第一回アディスアベバ観察会 三日目後半 みんな大好きTECNO
午後はOrbit Healthというヘルスケアのスタートアップを訪問した。
電子カルテや薬の在庫管理などなどヘルスケア関連ならなんでもと言っていたが、どこまでが構想でどこまでが実現済みなのかはよくわからなかった。昔アメリカで働いていたというここのおじさんはなかなかお金を引っ張ってくるのが上手そうである。
この日はそれからTECNOというスマートフォンメーカーの店舗を見学した。
ちなみにこの会社のことは全然知らなかったのだが、アフリカで大人気の中華スマホメーカーだという。この会社、某世界的なドローンメーカーとほぼ同じ頃に同じ地域で創業し、PhantomだのSparkだの商品の名前も似通っていて非常に興味深い。
マンチェスター・シティのスポンサーをしているくらいなのでさぞかし儲かっているのだろう。自分のアンテナに全然引っかからなかった大企業というのは興味深い。
もう一つ面白いと思ったのはMade in Ethiopiaの端末。実際に組み立てているのか、箱詰めだけしたのかそれはわからない。いずれ靴と同様にこのような電子機器もここで作られるようになっていくのだろう。
最後に向かったのはEntrepreneurship Development Centreである。
アントレプレナーと言っているので起業家支援みたいなものを想像していたのだが、実際に話を聞いてみると出てくる内容が商工会議所や中小企業支援センターみたいな話ばかりで意外だった。おそらくもっと広い意味で小さい会社全般を支援する組織のようである。国としても積極的に取り組もうとしているのが伝わってきた。
夕食は和食の店。大使館の方と商社の方からいろいろと話を伺った。
アディスアベバがいかにエチオピアの中で特殊な場所で田舎は全然違うとか、よく見かけるトタン屋根の材料がどこからやってくるのかとか、なかなか興味深い話が聞けてよかった。そして、エチオピアの現状と先行きに対して非常に重く受け止めていることがよく伝わってきた。いい加減なプレイヤーにきちんと対処しないとエチオピアコーヒー市場の信用が毀損されて全部だめになるとか、外貨の問題とか、政策的にうまくやらないと更に厳しい状況に直面することになると懸念していた。
知的財産について勘違いしていたこともわかった。エチオピアはベルヌ条約にも万国著作権条約にも加盟していないのでてっきり著作権法がないのかと思っていたが、そんなことはなくてエチオピアの著作物は著者の死後50年間保護される。しかし、条約がないので日本のIPがエチオピアで保護されないし、その逆もそうである。
そんな感じで至れり尽くせりでいろんなことをしている人たちの話が聞けてよかった。