時雨殿にみる任天堂メソッド

京都の嵐山にある百人一首の観光施設「時雨殿(しぐれでん)」に行ってきた。
1月にオープンしたのは知ってたが、修士論文や引っ越しで忙しく、
なんとなく行けずに京都から引っ越してしまったので、今回が初めて。
ちなみに百人一首に興味はなくて、覚えようとしたこともない。
興味を持ったのは、この施設が任天堂が技術的にバックアップしていて
相談役の山内氏が多額の寄付を行っているというあたりである。


今回、非常にやり方がうまいと感じたのでとりあげてみる、
中身についてはいくつかのサイトで紹介されているのでそれを参考にして欲しい。
これまでにないニンテンドーDS体験! 京都の「時雨殿」は新趣向のゲームで遊べる!
http://arena.nikkeibp.co.jp/news/20060612/117111/
ニンテンドーDS百人一首を体験、京都嵐山の新名所「時雨殿
http://journal.mycom.co.jp/articles/2006/04/02/shigurede/
ニンテンドーDSでカルタが!? 百人一首の館"時雨殿"がオープン!
http://www.famitsu.com/game/news/2006/01/27/103,1138354017,48013,0,0.html
そもそもトランプや花札百人一首任天堂が、テレビゲーム的な
感覚を取り入れて、動きのある「遊べる」観光施設をつくったということ。

入場料800円

まず、入場料がなかなか際どいところを突いている気がした。
800円。1000円かかると高いし、500円以下だと安っぽいし
ってことじゃないかと思う。中はそんなに広くないから、800円は
ちょっと割高じゃないかと感じさせつつも、DSで遊べるしそんなもんか
と納得させるこのあたりが非常にうまいような気がする。

人件費は必要最小限

それから人件費。和服の女性が入り口に二人、メインホールに三人
一階の別アトラクションに一人、二階にも一人、売店に一人だったはず。
要所要所をきっちりおさえつつ、人数も必要最小限に抑えている気がした。
けっこう走り回ってて大変そう。少なすぎず多すぎず、適切な説明をして
サービスはしっかりしてて、非常に合理的という印象も受けた。

写真OK

写真OKというのもなかなかよいアイデアだと思う。
これだけ簡単に写真を撮って公開する世の中になってきたら
それを宣伝の道具にしたい手はない。勝手にやってくれるから楽。
だいたい写真を見せた方が他人に説明しやすいから実に合理的。
隠すのではなくオープンにするという、最近の任天堂っぽい。

市内の上空写真

来るのは大半が観光客だろうから、まあ当然京都の地図を見ながら
どこに行ってきたとか、これからどこに行くということに関心がある。
そのあたりのニーズを汲み取り方が実に巧みだと感じた。

順位付け

全体で何位とか表示することによって、競争をあおる。
人間の気持ちを刺激するポイントを非常にうまく突いている。
これが長年ゲームをつくってきた経験のなせる技か。

だらだらさせない

メインフロアーは制限時間20分。他の施設も連続して使おうとすると
後ろの人に代われって指示が画面から出てくる。あんまり長居されて
込み合ってくると従業員がもっと必要になってうれしくないので
ちゃっちゃか出て行って欲しいんだと思った。合理的で良い。

お土産コーナー

施設はけっこう楽しめて、思ってたより百人一首って面白そうという
気持ちを抱いて、土産コーナーあたりに顔を出す。
「ちっちゃくて安いのがあったら買ってもいい。せっかくここに来たんだし」
こういう感覚になっている人が多いはずである。でも安いものは置かない。
超高級路線で金の百人一首をおいているが、あとは最安でも6000円。
それしかなかったらそのくらいが当たり前に見えるかもしれない。
人は相対的に見てしまいがちなので、超高級品と一緒に並べると
6000円でもそれほど高くないように見えるから不思議だ。
安いものとか下から2番目とかが選ばれやすいと思うけど、
あえて低価格帯のものを置かないことにより、高いのを買わせる戦略。
実にすばらしいと思った。任天堂メソッドじゃなくて山内メソッドかもしれないけど。