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フリーカルチャーをつくるためのガイドブック

ドミニク・チェンという名前を最初に聞いたのは7年前にPodcastでこの番組を聞いたときだと思う。
http://xcool.cocolog-nifty.com/xcool/2005/11/xcool_vol109__d82d.html
これをきっかけに知ったのがクリエイティブ・コモンズ。その後自分がサイエンスコモンズ翻訳プロジェクトに関わるなんて想像もしなかった。そして最近読んだのがこのインタビュー記事。
http://wired.jp/2012/07/09/freeculture/
ずいぶん前からアクティブに活躍しているドミニク・チェン氏が自分と同い年と知り、自分も頑張らないとなあなんて思った。で、もちろん買った。

文化の核心にある本質がインターネットによって変わったと いうのではなく、インターネット以前においては把握することの難しかった文化の力学をより克明に可視化しつつある

全体として既に知っている内容ばかりだが、長年この分野に関わっている著者ならではの意見が所々入っていて興味深い。

作者は作品の置かれた文脈や状況に応じて、自分が最も望む形で作品を世に広めるために適したライセンスを選ぶのです。

根本的なところに立ち返ってみると、大切なのはそういうことなんだろう。

現行の著作権によって規定される文化は、フリーカルチャーの議論では「許可を必要とする文化」(permission culture)と呼ばれ、「自由な文化」(フリーカルチャー)と対比されます。フリーカルチャーの目的は、不要な許可の必要性を排し、個々人が自由に互いの創作物を利用しあう状況を作り出すことであるともいえます。

あくまでも目的は自由な文化の推進であり、許可を必要とする文化の手続きの煩雑さを排除することが大切。

2001年には協働メンバーからの提案で「創造的な共有地」という意味の「Creative Commons」(「創造的な共有地」)という名称が決定し、活動の準備が加速されていきました

知的財産を土地に喩えるというのは、よくある手法だがクリエイティブ・コモンズもそうだったのかと気づいた。

フリーソフトウェアを含むフリーカルチャーの思想の背景には、共通する創造性(creativity)のとらえ方があります。それは、創造を行なうこととは常に先人の作 り上げた構築物の上に自分の貢献を付け足すことであるという考えです。

この考え方は本文中によく出てきた。「文化全体の中での作品の位置づけを把握する」という視点で物事を見ている。自分の中でドミニク・チェンと言えばクリエイティブ・コモンズの印象が強いのだが、クリエイティブ・コモンズというのはあくまでもフリーカルチャーを推進するための手段に過ぎないということがこの本を読めばよくわかる。皆が自由に創作活動をするのを考えたとき、いちいち利用許可を求めなければならない現状は煩雑なので、その手間を回避するためのツールがクリエイティブ・コモンズなんだろう。大切なのはフリーカルチャーなのだということがよくわかる。文化を守る仕組みを作る、その心意気が伝わってきた。

未来を無理に予測しようとしたり、現状に絶望したりすることなく、個々人が先人の創造性を継承し、次世代に新しい価値を伝えるという創造的な活動を気負うことなく続ける流れの中でこそ、自由な文化の生命が息づき、歴史が形づくられていくのです。

フリーカルチャーをつくるためのガイドブック  クリエイティブ・コモンズによる創造の循環
ドミニク・チェン
フィルムアート社
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