The Economistの記事を週に4本読んで紹介すると以前書いたのに、全然できていないのでカウントすることにしよう。なつやすみと定義した7月24日から8月末までに5週あるから、20本か。The Economist読む隊で週2本は読んで紹介してるけど、それ以外で10本。1本目として、オーストラリアの鉄鉱石メーカーであるリオ・ティントの記事を紹介しようと思う。
China and Rio Tinto: A souring relationship | The Economist
http://www.economist.com/businessfinance/displayStory.cfm?story_id=14205057&source=features_box_main
背景知識としては、NHKの解説記事が詳しくてわかりやすい。
ところが先月、突如、中国政府は、オーストラリアの世界的資源大手「リオ・ティント」の従業員4人を、国家機密を盗んだスパイ容疑と中国の鉄鋼関係者に賄賂を渡したという汚職容疑で拘束。
NHKオンライン
今回の記事の前に取り上げられたときは、こんな状態だった。
中国政府自身は、Rioの件が「国の安全保障」と「スパイ活動」に関わっているとだけ言って、その後は沈黙を保っている。そして、明らかにビジネスの日常業務の取引がどうして国の安全保障にかかわるのかについて、中国政府は説明をしていない。
第19回エコ隊 - phoの日記 - The Economist読む隊
今回新たに付け加えられたニュースとしては、中国政府が、Rio Tintoの社員のコンピュータを押収して、スパイ容疑の証拠を見つけたと主張していて、下の記事の一文目ような損失を被ったと言っているとのこと。
英豪資源大手のリオ・ティントは、8月8日付けの中国国内メディアで「リオ・ティントは中国国内で6年間産業スパイ活動を行い、中国国内の鉄鋼企業に7000億元(約9兆8280億円)の損失を与えた」と報じられたことに反駁。
リオ・ティント:中国メディアの報道に反駁||ChinaPress
この文章に対して、リオ・ティント社スポークスマンは「鉄鉱石業務での総収入は433億ドル(約4兆1477億円)で、文章中の7000億元(約1020億ドル)は、この数字を大幅に超えている。」と表明した。
この食い違いは、中国側の損失の算定がベンチマークに基づいているからではないかと、The Economist誌は推測している。ちなみに4人の従業員を拘束する少し前に下のような報道があったようだ。
スポット価格は現在、日本と韓国の鉄鋼メーカーがそれぞれ33%値下げに合意して設定されたベンチマーク価格を1トン当たり12─15ドル上回る水準をつけている。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-38766720090629
中国の鉄鋼メーカーは少なくとも40─45%の値下げを求めて妥結を渋っているが、スポット価格の上昇を受けてサプライヤー側はより強硬な姿勢で交渉に臨みやすくなる可能性がある。
ベンチマーク交渉で1トン当たり何ドルかで交渉が成立したと仮定した場合の金額と、強気に出て交渉が難航し、その一方でスポット価格がどんどん上昇して、中国国内の需要もどんどん伸びて高値で買わざるを得なかった現状において支払った金額との差が7000億元なんだと思う。自業自得と思えなくもないが、寡占状態にある鉄鉱石供給相手の言いなりになるのも気に入らないのだろう。
Chinalcoによる買収案が破棄されたこととか、BHPビリトンとRio Tintoが仲良く鉄鉱石価格をつり上げるんじゃないかと思っていることとか、いろいろと推測できそうだけど、推測の域を出ない感じの記事だった。現段階で言えることとしては、
But the latest accusations, far from easing the country’s way into investment overseas, may make foreigners more wary about doing deals with the Chinese.
China and Rio Tinto: A souring relationship | The Economist
今回の件で、外国人が中国との取引に萎縮してもおかしくないということだろう。事実がどうであれ、情報を開示する意志が示されない限り、他者から信用を得るのは困難だと思うから。