特許庁の人や副総理が話した後、全体セッションとなった。
全体セッション1
WIPOのフランシス・ガリ事務局長がWIPOの取り組みをベースに知的財産について語る。ディケンズの二都物語の冒頭を引用し、北京での取り組み
http://www.wipo.int/about-wipo/ja/offices/japan/news/2012/news_0038.html
マラケシュでの取り組み
http://www.wipo.int/about-wipo/ja/offices/japan/news/2013/news_0036.html
そして、"What IP can do"と言っていたのが印象に残っている。
次に話したのはDavid Kappos前米国特許商標庁長官。アメリカの特許制度を先発明主義から先願主義に変更した功績が大きい。印象に残った言葉は"Social Balance in IP"。特許とは発明公開の代償として一定期間の独占権を得るという社会との契約だから、社会との関係性の上で成り立つ。バランスの見極めが重要だとか。
このセッションの最後はIPXIのMarshall Phelps。locality, proximityが重要だと言い出して、strength of smallnessとか言ってて(半分くらいは本当なのかもしれないけど)シンガポールへのリップサービスなんだなあと思った。この人がIBMにいたときにIPがお金になることを示したけれども、その結果として法律の乱用が目に余るようになり、個人経営の店を訴えて小金を得るようなのも出てきてるとのこと。コーヒーショップを訴えるという話が出ていたが、たぶんこの件だと思う。
http://patentexaminer.org/2011/09/innovatios-infringement-suit-rampage-expands-to-corporate-hotels/
そこでオバマがトロールハンティングに乗り出したけれども、そもそもトロールってなんだ?訴訟起こしたら全部悪なのか?自分で実施していないクアルコムとか大学とかは全部トロールで潰してしまった方がいいのか?
"Don't throw out baby with bath water."
特許の品質が鍵になるだろうとのこと。
その後質問に答える感じで3人が話していた。知的財産を資産として扱うのは非常に困難ではあるけれども、IPXIの取り組みが始まったし、イギリスにはPatent Boxという減税制度があるという。
http://www.ipo.gov.uk/types/patent/p-patentbox.htm
R&Dに対する減税制度や金融システムをうまく活用していくというのが現状におけるやり方なんだろうとのこと。特許の品質に関しては、そもそも曖昧さが事の発端だから、特許庁における審査の頑張りに期待。とは言うものの主要な特許庁は既にけっこういい仕事をしているし、100%なんて無理。偽陰性・偽陽性の兼ね合いでどこがベストかという話になるんだろう。
感想として、パテントトロールの問題はもううんざりするほど話題になっているんだろうと思った。でもそこで思考停止するのではなくて、負けた側が裁判費用を負担するとか、なんでもかんでも差し止めできるような状況は改善すべきとか、少しずつ議論を積み重ねて進展していくという印象を受けた。ProsとConsを見ながらバランスをとっていくというのは、きっとどの分野にも共通することだろう。とりあえず品質のよくない特許というのは誰にとってもよろしくないので、そこからみたい。