昼食の後、iceaddisというコワーキングスペースに向かった。途中エレベーターに閉じ込められかけることが、エチオピアではわりとよくあることらしい。
ここはBlue moonとは違ってインキュベータというよりはスタートアップやフリーランスがいろいろと入居している雰囲気である。ウェブサイトを見ても、Blue moonの人達と比べてもう少し進んだフェーズにいる印象を受けた。なかなか見晴らしの良いオフィスだった。
会議室でiceaddisの話を聞けるのかと思ったが、入居している企業50lomiの人が自社について説明してくれた。
病院経営を支援するERPを作っていると説明していた。例として医薬品の在庫管理がこれまであまりまともに行われていなかったからそのあたりをきちんと管理して無駄を省くんだとか。ウェブサイトを見てみると、ヘルスケアの分野に限定するわけではなく、サービス業や金融、その他中小企業向けにも展開していくらしい。
これといって特別なことはしてないようだが、アディスアベバ特有にニーズに合わせたものを設計して顧客のニーズに合わせていくことが大切なのだろう。
続いて向かったのは、世界最大の婦人靴メーカー。2011年より中国からエチオピアに進出し、米国に輸出する靴を生産している。
そこは巨大で空港ターミナルのようだった。
大勢のエチオピア人が靴や衣服を作る様々な工程のうちの一つを担当している。もっと中国人が多いかと思ったが、1割もいないのではないかと思う。こういう先入観を粉々にしてくれる圧倒的な現実を見たかったので、とても満足した。
東莞からやってきた中国人の指導を受けたエチオピア人が、靴の金型を作る光景もなかなか見られるものではない。技術が伝搬し、産業が生まれる様子を目にしていると思うととても感慨深いものがあった。
いろいろと標語が掲示されていたが、これはなかなかインパクトがあった。実にストレートな表現である。
工場というと若い女性が働いているイメージがあったが、ここでは男女あまり変わりなく働いているのが印象的だった。アジアだと男はすぐにサボるからみたいな話を聞くが、敬虔なる信者の多いこの地域ではそんなことはないんだろうか。たまたまそうなっているのかもしれない。
もちろん工場内のありとあらゆるものは中国から持ってきている。まとめて刺繍できる機械もきっと中国から持ってきたんだろう。
工場の食堂では思ったとおり大量のインジェラをつくっていた。
宿舎は中国からの駐在員向けと現地民向けに分かれていた。これは中国人向け。中には二段ベットが入っていて案外質素だった。
そしてこちらはエチオピア人向け。Ready Player Oneのトレーラーハウスを思い出さずにはいられなかった。きっとこの宿舎で育ったVRの申し子が悪の帝国を倒すのだろう。
あまり工場に馴染みがないので、セキュリティチェックのある家というのは新鮮だった。これでもシンガポールにいる出稼ぎ労働者より待遇は良さそうである。
話を聞いていて印象的だったのは、エチオピアの労働者保護に関する法律が手厚いというものである。ストライキは認められているし、労働時間も制限がある。児童労働も厳しく制限されているらしく、規定の年齢より上だと強調していた。
そんな工場だが、まだほんの一部しかできていないとのこと。ジブチまでの活用して円滑に材料を輸入し製品を輸出するとか、病院や学校やリゾート地を建設するとか、数年以内に一つの巨大な人工都市ができると思うと非常に楽しみだ。
夕食は観光客向けっぽいレストランに行った。
町中ではあまり見かけなかった中国人だが、ここでは接待のような光景が見られた。
ピンぼけした写真しかないが巻いてあるインジェラで肉を掴んで食べる。
これはこれで美味しかったが、他の店も美味しかったのでここだけ取り立てて美味しいというわけではない。そんな感じで、とても充実した二日目が終了した。