アンビエント・ファインダビリティ

近頃かなり本を読むペースが上がっている。通勤時間に読むからだ。
座ってたらもちろん読むし、立ってても読むし、待ち時間も読む。
常に本を持ち歩いている感じである。隙間の時間を活用できてるおかげで
電車が目の前で行ってしまっても、本を読む時間ができたと
ポジティブにとらえられているというのは、非常に興味深い傾向である。


近頃読む本はけっこう当たりが多いので、こんなふうに集中して
楽しく本が読めているのかもしれない。その中の一冊を紹介する。

4873112834アンビエント・ファインダビリティ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅
ピーター モービル Peter Morville 浅野 紀予
オライリージャパン 2006-04

by G-Tools

たつをさんが紹介してたのを見て、気になって買った本である。
http://nais.to/~yto/clog/2006-04-27-1.html
実は初オライリーオライリー手提げは愛用しているくせに。
面白い。実に面白かった。これで2000円程度だからコストパフォーマンスも
問題なし。ただ、おすすめかというと、正直言って人によるかな。


どんな本なのかうまく説明できない。著者が序章で「あなたは何を探してこの本に
たどり着いたのか」と気にしているところからも、とらえどころのなさがうかがえる。
テーマはきっとこの言葉なんだろう
「未来は今日存在する。ただ不均等に分布しているだけ」
うまく見つけられる人には見つかっていて、そうではない人にはまだってことだろうか。
とにかく、見つけられないものは存在していないことと変わりがなく
ものを見つけることや見つけやすいシステムを作ることが以下に重要なのかという話。


経路探索の歴史やランドマークの効果、web上の経路についての考え方など
わりと斬新な切り口で興味深い。あとムーアズの法則も。
「ユーザにとって情報を持たないことより持つことのほうがより苦痛で面倒であるときには
必ず、情報検索システムが利用されにくくなる傾向が見られるのである。」
情報が単にあるだけでは意味がなくて、どれだけ扱いやすい状態になっているかが
重要なんだろうと思う。位置情報システムを使うといろいろ楽しいことができるよとか
監視システムも増強されて住みにくくなってきたよとか、そういうありきたりの話だが
そこで出てくるガジェットがまた面白い。いくつか知ってたけどでも楽しめた。
一番面白かったのは、ウェアラブルコンピュータの進化。アンテナ立ってて面白い。
そして広告はプッシュとプルのコンビネーションが重要となり、ファインダビリティの
専門家が果たす役割が非常に重要になってくるんだそうだ。
分類学の歴史とかセマンテックウェブとか言葉は聞いたことあるけど
よくわかんないことが詳しく出ていて非常に勉強になった。
google printが自分の想像以上にインパクトありそうと、この本を読んで感じた。


ちょっと発散気味の気がしないでもないけど、考えるきっかけになりそうなものが豊富で、
切り口もけっこう斬新なので、そういう内容が嫌いじゃない人にはいいと思う。