第一回アディスアベバ観察会 二日目前半・JETROブリーフィングとBlue Moon

時差の関係かやたらと早く目が覚めるので、朝7時に朝食を済ませて散歩に出た。ホテルの近くには高い建物があまりないので高架の道路から見渡すことができる。屋根の上のパラボラアンテナが目立った。きっとそこにテレビがあり、世帯があり、生活が営まれている。

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朝の通勤風景を見られてよかった

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近くの店に入ってコーヒーセレモニーを楽しんだ。

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やかんに挽いた豆を豪快に入れているのがなかなか楽しい。炭火で温まるのを延々と待つのでとても時間がかかり、時が流れる速さが違うものだなと感じた。もちろんとても美味しい。生豆を焙煎して挽いて淹れるところまでここでやっているからだろうか。

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Lonely planetに出ていた蜂蜜酒の店(Topia tej bet) がホテルの近くにあると知り、気になっていていたので場所を確認したかったのだが、なんとか見つけることができた。

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Axumホテルのそばの路地を入ってから左に曲がったところにあるのだが、google mapもlonely planetも間違っているので厳しいものがある。あの辺りでテジ、テジって言えばきっと現地の人が教えてくれるだろう。ちなみに看板はアムハラ語のみ。

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朝10時までオープンしないとのことなので、後日再訪することにした。

朝の散歩はこのあたりにして、ホテルに戻り、その後JETROのオフィスに行ってアディスアベバに関するブリーフィングをしていただいた。日本の3倍の面積に約1億人が住んでいるとか、日本人が200人くらい住んでいるとか、最近あった政権交代や非常事態宣言が現地の実態としてどういうものだったか、今後どういうことが予想されるかなどとても興味深く説得力のある話を聞くことができた。

行く前のエチオピアの印象として

というわりと大雑把なものだったが、国でまるごとインターネットを遮断することがあるとか、アフリカの政治のハブのようなポジションになっているとか、ハイペースで経済成長しているけれども圧倒的に外貨が足りないとかより詳細に理解できてよかった。

続いて、JETROが入っているビルの数階上にあるBlue Moonというインキュベータを訪問した。

ここは農業に関するスタートアップを支援するインキュベータ。オフィスも用意するし、メンターもつけるし、シードファンディング(1万ドルなのでプレシードと呼ぶべきか)も用意する。でも起業家にコミットしてもらうために自己資金(1000ドル)も少し入れてもらう。数ヶ月間のプログラムがあって、ドロップアウトする会社も少しあるけれども、それ以外は皆どこかから投資家を見つけてファンディングを得ているそうだ。

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このオフィス、シリコンバレーの意識高いキャッチフレーズがいたるところにあってとても面白い。真面目にそんなフレーズ書いちゃうんだみたいなのがたくさん。でも至って真面目な人々によって運営され、真面目そうなスタートアップが入居している。

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websiteを見ても入居している会社のことは全然書いてないのだが、Facebookページだと一つ一つフィーチャーしている。

blueMoon Ethiopia - アディスアベバ | Facebook

最近の投稿をベースにいくつかピックアップしてみた。

GuaroFarms - ホーム | Facebook

YomYo Agri Trading S.C. - 農業 | Facebook - 写真2件

BeNu Nutrition - ホーム | Facebook

Nature 4 Nature - ホーム | Facebook

ちなみにこのBlue Moonはインキュベータだが、入居しているスタートアップにexitみたいな考え方がないのが興味深かった。一般に会社がIPOしたり、どこかの大企業に買収されることによって出資者にリターンがあって、次の投資に使われるものだが、ここには株式市場もないし、とにかく会社を大きくして、雇用を生み出し、様々な問題を解決し、エチオピアを良くしていくことが重要とみなしているようである。

そのため、どちらかといえばソーシャルアントレプレナーという立ち位置に感じた。完全な慈善事業ではないし、ビジネスとしてやっていくけれども、立ち位置というか目指す方向としてそちら側のようである。自分も10年くらい前にこっち方面の本を読み漁っていたし、ゲイツ財団の活動を見たりしてるし、ワシントンDCのナショジオ博物館でDesign for the other 90%(世界を変えるデザイン)の展示を見に行ったりしたので、もともと興味のある分野である。今の段階のアフリカならではの話をこのエチオピアで聞くことができて、これまでよりも一歩深いレベルで近づくことができてよかった。

そういえばBlue Moonで農業にフォーカスと聞いたので、ドローン関連の会社はないのかと尋ねたところ、ドローンを使おうとしている会社はいくつかあるが、実際に使っているところはまだないとのことである。なんというかいろいろと手付かずなフロンティアだなという印象を強める訪問だった。