ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない)

ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない)
ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない)渡辺 千賀

おすすめ平均
stars「3年で辞める若者」が逃避のために読む本ではない
starsシリコンバレーに行きたくなります
stars読み物として単純におもしろい
stars「効率化によって社会が豊かになっていく」
starsワーキングスタイル 2.0

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本屋でざーっと読んだとき、単にブログの寄せ集めかなと思ったけど、
じっくり読んでみるとかなり加筆されているし、全体としてタイトルを
意識した流れになっていることがちゃんとわかる。自分には伝わった。
まあ、日本で「漏電」ばかりしている人は、この本を読んだくらいでは
「漏電」をやめないから、きっと「オトギバナシ」なんだろうけど。
タイトルよりも、むしろ帯が誤解を招いている気がする。

  • 「会社に依存しない働き方がある」

日本ではフリーターをイメージするみたいだが、そうじゃなくてフリーランス。プロフェッショナルであることが必須。

  • 日本の若者に勇気を与える本です。

「日本の(大企業を蹴るか悩む)若者に勇気を与える本です。」とした方が正確。

人生のメジャーなゴールは「冒険に満ちた自由な人生を送る」こと
マイナーなゴールとして、世界のどこを旅しても現地の環境に負けないよう、「不潔に強くなる」

これが著者のテーマ。自分のテーマも似たような感じなので、全体的にしっくりくる。

人間の身体能力差はせいぜいそんなもの。しかし、「考える」という作業の能力差はとんでもなく大きい。人の二倍働いても収入が一緒、というのなら我慢できたかもしれないが、人の10倍の成果を出しても収入が一緒なのに耐えられる人は、果たしてどれだけいるだろうか。

日本も徐々にそうなって行くんだろうな。どうでもいいけど。

なぜに大自然が大切なのかといえば、ギークにはなぜかアウトドアスポーツ好きな人が多いのである。ウィークデイはせっせと働き、ウィークエンドは、ロッククライミング、100キロの自転車走行、といった体力勝負なスポーツに励んだり。

あんまり意識してないけど、今年の自分の傾向と似てる。
Lazy Suits - 今朝ちょっと行ってきた(山手線一周
http://d.hatena.ne.jp/pho/20060819/1155989157
Lazy Suits - 週一ジムの効果と続けるコツ
http://d.hatena.ne.jp/pho/20060925/1159179368
Lazy Suits - スキューバダイビングに行ってきた。
http://d.hatena.ne.jp/pho/20061126/1164536083
今年やってみたから、この意味が実感できた。

  • 素晴らしいアイデアであれば、その持ち主の服装が少々変わっていようが、アクセントがきつかろうが関係ない。むしろ、変わっている人の方が、斬新なアイデアを持っている可能性がある。また、バックグラウンドや知識領域が異なる人同士の接点から、思いがけない新しいチャンスが誕生することも多い。
  • 「英語」と「ぴかぴかの技術」という二つの言葉が話せれば、誰でもシリコンバレー人になれるのである。
  • たとえ失業しなくても、その危険が常にあるだけで人間見違えるように努力するもの。「必要とされる仕事」と「いまできること」のギャップは少なければ少ないほど新スキル獲得は楽。
  • 一方、雇用が安定した会社で「今の職場では、一昔前の技術しか求められていないから」と安穏としていると、あっという間に取り残される。そのときは楽でも、突然レイオフされたときに次の仕事がない危険が高まる。
  • 以上、まとめると、シリコンバレーは、常に努力し続けない人は捨てられる場所。
  • 裏を返せば、これこそ、究極の「努力が報われる社会」
  • いったん税金として集めたお金で国が福祉活動をするのは非効率、国民自らが直接慈善をすれば、役人の管理コストも無駄も排除できる。

長々と引用してしまったが、シリコンバレー精神(シリコンバレーは私をどう変えたか)を読んで、その周辺のブログをいろいろと読んで、3月にシリコンバレーツアーにも行ってきた自分にとってはごく当たり前のこと。このところ3年くらいずっと意識してたことだが、全然知らなかった人には新鮮に映るようだ。そういう人がmozanさんのブログを読むと、さらにショックを受けると思う。

無駄なパワーをセーブするには、会議、会食、通勤時間を必要最低限に抑える。

自分の現状分析としては、
会議15min/2weeks、会食ほとんどなし(忘年会2つ断った)、通勤時間片道40分
という感じ。通勤時間が長いな。あとは合格ラインに達していると思う。

「文句を言う」こと自体でなんとなく気が済む。つまり「本質的な変化を起こすパワー」を浪費してしまう。
グチを言うかわりに「不快パワー」を充電させて、本質的な変革を起こそう。

もともとあまり文句は言わないのだが、ここ数年さらに減った。意味がないから言わないようにしていたら、不思議と全然口から出てこなくなった。スルー力の向上も起因しているかもしれない。徹底的にストレスを回避して、嫌そうなことをどんどんスルーしてるのは、単に無気力なだけかも。あまりグチを言わないと人間らしくない印象を他人に与えるということを最近知った。

一応会社法人なっているが、社員は私一人である。この仕事でほかの社員を雇うつもりはなく、組織拡大願望はゼロ。能力とやる気がある人とだけ短期的にチームを作ってプロジェクトをこなしていく自由さが好きだから。

chikaさんらしい気がした。がりゅうさんのブログによると
諸悪の根源は物理的:「Salon de JTPA第二弾:渡辺千賀
http://www.cotton-tree.com/garyu/archives/2005/11/salon_de_jtpa.html

# 上司の下で仕事をするのは耐え難いが、部下を持って仕事をするのは更に耐え難い

ということなので、それをまさに実践しているんだろう。やりたければやればいい、やめたければやめればいい。ごちゃごちゃ文句言ってる暇があったらさっさと行動しろってことじゃないだろうか。いつか○○したいんだよな、じゃなくて、ちゃんと期限決めてやれ、ということなんだろう。

「よし、ポートフォリオでフリーランスして、ライフスタイルなチャンクワーカーを目指すぞ〜」という方

梅田さんの最初の本を読んで以来、ずっとこれを意識している。就職活動のときもこれがベースにあった。学校推薦で日本の大きなメーカーに研究職で入って、仕事の愚痴を言ったり残業ばかりで何も考えられなくなったりして、少しずつ自分が磨り減っていくのをイメージした。退職したら旅行に行こうとか、旅先でここに住みたいけど無理だよなとあきらめるとか、そういうことが一社目の会社見学で一気に頭をよぎった。その上でリストラの恐怖におびえたりして、生きてる価値あるんだろうかと感じてしまった。
人それぞれだけど、自分にはポートフォリオワーカーが非常に魅力的に感じた。5年後あたりにそれが実現しやすくするとともに、自分の好きなことをやろうということで、今海外でそこそこ名前が知られた会社(日本ではあまり知られてないけど)で技術系スーツ族として仕込みをしているわけである。
リスクを取ることを重視する人がよくいるけど、個人的には受け入れられない。海外で失敗しても日本のどっかにもぐりこめるような手配というかセーフティネットを張っておけばリスクゼロなわけで、背水の陣ってのは仕込みが足りない言い訳ではないだろうか。

脳コンピュータが正しい感情に導いてくれるよう、たくさんインプットを心がけ、それをもとに論理的な思考をするのは精度向上のために大事。しかし、その上でさらに、「感じ」を大事にすることで自分の持てる知識を最大限に活用できる。

ブログとかブクマコメントに「感じ」という表現が多いのは、これを意識しているから、というわけではない。単にあいまいなままぼかしたいだけ。ぼかすと書きやすい。

石の上にも三年、というのは古人の知恵。しかし、逆に言えば「石の上にも三年だけ」なのである。とんでもなく気が長そうな古人ですら、たった三年でOKといっているわけで

こういう視点は、これまでなかったけど確かにそうかも。ある程度自分で考えた結果なら3年くらい続ける価値はありそう。仕事に限らず何事も。
そういうわけで、酒飲んで愚痴こぼすのが好きな人は読まない方がいいと思う。時間の無駄だから。あと、政府が悪いとか会社が悪いとかすぐ他人のせいにする人も読まない方がいいと思う。意味ないから。何でも他人と一緒がよくて、一人じゃ何も出来ないひとも、あんまり関係ないかも。変えていこうという気があるなら別だけど。マイペースな人には、非常によい本だろうと思う。脚注が非常に充実してて楽しい。

さぁ、あなたもシリコンバレーでねこたんと仲良くしよう。

結局のところ、この本ってこれが言いたかっただけじゃないか?