ソニー病

4896919874ソニー病
城島 明彦
洋泉社 2006-01

by G-Tools

家電業界に身を置くことになる者としてというかそんなことはどうでもいいか。
なんとなく今のソニーが気になったので立ち読みしたらけっこう面白かった。
けっこう充実しているのに1000円ってのはかなりお買い得である。
ソニーの歴史とか取り組み方とか非常によくわかる。
1月に読んで面白かった本三冊目。
第一章からいくつかピックアップしてみる。

宣伝広告費を削減しても広告効果は落とさない
出井氏と日経の間にギブアンドテイクの関係が成立
マスコミは業績が良い時にはチヤホヤするが業績が悪化すると手のひらを
返したように叩きまくる

95年から5年間好調で、その後5年間低迷した出井体制。
マスコミの手のひらの返し方がすさまじいと思うが、
昔からずっとそうだったわけで別に驚くことじゃないか。

時代を先読みしすぎた
時価発行総額で上回っている新興IT関連企業が老舗のエレクトロニクス企業を買収する危険性がある。ソニーがマイクロソフトなどの新興IT企業に買収されないという保証はない

この発言が1990年代後半に出ているあたりにかなりの先見性を感じる。
近頃はシスコシステムズが家電に興味を示しているので、何が起こっても
おかしくない状況になってきている気がする。

ソニー神話
昭和30年代 日本初のテープレコーダー
日本初のトランジスタラジオTR-55
昭和40年代 トリニトロン神話(井深神話)
アメリカRCA社が特許を持つシャドーマスク方式ではなく
独自のトリニトロン方式。画面が鮮明
その後  ウォークマン(盛田神話)
CD・MD(大賀神話)
神話崇拝のため薄型テレビや携帯音楽プレーヤーに乗り遅れる

創業者である盛田氏の著書「Made in Japan」を読んでいたので古い方はある程度
知っていたけど、こうやって並べてみるとなかなか壮観だ。
乗り遅れたのは事実だけど、だから駄目だとかそういうことはあまり感じない。
今はたまたま松下とかシャープとかアップルが良いと言われているが
長期的に見るとどうなんだろうと思ったりする。

外からはドライな企業と思われているが、実際にはそうではない。
従業員に対してとても温情的・人情的・古風で信じがたいような日本的泥臭さがある。

これは社員の人に聞いたことがあるがそうらしい。

サムスンの元役員
ソニーは超えられない壁であると思っていたが、ついにここまできたか

液晶テレビで提携する際の言葉。これを言われるとちょっと悲しくなるな。

給料が高いので辞めずに居座る。そこそこに仕事をするのでくびにできない
やりたいと意思表示すればやらせてもらえるが、権限がない。

人材がダメになっているんだとか。中途半端というのはけっこう問題なのかも
しれないと思った。官僚化しているというのも原因なんだろうと思う。

ソニータイマー
はじめにデザインありき。
パーツのどこかに技術的な無理が生じ故障につながる可能性が高くなる
品質管理面で松下に劣る

ソニータイマーについては後の章でさらに詳しく述べられいた。
都市伝説を生み出すにはぴったりの土壌があったようだ。
個人的にかなり参考になったのはフォーマット戦争のあたり。
自分の仕事に直結しそうなのでそのあたりの歴史を振り返ることが
できたのは非常にありがたかった。やっぱり1000円は安い。

4022605820MADE IN JAPAN(メイド・イン・ジャパン)―わが体験的国際戦略
盛田 昭夫 エドウィン ラインゴールド
朝日新聞社 1990-01

by G-Tools

こっちはブックオフで100円で買ってずいぶん前に読んだ。あわせて読むと
ソニーという会社がよくわかると思う。世界的なブランドをもつこの会社が。