タックスヘイブン

タックスヘイブン租税回避地)という言葉を聞くと、カジノで儲かっているモナコとか、カリブ海とかをイメージするかもしれない。就職活動のときにアクセンチュアの本社がバミューダ諸島だと知ったときは、そういうふうに活用するのかって思った。タックスヘイブンがよく登場する本といえば、DFSの創業者で匿名慈善事業家のチャック・フィニーの本が挙げられる。冒頭でフィーニーが財産のほとんどを手放す場面があるが、これはバハマだし、リヒテンシュタインで会社を立ち上げていた。何より強烈なのはサイパンの話。

「サイパンには観光産業どころか、ホテルさえありませんでした」と、アラン・パーカーは振り返る。「チャックはここが間違いなく観光にいい場所だと思いついたのですが、戦後に残っていたのは草ぼうぼうの古く長い滑走路だけでした。われわれは政府当局のもとへ行ってこう言いました。『サイパンでの免税販売営業権20年分と引き替えに、われわれが空港建設と滑走路の改装の金を出しましょう』」。「そしてわれわれは世界一の税制取り決めを結びました」と、ピラロ。「愛国心を煽ってサイパンをアメリカ領最大の租税回避地にしたのです。サイパンで得た収入を免税とする法案を成立させたんです。すべてわれわれが構築したんです。金脈でしたよ。非課税です。」

The Economistでもマン島とかジャージー島とかカリブ海の島々が出てくるので、その辺りをざっくり知りたいと思ってこんな本を読んでみた。
タックスヘイブン—グローバル経済を動かす闇のシステム (単行本)
4861821282

国際的視野から見たら、ロンドン市場は疑いもなく、地球で一番のタックスヘイブンなのである。ここに、先進諸国の他のオフショア金融センターの比重も付け加えてみたら、伝統的に辺境の地の小島に焦点が当てられてきた従来のタックスヘイブンのイメージ(そのなかでも、最も重要視されてきたのはイギリス国旗を掲げる世界の島々である)とは、およそかけ離れたタックスヘイブンのイメージができあがるだろう。タックスヘイブンという現象は、何よりもまず強大な国々が発展させたオフショア活動に由来するのである。

と、序盤からかなり意外な展開に。なんか長くなってきたので、続きは近いうちに書くことにする。