イノベーションは新興国でも起きている

先月のThe economistのemerging markets特集記事が刺激的な内容だったので感想を書いておくことにする。
The world turned upside down
http://www.economist.com/specialreports/displaystory.cfm?story_id=15879369
emarging worldというのは、新興国、特にインド、中国のことを指している。安い労働力の供給源だったのは昔の話で、現在はいわゆるイノベーションが盛ん。過去に日本がアメリカを追いかけて必死にやっていたようなことが、今インド、中国で起きているのかもしれない。そうすると、made in Japanのイメージががらりと変わったように、新興国の製品のイメージも大きく変わるのかもしれない。
$3000の自動車、$300のコンピュータ、1分2セントで国中に電話がかけられる$30の携帯電話。これらは単に安価な労働力だけでなく、設計から何から何まで見直して実現されるものだそうだ。そして毎年中国では75000人、インドでは60000人の工学、コンピュータサイエンス専攻の学生が輩出されている。技術のブレイクスルーは日本やアメリカ、ヨーロッパのみで起きていると勘違いしている人がいるが、既に企業のR&Dセンターは世界中に広がっているので、新興国でもたくさんブレイクスルーが起きている。レガシーなシステムに足を引っ張られない分有利かもしれない。そしてこれらの国の人々の間でoptimismが広がっていることは、行けばわかるとのこと。
新興国にイノベーションをもたらしたのは、ambitionとfearらしい。世界の舞台を目指す野望と、ベトナム、カンボジアのようなもっと賃金が安い競争相手に対する恐怖心。この視点はなかなか新鮮だった。チャーチルの言葉が引用されていた。

sees opportunities in every difficulty rather than difficulties in every opportunity
(チャンスの中に困難さを見つけるのではなく、困難な状況でチャンスを見つけろ)

本気で自分が将来まともに生活していけるのか心配になった。日本がどうのこうのという以前に個人として自分がまともにやりあっていけるのかということ。優秀な連中が次から次へと出てくる現実を考えたとき、今のようにぬるま湯に浸かってぬくぬくとしていてはいけない気がした。自分は他人には代替できない価値を提供できているのか、コモディティになっていないか、差別化して個人として価値を出して行くにはどうしたらいいか。自分の武器を手にして、道を切り拓いていかないと先が見えてくるわけがない。
30年後のトヨタが今のGMみたいになって、豊田市が今のデトロイトみたいになるような未来が来ないように一生懸命中の人が頑張ってるんだろうけど、何が起きても不思議じゃない気がした。そんなことを感じさせる記事が他にもあったけど、それはのちほど。