海のエジプト展

始まった頃からずっと行きたいと思っていて、前売り券も入手して、今月に入ってようやく行けた。わりと人気があるらしくけっこう混んでいたが、なかなか楽しめた。
asahi.com : 朝日新聞社 - 「海のエジプト」展
http://www.asahi.com/egypt/
そもそもなぜそんなに興味を持っていたかというと、5年くらい前にこの本を読んだから。
クレオパトラ 謎の海底宮殿 (講談社プラスアルファ文庫) (文庫)
4062567946
この本ともう一冊の本で海底遺跡に興味をもって、その後スキューバダイビングのアドバンスドウォーターコースまで資格を取得した。
神々の世界 (上) (小学館文庫) (文庫)
4094038477
ハンコックは胡散臭いんだけど、この本の前の作品で懲りたのか、この本ではなかなか丁寧に仮説の検証をしているので、トンデモ臭は薄めかと。海底というのは、調査するのが困難なので非常に謎に包まれた場所となっている。地盤沈下で水没した都市とか、沈んでいる船とか、いろいろと想像力を掻き立てる素材には事欠かない。
今回の展示では、パシフィコ横浜の広々とした空間を活用しながら、無駄に海中っぽい雰囲気を出しつつ、『クレオパトラ謎の海底神殿』に続く発掘成果も含めて紹介していて楽しかった。遺跡自体もまあいいんだけど、海底考古学のプロセスとしてダイバーが作業する様子などを紹介していたのが、非常に興味深かった。タンクは2本背負っているのかとか、船に酒があったけど酒を飲んだらその後、数時間開けないと作業できなくないかとか、バルーンで遺跡を持ち上げるのかとか、そういう細かいところに注目すると非常に楽しい。
正直クレオパトラ7世の顔とか、コナン音声解説とか、フィギュアとかはどうでもいいのである。広大な海のどこを調査するかを選定して、海底のマップをつくって、遺跡を引き上げつつもどこにあったかマッピングして、歴史にもマッピングするというプロセスに興味があるのである。それを行うプロフェッショナルチームが楽しそうだと感じるのである。
今回一番面白いと思ったのは、すぐには引き上げられないくらい大きな遺跡に文字が刻まれているとわかったときに、シリコンを流し込んで型を取って、そのデジタルデータを海外の考古学者に送るという流れである。実に合理的でスピーディー。成果が出にくく大変そうな分野だけど、なんか楽しそうにやっていていいなと思った。
そんな展示が今月23日までやっているようだ。気になった人は行ってみればいいと思う。