TEDって今でこそよく聞くけど、自分が知ってからまだ2年経ってないことに気づいた。かなり高額の年会費を集めて年に一回豪華なゲストを呼ぶイベントをしてる団体で、1980年代からやっていたみたい。2006年にスピーチをCCライセンスで公開してから一気に広まったそうだ。TEDは年に一回だけど、TEDx○○というTEDの名前を冠した別の団体主催のイベントは増えている。その一つTEDxBiopolisに行ってきた。
シンガポールには政府系の研究機関なるものがあって、Biopolis(バイオ系)とFusionopolis(エンジニア系)が代表的。
http://www.a-star.edu.sg/?tabid=860 (音声注意)
そのBiopolisのポスドクの団体が主催していたイベントがTEDxBiopolisである。
Kishore Mahbubani(http://www.mahbubani.net/)
NUSのLee Kuan Yew公共政策大学院のDean(学部長みたいなやつ)の人。人類は、賢くなっているのか、それとも愚かになっているのか、という問いを初っ端から投げかけていた。アメリカがイラクとアフガニスタンで負けてくれたお陰で、他の国が戦争に二の足を踏んで戦争が減った、アメリカありがとう、と言ってて面白かった。
Oliver dreesen
バイオのポスドクの人。テロミアの説明が非常にわかりやすく興味深かった。自分が取り組んでいることをわかりやすく説明するってのは、当たり前のことだけどなかなか大変なこと。こんなふうに楽しそうに取り組んでいる研究者は、非常に好感が持てる。
Jack Sim (http://www.worldtoilet.org/)
World Toilet OrganizationのFounder。アショーカ財団フェロー。このプレゼンが最も面白かった。40代で会社を辞めてトイレこの組織を立ち上げたらしい。トイレというのは大切なものだけど、なかなか話題にのぼらず、ある種のタブーになっているので、楽しいプレゼンでみんなを笑わせてタブーを打ち破ろうという言葉が印象的。実際にまともなトイレがないことで死に至る子供がたくさんいるとか、トイレというのはもっとも安価な公衆衛生改善策だとか、実は巨大な市場なのだと言っていて、興味深かった。
実際のところトイレ周りの専門家ではないけれど、いろんな専門家がいろいろ教えてくれるとか、メディアに取り上げられると広告宣伝費がかからないのでありがたいとか、非常に印象的だった。大切なのはpassionと人柄と実際の行動なんだなあと改めて考えさせられるプレゼン。TEDではないけどこの人の動画を貼っておこう。
Isabelle Desjeux(http://isabellecreates.wordpress.com/)
分子生物学のバックグラウンドを持つアーティストらしい。Failomicsという失敗学のような話をしていた。
http://isabellecreates.wordpress.com/2010/09/12/september-its-all-about-the-context/
実験の失敗事例をいろいろ蓄積して分類してマッピングしてみたそうだ。枝分かれして蔓のように丸まっているイメージ。試行錯誤という言葉が実にふさわしい。失敗したら嫌だからと何もしなかったら、何も生まれてこないということもよくわかった。何が次の種になるかわからないけど、きっとそれが面白いんだと思う。
Edison Liu(http://en.wikipedia.org/wiki/Edison_Liu)
ゲノムプロジェクトのトップの人。ゲノムを一冊の本に喩えた説明がわかりやすかった。たぶんそういう説明に慣れているんだろうな。この人たちは、すごいものを解読したんだなーと改めて思った。
Tay Kheng Soon(http://www.akitektenggara.com/)
建築家。ruralをurbanにするrubanizationを提唱し、いろんな国から引っ張りだこらしい。
http://greenleapforward.com/2009/02/27/eco-infrastructure-letting-nature-do-the-work/
下の方に写真が出ているけど、半径500mの円形領域を都市のユニットとして、間に畑とか水田とかを作っているらしい。日本では考えられないくらい人工的な計画都市で、どうみてもシムシティ。シンガポールが今のような都市になった理由をなんとなく理解できそう。
Frederic BARD(http://www.imcb.a-star.edu.sg/php/fb.php)
investigatorみたいだけど記憶にない。
Dale Purves(http://www.purveslab.net/main/)
このおじいちゃんは覚えてる。頭が赤くなっていたので、プレゼン前に酔っぱらっていたのがバレバレだった人。目はなぜ見えるのかという話を神経系の観点でしていた。明るさ、色の錯覚をいくつか取り上げていた。
http://www.purveslab.net/seeforyourself/
Michael Tay Ming Kiong
forensic scientist(法科学)のエキスパート。犯罪捜査には、自白やあやふやな証言ではなく、証拠が重要なのですという雰囲気だが、CSIというドラマは突っ込みどころ多すぎとのこと。やっぱり死体を見る仕事は嫌だなーと思った。かなりグロい写真もいろいろ出てきて、いろんな仕事があるんだな、なんて思った。
まとめ
動画で公開されているのを見るのもいいんだけど、実際に生で見てみると全然雰囲気が違うな。当たり前と言えば当たり前か。家で動画を見るときは、他のことをしながらとか、他のものが目に入ったりするけど、会場に来ると集中して聞くことができるし、その時間ずっとエンターテイメントとして楽しめる。会場の雰囲気なるものもあって、そもそも迫力が違う。英語の勉強に役立つとかけちくさいこと言ってないで、純粋に楽しめばいいと思う。
http://www.ted.com/