですから」
というふうに人生という言葉が自然に出てきているところ。
それに比べて自分は全然チャレンジしてないなあ、と思ってしまった。
あと、ジョギングしたり、山に入ったりしてけっこう運動してる。
そういえばこの人「考えるクマ」と対等にやってるんだった。
何の運動を始めようかな、始めるにはなかなかいい季節になってきた。
あと、やっぱり全体を通して、前向きで楽しそうだった。
「楽しい」というのは、言葉以上に雰囲気で伝わる。
失敗じゃなくて面白い経験ができたと考える、というより、
自然にそう考えてる人。それが当たり前の人。しぶといだろうな。
最後の言葉がかっこよすぎる。

You are the pioneer of your own frontier.

自分の経験を自分の言葉で話す、ただそれだけのことだけど
その場その場で必死に考えて、いわゆるサバイバルをしてきた人だから
言葉に重みがあった。シリコンバレーツアーのパネラーみたいな雰囲気。
5年くらい前に初めてこの本を読んだときみたいな気分だ。
http://d.hatena.ne.jp/pho/20071219/1198079256
チームの一員として、自分の強みが何なのかを改めて考えてみよう。
明後日の試験頑張ってこよう。それから行動しよう。
非常に刺激的な講演をどうもありがとうございました。